スペインの生物学者が究極の「和裁」を学ぶ!職人たちの神業に感涙!:世界!ニッポン行きたい人応援団
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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(毎週月曜夜8時54分 ※2月16日は、夜8時より放送)。
今回は、「和裁」を愛する外国人の来日の様子をご紹介します。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回

今回ニッポンにご招待したのは、スペイン在住の「和裁」を愛するアルバさん。

和裁は、生地を直線で裁断し、生地の縦糸と横糸のわずかな隙間を狙って一針一針丁寧に手縫いするのが特徴。そのため、糸を解くと元通りになり、サイズを変えたり仕立て直したりできる、世界でも類を見ない日本独自の裁縫技術です。

和裁歴8年のアルバさんは、着物や浴衣、可愛らしいもんぺまで、独学で数々の作品を作り上げてきました。彼女が作ったものの多くは、リサイクルの着物を購入し、和裁の技術で仕立て直したもの。
アルバさんは環境問題を研究する生物学者で、和裁を知るきっかけとなったのは、映画「たそがれ清兵衛」。登場人物が自分で縫った着物を着て楽しそうに過ごすシーンはアルバさんの目に美しく映り、「すぐに自分で着物を縫いたいと思ったんです」。
その後はバルセロナの和裁教室に4年間通いました。

しかし、教室を卒業してから独学で腕を磨き続けてきたものの、縫い目の大きさを揃え、まっすぐ縫うことがなかなかできず、何度も縫い直す必要があったそう。
ニッポンへはまだ一度も行ったことがないアルバさんは「生地の特性や和裁技術をイチから学びたい。そして、それを支える文化を学びたいです」と強い思いを語ります。
そんなアルバさんをニッポンにご招待!
向かったのは、沖縄県うるま市。600年の歴史を誇る沖縄伝統の織物「芭蕉布」づくりを学びます。芭蕉布は、琉球王朝時代から伝わる織物で、その生地は「トンボの羽」と称されるほど驚くほど薄く、風通しが良いのが特徴。高温多湿の沖縄で欠かせない着物として重宝され、かつては希少性と美しさから徳川家康にも献上されたほど。
今も糸作りから織りまで全て手作業で行われ、年間でごくわずかな着物しか作られないため、一着1000万円を超えるものもある、幻の織物です。
今回アルバさんを受け入れてくださったのは、「芭蕉布こもれび工房」の皆さん。
芭蕉布を使った着物を始め、バッグや財布などを製造しています。
芭蕉布作りの工程は20以上あり分業が基本ですが、代表の春日清子さんは全ての工程を一人で行うことができる、沖縄でも数少ない職人です。

工房で美しい芭蕉布を見たアルバさんは、「夢にまで見ていた芭蕉布が目の前にあるなんて信じられません! 実物は想像以上に薄くて透けるように美しいです」と感動!
芭蕉布で仕立てた着物が出来上がるまで最低4年…今回特別に、その工程を見せていただきます。

透けるほど薄く織られた芭蕉布。その美しさの秘密は“糸”にあります。
糸の原料となるのは「糸芭蕉」と呼ばれる植物で、バナナの木の一種。バナナを意味する芭蕉には果実を食べることができる「実芭蕉」と、実は成るものの種が多く、苦味のある「糸芭蕉」があり、芭蕉布の糸は、糸芭蕉が原料に。
糸に適したものになるまで、最低3年の生育が必要で、茎の部分を使うため、茎に栄養が行くよう何度も葉を剪定し、大切に育てられます。
ちょうど糸芭蕉の収穫時期(11~2月)だったため、アルバさんも収穫作業をお手伝いさせていただきます。
アルバさん、「大変です! 出来ないです」と悪戦苦闘しながらも、「体で引っ張る!」という春日さんのアドバイスを受け、やっとの思いで収穫に成功。

糸芭蕉の皮を剥がすと、真っ白な茎が現れました。しかし、着物に使えるのは、繊維の中心部と外側を除いたわずかな層のみ。そのため、一着の着物を織るためには、200本もの糸芭蕉が必要です。
翌日、いよいよ600年以上続く芭蕉布の糸作りへ。収穫した茎から必要な部分を取り出し、柔らかくなるように煮詰めた後、自作の竹ばさみで表面の汚れを剥がします。
こうして、長さ1mほどの白い繊維状に。

そしてここからが、糸作り最大の山場。切れないようにゆっくりと剥がし、なんと1本1本の繊維を結び繋げて糸を作っていきます。
通常、糸は繊維を引き伸ばして撚(よ)りをかけて作りますが、芭蕉布の糸は、1本約1mの繊維を2万回以上も結び続けて作られます。太さ0.1mmにも満たない糸を結ぶのは、職人だからこそなせる技。出来上がった糸の長さは、約20km!
琉球藍など沖縄の天然染料を使い、手作業で染めた糸を無地の糸と組み合わせ、職人が織り上げていくことで、鮮やかな芭蕉布の模様が生まれます。
収穫から完成まで、実に4年の歳月を重ねて完成する芭蕉布の着物は、まさに「時を織り込んだ至高の一着」。
別れの時。アルバさんは「皆さんと過ごした貴重な時間は忘れません。芭蕉布の伝統を守り続ける皆さんの姿に深く心を打たれました」と感謝を伝え、春日さんは「帰国後も芭蕉布作りに触れてほしい」と、素材や作品をプレゼントしてくださいました。
「芭蕉布こもれび工房」の皆さん、本当にありがとうございました!

「ニッポンの握り鋏は、切れ味だけでなく、使い心地がまったく違うと聞きました。作り方から見てみたいです」と話していたアルバさん。
和裁に欠かせない道具の一つ・握り鋏は、指を通すハサミよりも小さく、手のひらで握って切るのが最大の特徴。握った力がそのまま刃先に伝わるため、糸を切ったり布の端を切り揃えたりする繊細な作業に適しています。
アルバさんが普段使っている海外製の握り鋏は、刃先が布にうまく入らず切れないことがあったため、「いつか本物を使ってみたい」と願っていました。

向かったのは、兵庫・小野市。江戸時代から250年以上、刃物で栄えた街で知られています。
今回アルバさんを受け入れてくださったのは、「寺﨑刃物」の寺﨑研志さん。伝統的な総火作り製法で握り鋏を作る鋏鍛冶職人です。
寺﨑さんは型を使わず鉄を叩いて作ることで、鉄を引き締めて頑丈にするだけでなく、切れ味を左右する絶妙な「握りのバネ」を生み出しています。
この技ができるのは、ニッポンでわずか数人のみという貴重な技術。寺﨑さんが作った握り鋏は、50年以上も切れ味が変わらないそう。
念願の握り鋏を手に取ったアルバさんは、「すごく輝いています! 味わったことのない感覚です。私が使っているのとは別物。軽く握っただけでスッと切れてしまいます」と感動を隠せません。

寺﨑さんの握り鋏の秘密は、刃先に日本刀と同じ鋼を使用していること、そして「コシ」(U字に曲がったバネの力を生み出す部分)にありました。
バネが適切な力で戻ることで刃が自然と開き、次の一切れがスムーズに。バネが強すぎても弱すぎてもいけないため、和裁用、和菓子の練り切り用など、用途に合わせてバネの力を調整するのは難しく、職人の経験と感覚が試されます。
そこで寺﨑さん、アルバさんのために、和裁用のコシを作る工程を見せてくださることに。鉄を何度も叩いて薄く伸ばし、和裁用に適したコシに。
叩き続けること10分…コシを作った握り鋏に研磨をかけ、180℃の油に40分浸します。こうすることでコシの耐久性が高まるのです。
最後はコシを曲げ、刃先が根元でわずかに重なるU字型に整えます。バネが正しく作られていなければ全て台無しになるという緊張の中、見事、刃の重なりは完璧な状態に。寺﨑さんは、アルバさんにこの握り鋏をプレゼント! 「ガシガシ使ってください。そのハサミのためにも使ってほしいです」と話し、「すごく嬉しいです!」とアルバさん。
寺﨑さん、本当にありがとうございました!
「スペインで和裁の教室に通いましたが、まだまだ技術が足りません。ニッポンで和裁士の先生から教えてもらいたいです」。
いよいよアルバさんが、和裁の極意を学ぶことに。

向かったのは茨城・古河市。「匠きもの学院」の皆さんが、アルバさんを受け入れてくださいました。校長の佐藤孝子さんは、2009年に黄綬褒章を受章した和裁士会の重鎮。佐藤校長をはじめ、全国の和裁士が技術力を競う大会で数々の受賞歴を持つ先生たちが、アルバさんの願いをサポートしてくださいます。
「いつか反物から着物を作ってみたい」というアルバさんの夢を佐藤校長に伝えると、遠いスペインから来た彼女のために、反物から着物を仕立ててくださることに。

アルバさんは、正倉院所蔵の宝物に描かれている草花をあしらった京都・丹後産高級ちりめん反物を選びました。

そもそも和裁とは、布を余らせることなく仕立てていく技術。
まずは、13mある反物にハサミを入れ、8つの布に切り分けていく「裁断」の作業。
反物に柄がある場合は、着物を着た時に柄が最も美しく見えるよう、裁断位置を慎重に決める必要があります。これが和裁士の腕の見せどころの一つ。

アルバさんは柄を見ながら膝の位置を決めますが、花が下向きに。佐藤校長のアドバイスで、花柄が上に向く一番美しい裁断位置を見つけることができました。
いよいよ裁断。和裁士の神業が披露されます。反物の生地は縦糸と横糸で織られており、裁断する際は、糸と糸のわずかな間、髪の毛の太さよりも細い0.01mmの隙間を狙って一直線に切っていきます。もしハサミがずれて余計な糸を切ってしまうと、糸がほつれ、生地の状態を悪くし、仕立て直しにも悪影響が。
極めて難易度が高い裁断技術を見せていただきますが、ここで、穏やかだった佐藤校長の表情が一変。「(裁断は)緊張します。息を止めて…息をすると動くでしょ。一息ついたらまた息を止めてって感じね」と佐藤校長。
佐藤校長が裁断した生地は糸のほつれがまったくなく、「神業ですね!」とアルバさん。その美しい断面に驚きを隠せません。
次は、裁断した8つのパーツを縫い合わせる工程。和裁は手縫いが基本。ミシンを使うと、針が直角に入るため生地の縦糸と横糸を切ってしまい穴が開いてしまいますが、手縫いは縦糸と横糸を避け、隙間に針を通すため穴が開かず、何度も仕立て直しができるのです。

これまで縫い方に悩み続けてきたアルバさんのために、和裁の技能五輪全国大会で銀賞を受賞した中島鮎美先生が、縫い方の基本の動きを見せてくださいます。
その手つきは驚くほど早く、等間隔に並んだ縫い目を見たアルバさんは、「機械のような精密さですね」とびっくり。
縫い方のポイントは、生地をピンと張り、針は動かさず、生地を上下に動かして同じ針先の長さだけを通すこと。このコツをつかむと、針がなめらかに刺さり、まっすぐな縫い目ができるように。
アルバさんも教わったとおりに縫ってみると、縫い目は格段にレベルアップ! 先生たちが見守る中、2時間かけて着物の背面を縫い合わせました。

アルバさんの帰国が迫っていたため、和裁士の皆さんが手伝ってくださることに!
2日間かけて、全て手縫いで着物を仕立ててくださいました。「本当に美しい仕上がりです。皆さんのおかげです」と、感無量のアルバさん。
佐藤校長は「諦めないで続けていけば、上手になります。布の声が聞こえてきますよ」と温かい言葉を贈りました。
別れの時。アルバさんが涙ぐみながら「皆さんが着物に愛情を注ぐ姿を見られたことが何よりの宝物です」と伝えると、「アルバちゃん、頑張りました。いろいろ覚えましたね」と佐藤校長。「日本に来ることがあったら、ぜひ私のところに来てください」と言葉を贈り、再会を約束しました。
佐藤校長、「匠きもの学院」の皆さん、本当にありがとうございました!
月曜夜8時から、「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
▼カナダに暮らすジェイソンさんは、日本の「宮大工」の技術に強い憧れを抱いていた。釘を使わず木だけで組み上げる伝統技法や、美しい反り屋根といった構造に魅了され、動画や書籍を頼りに独学で経験を積んできた。しかし、限られた収入の中で高価な道具は揃えられず、技術面でも限界を感じ始めていた。そんな彼に日本への招待がサプライズで告げられるのだった。
▼まず向かったのは、千葉県にある日本寺。国宝・法隆寺五重塔に代表される日本の仏塔建築の現場を訪れる。塔の中心には高さ24mの心柱があり、これが倒壊を防ぐ重要な役割を持つという。
▼宮大工の命であるカンナがどう作られているのかを見たい! その想いをかなえるため、新潟県へ! この道60年の名工のカンナは1丁7万円、入手まで2年待ちという高級品で、削った木くずが透けるほどの切れ味を誇る。
▼出雲大社や大嘗宮などを手掛けてきた職人たちから直接指導を受けることに。宮大工の仕事が古材を生かしながら後世へ建築を残す”修復”でもあると学ぶ。
日本建築の美の理を実感し、日本を後にするのだった。
▼3年後、ジェイソンさんから緊急SOSが! 人生最大の日本建築プロジェクトが遅れていて、期限に間に合うか心配とのこと。大至急、日本からカナダの現場へ行くと、驚きの事実を知らされることに…。
今回は、「和裁」を愛する外国人の来日の様子をご紹介します。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
きっかけは「たそがれ清兵衛」和裁を愛する生物学者

今回ニッポンにご招待したのは、スペイン在住の「和裁」を愛するアルバさん。

和裁は、生地を直線で裁断し、生地の縦糸と横糸のわずかな隙間を狙って一針一針丁寧に手縫いするのが特徴。そのため、糸を解くと元通りになり、サイズを変えたり仕立て直したりできる、世界でも類を見ない日本独自の裁縫技術です。

和裁歴8年のアルバさんは、着物や浴衣、可愛らしいもんぺまで、独学で数々の作品を作り上げてきました。彼女が作ったものの多くは、リサイクルの着物を購入し、和裁の技術で仕立て直したもの。
アルバさんは環境問題を研究する生物学者で、和裁を知るきっかけとなったのは、映画「たそがれ清兵衛」。登場人物が自分で縫った着物を着て楽しそうに過ごすシーンはアルバさんの目に美しく映り、「すぐに自分で着物を縫いたいと思ったんです」。
その後はバルセロナの和裁教室に4年間通いました。

しかし、教室を卒業してから独学で腕を磨き続けてきたものの、縫い目の大きさを揃え、まっすぐ縫うことがなかなかできず、何度も縫い直す必要があったそう。
ニッポンへはまだ一度も行ったことがないアルバさんは「生地の特性や和裁技術をイチから学びたい。そして、それを支える文化を学びたいです」と強い思いを語ります。
そんなアルバさんをニッポンにご招待!
結ぶこと2万回──時を織り込む「幻の芭蕉布」
向かったのは、沖縄県うるま市。600年の歴史を誇る沖縄伝統の織物「芭蕉布」づくりを学びます。芭蕉布は、琉球王朝時代から伝わる織物で、その生地は「トンボの羽」と称されるほど驚くほど薄く、風通しが良いのが特徴。高温多湿の沖縄で欠かせない着物として重宝され、かつては希少性と美しさから徳川家康にも献上されたほど。
今も糸作りから織りまで全て手作業で行われ、年間でごくわずかな着物しか作られないため、一着1000万円を超えるものもある、幻の織物です。
今回アルバさんを受け入れてくださったのは、「芭蕉布こもれび工房」の皆さん。
芭蕉布を使った着物を始め、バッグや財布などを製造しています。
芭蕉布作りの工程は20以上あり分業が基本ですが、代表の春日清子さんは全ての工程を一人で行うことができる、沖縄でも数少ない職人です。

工房で美しい芭蕉布を見たアルバさんは、「夢にまで見ていた芭蕉布が目の前にあるなんて信じられません! 実物は想像以上に薄くて透けるように美しいです」と感動!
芭蕉布で仕立てた着物が出来上がるまで最低4年…今回特別に、その工程を見せていただきます。

透けるほど薄く織られた芭蕉布。その美しさの秘密は“糸”にあります。
糸の原料となるのは「糸芭蕉」と呼ばれる植物で、バナナの木の一種。バナナを意味する芭蕉には果実を食べることができる「実芭蕉」と、実は成るものの種が多く、苦味のある「糸芭蕉」があり、芭蕉布の糸は、糸芭蕉が原料に。
糸に適したものになるまで、最低3年の生育が必要で、茎の部分を使うため、茎に栄養が行くよう何度も葉を剪定し、大切に育てられます。
ちょうど糸芭蕉の収穫時期(11~2月)だったため、アルバさんも収穫作業をお手伝いさせていただきます。
アルバさん、「大変です! 出来ないです」と悪戦苦闘しながらも、「体で引っ張る!」という春日さんのアドバイスを受け、やっとの思いで収穫に成功。

糸芭蕉の皮を剥がすと、真っ白な茎が現れました。しかし、着物に使えるのは、繊維の中心部と外側を除いたわずかな層のみ。そのため、一着の着物を織るためには、200本もの糸芭蕉が必要です。
翌日、いよいよ600年以上続く芭蕉布の糸作りへ。収穫した茎から必要な部分を取り出し、柔らかくなるように煮詰めた後、自作の竹ばさみで表面の汚れを剥がします。
こうして、長さ1mほどの白い繊維状に。

そしてここからが、糸作り最大の山場。切れないようにゆっくりと剥がし、なんと1本1本の繊維を結び繋げて糸を作っていきます。
通常、糸は繊維を引き伸ばして撚(よ)りをかけて作りますが、芭蕉布の糸は、1本約1mの繊維を2万回以上も結び続けて作られます。太さ0.1mmにも満たない糸を結ぶのは、職人だからこそなせる技。出来上がった糸の長さは、約20km!
琉球藍など沖縄の天然染料を使い、手作業で染めた糸を無地の糸と組み合わせ、職人が織り上げていくことで、鮮やかな芭蕉布の模様が生まれます。
収穫から完成まで、実に4年の歳月を重ねて完成する芭蕉布の着物は、まさに「時を織り込んだ至高の一着」。
別れの時。アルバさんは「皆さんと過ごした貴重な時間は忘れません。芭蕉布の伝統を守り続ける皆さんの姿に深く心を打たれました」と感謝を伝え、春日さんは「帰国後も芭蕉布作りに触れてほしい」と、素材や作品をプレゼントしてくださいました。
「芭蕉布こもれび工房」の皆さん、本当にありがとうございました!
250年の歴史を刻む「握り鋏」の神髄

「ニッポンの握り鋏は、切れ味だけでなく、使い心地がまったく違うと聞きました。作り方から見てみたいです」と話していたアルバさん。
和裁に欠かせない道具の一つ・握り鋏は、指を通すハサミよりも小さく、手のひらで握って切るのが最大の特徴。握った力がそのまま刃先に伝わるため、糸を切ったり布の端を切り揃えたりする繊細な作業に適しています。
アルバさんが普段使っている海外製の握り鋏は、刃先が布にうまく入らず切れないことがあったため、「いつか本物を使ってみたい」と願っていました。

向かったのは、兵庫・小野市。江戸時代から250年以上、刃物で栄えた街で知られています。
今回アルバさんを受け入れてくださったのは、「寺﨑刃物」の寺﨑研志さん。伝統的な総火作り製法で握り鋏を作る鋏鍛冶職人です。
寺﨑さんは型を使わず鉄を叩いて作ることで、鉄を引き締めて頑丈にするだけでなく、切れ味を左右する絶妙な「握りのバネ」を生み出しています。
この技ができるのは、ニッポンでわずか数人のみという貴重な技術。寺﨑さんが作った握り鋏は、50年以上も切れ味が変わらないそう。
念願の握り鋏を手に取ったアルバさんは、「すごく輝いています! 味わったことのない感覚です。私が使っているのとは別物。軽く握っただけでスッと切れてしまいます」と感動を隠せません。

寺﨑さんの握り鋏の秘密は、刃先に日本刀と同じ鋼を使用していること、そして「コシ」(U字に曲がったバネの力を生み出す部分)にありました。
バネが適切な力で戻ることで刃が自然と開き、次の一切れがスムーズに。バネが強すぎても弱すぎてもいけないため、和裁用、和菓子の練り切り用など、用途に合わせてバネの力を調整するのは難しく、職人の経験と感覚が試されます。
そこで寺﨑さん、アルバさんのために、和裁用のコシを作る工程を見せてくださることに。鉄を何度も叩いて薄く伸ばし、和裁用に適したコシに。
叩き続けること10分…コシを作った握り鋏に研磨をかけ、180℃の油に40分浸します。こうすることでコシの耐久性が高まるのです。
最後はコシを曲げ、刃先が根元でわずかに重なるU字型に整えます。バネが正しく作られていなければ全て台無しになるという緊張の中、見事、刃の重なりは完璧な状態に。寺﨑さんは、アルバさんにこの握り鋏をプレゼント! 「ガシガシ使ってください。そのハサミのためにも使ってほしいです」と話し、「すごく嬉しいです!」とアルバさん。
寺﨑さん、本当にありがとうございました!
0.01mmの隙間に命を吹き込む神業――至高の和裁
「スペインで和裁の教室に通いましたが、まだまだ技術が足りません。ニッポンで和裁士の先生から教えてもらいたいです」。
いよいよアルバさんが、和裁の極意を学ぶことに。

向かったのは茨城・古河市。「匠きもの学院」の皆さんが、アルバさんを受け入れてくださいました。校長の佐藤孝子さんは、2009年に黄綬褒章を受章した和裁士会の重鎮。佐藤校長をはじめ、全国の和裁士が技術力を競う大会で数々の受賞歴を持つ先生たちが、アルバさんの願いをサポートしてくださいます。
「いつか反物から着物を作ってみたい」というアルバさんの夢を佐藤校長に伝えると、遠いスペインから来た彼女のために、反物から着物を仕立ててくださることに。

アルバさんは、正倉院所蔵の宝物に描かれている草花をあしらった京都・丹後産高級ちりめん反物を選びました。

そもそも和裁とは、布を余らせることなく仕立てていく技術。
まずは、13mある反物にハサミを入れ、8つの布に切り分けていく「裁断」の作業。
反物に柄がある場合は、着物を着た時に柄が最も美しく見えるよう、裁断位置を慎重に決める必要があります。これが和裁士の腕の見せどころの一つ。

アルバさんは柄を見ながら膝の位置を決めますが、花が下向きに。佐藤校長のアドバイスで、花柄が上に向く一番美しい裁断位置を見つけることができました。
いよいよ裁断。和裁士の神業が披露されます。反物の生地は縦糸と横糸で織られており、裁断する際は、糸と糸のわずかな間、髪の毛の太さよりも細い0.01mmの隙間を狙って一直線に切っていきます。もしハサミがずれて余計な糸を切ってしまうと、糸がほつれ、生地の状態を悪くし、仕立て直しにも悪影響が。
極めて難易度が高い裁断技術を見せていただきますが、ここで、穏やかだった佐藤校長の表情が一変。「(裁断は)緊張します。息を止めて…息をすると動くでしょ。一息ついたらまた息を止めてって感じね」と佐藤校長。
佐藤校長が裁断した生地は糸のほつれがまったくなく、「神業ですね!」とアルバさん。その美しい断面に驚きを隠せません。
次は、裁断した8つのパーツを縫い合わせる工程。和裁は手縫いが基本。ミシンを使うと、針が直角に入るため生地の縦糸と横糸を切ってしまい穴が開いてしまいますが、手縫いは縦糸と横糸を避け、隙間に針を通すため穴が開かず、何度も仕立て直しができるのです。

これまで縫い方に悩み続けてきたアルバさんのために、和裁の技能五輪全国大会で銀賞を受賞した中島鮎美先生が、縫い方の基本の動きを見せてくださいます。
その手つきは驚くほど早く、等間隔に並んだ縫い目を見たアルバさんは、「機械のような精密さですね」とびっくり。
縫い方のポイントは、生地をピンと張り、針は動かさず、生地を上下に動かして同じ針先の長さだけを通すこと。このコツをつかむと、針がなめらかに刺さり、まっすぐな縫い目ができるように。
アルバさんも教わったとおりに縫ってみると、縫い目は格段にレベルアップ! 先生たちが見守る中、2時間かけて着物の背面を縫い合わせました。

アルバさんの帰国が迫っていたため、和裁士の皆さんが手伝ってくださることに!
2日間かけて、全て手縫いで着物を仕立ててくださいました。「本当に美しい仕上がりです。皆さんのおかげです」と、感無量のアルバさん。
佐藤校長は「諦めないで続けていけば、上手になります。布の声が聞こえてきますよ」と温かい言葉を贈りました。
別れの時。アルバさんが涙ぐみながら「皆さんが着物に愛情を注ぐ姿を見られたことが何よりの宝物です」と伝えると、「アルバちゃん、頑張りました。いろいろ覚えましたね」と佐藤校長。「日本に来ることがあったら、ぜひ私のところに来てください」と言葉を贈り、再会を約束しました。
佐藤校長、「匠きもの学院」の皆さん、本当にありがとうございました!
月曜夜8時から、「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
▼カナダに暮らすジェイソンさんは、日本の「宮大工」の技術に強い憧れを抱いていた。釘を使わず木だけで組み上げる伝統技法や、美しい反り屋根といった構造に魅了され、動画や書籍を頼りに独学で経験を積んできた。しかし、限られた収入の中で高価な道具は揃えられず、技術面でも限界を感じ始めていた。そんな彼に日本への招待がサプライズで告げられるのだった。
▼まず向かったのは、千葉県にある日本寺。国宝・法隆寺五重塔に代表される日本の仏塔建築の現場を訪れる。塔の中心には高さ24mの心柱があり、これが倒壊を防ぐ重要な役割を持つという。
▼宮大工の命であるカンナがどう作られているのかを見たい! その想いをかなえるため、新潟県へ! この道60年の名工のカンナは1丁7万円、入手まで2年待ちという高級品で、削った木くずが透けるほどの切れ味を誇る。
▼出雲大社や大嘗宮などを手掛けてきた職人たちから直接指導を受けることに。宮大工の仕事が古材を生かしながら後世へ建築を残す”修復”でもあると学ぶ。
日本建築の美の理を実感し、日本を後にするのだった。
▼3年後、ジェイソンさんから緊急SOSが! 人生最大の日本建築プロジェクトが遅れていて、期限に間に合うか心配とのこと。大至急、日本からカナダの現場へ行くと、驚きの事実を知らされることに…。
記事提供元:テレ東プラス
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