勝ち馬に乗ったはずなのに...。政権与党の"アクセル役"・維新の会の足元がおぼつかないワケ
イチオシスト

自民党は小選挙区249、比例代表67の合計316議席を獲得。単独の党が議席の3分の2を占めるのは戦後初だ
衆院解散の直前、政界再編を掲げて公明と立憲がタッグを組んだ中道改革連合だったが、総選挙での大敗により早くも壊滅状態だ。一方で、圧勝した自民党の政権与党のパートナーとして「勝ち馬」に乗った感のあるのが維新の会。しかし、自・維の連立体制にも隙間風が吹きつつあるという。
日本維新の会は「高市政権のアクセル役」を呼号して高市人気に乗っかったものの、現状の34議席から36議席へと2議席増にとどまった。獲得議席の大半は関西エリアで、大阪の地域政党からの脱皮はかなわなかった。少数与党だった高市内閣成立に一役買った維新だが、政権の盤石化に伴い、「アクセル役」から踏まれても付きまとう"下駄の雪"へと様変わりしつつある。
【街頭演説で"返り討ち"に】総選挙と、吉村洋文代表の発意による大阪府知事と大阪市長のトリプル選挙に臨んだ維新。選挙戦では有権者からの厳しい突き上げを食らった。大阪社会部デスクが振り返る。
「吉村代表はトリプル選に持ち込むことで、街頭演説の盛り上がりやメディア露出を高め、維新人気の底上げにつなげたい考えでした。しかし、遊説先では、大阪ダブル選によって経費が28億円もかかったことや、選挙前に明るみになった国保逃れ問題を追及する有権者が結集。大阪府内にとどまらず兵庫県などで「END維新」、「吉村 保険証見せて」といったプラカードを掲げて吉村代表らを罵倒する騒ぎが起きました。
結局、街頭演説での熱狂ムードの創出は不発で、馬鹿にされるので遊説日程を告知できない羽目に。また、こうした事態はつぶさに報道され、維新の"権力の私物化"のイメージが有権者に浸透しました。総選挙で2議席増えたといっても、同数が自民の比例区の名簿不足の恩恵でもたらされていて、実質は現状維持に過ぎません。維新関係者からは、『せっかく与党に入ったのに低迷したのは、大阪ダブル選のせいだ』との愚痴も聞こえてきます」(大阪社会部デスク)

自民党の歴史的大勝に終わった衆院選翌日の与党党首会談
「大阪都構想」を目指した大阪ダブル選を巡っては、府市統合で失職の恐れがある身内の維新市議団からも批判を浴び、党内に亀裂が走っている。市議会は過半数ギリギリで、造反者が出れば否決され、住民投票にすら至らないことも考えられる。
「吉村代表ら執行部は、総選挙で戦果を挙げた勢いで維新市議の首を縦に振らせる腹積もりでしたが、それには到底及ばない結果でした。ただ、来年春の統一選で市議選が行なわれるので、この際に『都構想を飲まないと公認しない』と踏み絵を踏ませる可能性が浮上しています」(前出デスク)
【自民党内で高まる「維新不要論」】一方で、吉村代表は、圧勝した高市首相には押されている。2月10日に両者が面会し、吉村代表が維新の連立内閣入りを明言した。この背景について、政治部記者が語る。
「維新は連立政権発足にあたって、入閣はせずに連立離脱の可能性を残すことで、高市首相に議員定数削減などの政策を飲ませる戦略でした。しかし、自民が単独で衆議院の3分の2を超えたことで、少数与党の参議院で否決された議案を衆議院で再可決して法案成立させることが可能となり、いわば維新の存在は不要になったのです。これまでの行きがかり上、高市首相はすぐに維新をつまみ出せませんが、いつ首を切るかわからないため、維新がこれまで拒んできた入閣に応じた格好です。
政治には信義則が求められるものですが、高市首相は新進党在籍時には小沢一郎氏を裏切って自民に入党したり、今回の総選挙でも後見役である麻生太郎氏に事前に解散総選挙の相談をしなかったりしたことでも分かるように、場面で自分に都合よく物事を判断する自分ファースト。ただでさえ総選挙で圧勝して得意の絶頂にいるわけですから、これまで通りに維新に配慮するとは思えません」(政治部記者)
高市首相の維新への思いは、与えるポストで決まると政治部記者は続ける。
「昨秋の政権発足時、高市首相は維新に大臣の椅子を2席渡す考えを示したとされます。公明はずっと1席ですから厚遇ぶりがわかります。内訳は副首都構想に絡む総務相と、維新がIRを進めている関係で政権の花形ポストである経済産業相だったそうです。果たして経産相を譲る気持ちがいまもあるのか。総務相だけとなるか。重要ポストを差し出すことに自民党内での反発が高まれば、内紛状態の維新を軽んじて、そもそも入閣の話をちゃぶ台返しする可能性も捨てきれません」(政治部記者)
維新が入閣する内閣改造は、政権発足1年を迎えた今年秋ごろとみられている。それまで維新は、現状以上の存在感を示せるか。すべては、吉村代表によるお家騒動の収拾の行方にかかっている。
文/山本優希 写真/日本維新の会公式X
記事提供元:週プレNEWS
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