メジャーに挑戦する2大スラッガー、村上宗隆、岡本和真の現地の評価は?
イチオシスト

シカゴで行なわれた記者会見で、ホワイトソックスのユニフォームを着た村上(右)。球団の副社長兼GMと共に
2026年、村上宗隆、岡本和真という日本を代表するふたりのスラッガーが海を渡り、メジャーでのキャリアをスタートする。ヤクルトの主砲として活躍してきた村上は、2年総額3400万ドル(約52億3900万円)の契約でシカゴ・ホワイトソックスに入団。
片や、巨人の4番を張った岡本は、昨季のア・リーグ覇者トロント・ブルージェイズと4年6000万ドル(約92億4000万円)の契約を結んだ。それぞれ重要な新戦力として、大きな注目を浴びることは間違いない。
昨季までア・リーグ中地区で2年連続最下位と低迷中のホワイトソックスに加わった村上は、いきなり〝チームの顔〟的な立場を担うことになる。23年に38本塁打を放つなど、ほぼ唯一の看板選手だったルイス・ロバートJr.が、1月下旬にニューヨーク・メッツに放出されたからなおさらだ。
完全に再建状態のチームが村上に触手を伸ばしたことに関し、『ESPN.com』のジェシー・ロジャース記者は「まったく想定外というわけでもなかった」と話す。
「ホワイトソックスは今オフ、戦力アップを目指して多くのFA選手と交渉していました。村上が2年という短期の契約で、〝お試し〟的にプレーする形は、チームにとっても彼自身にとってもプラスになる。理にかなっていると思う」
ホワイトソックスは比較的に安価で、日本でシーズン56本塁打(22年シーズン)を放ったパワーヒッターを獲得できた。2年契約ならば、村上が苦しんだとしてもそれほど重荷になることはない。
一方で村上のほうも、ロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・ヤンキースのような、すぐに優勝争いへの貢献が義務づけられるチームではなく、プレッシャーの少ない環境で経験を積むことができる。
空振りの多さ、三振率の高さが懸念されているが、それらのアジャストメントを進めるためにも悪い環境ではないはずだ。
ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMは、本拠地のギャランティード・レート・フィールドが村上にフィットすることも強調していた。
「少し湿度が高くて、いわゆる〝打球に伸びが出る球場〟だ。打球がホームランになりやすく、左打者も右打者も打ちやすい、いい打撃環境だと思うし、それも彼が『入団したい』と考えた理由のひとつだった」
このように条件が整っている中で、予想される村上の数字はどのようなものか。分析系の野球サイト、『FanGraphs』の予測を記しておきたい。
「NPBで三振が多かった打者は、MLBへの移行が必ずしもスムーズとは限らない。村上はパワーがあまりにも突出しているため無視できない存在だが、打率が伸び悩むリスクについては認識しておく必要がある。
FanGraphsの予測では、31~32本塁打、78~79打点、74~76得点、9~12盗塁と見込まれているが、打率は.221~.231とやや懸念の残る数字が並んでいる」
実際に打率はやや低くなるかもしれないが、パワー全盛のメジャーでは1年目に30本塁打をクリアすれば、今回の契約は成功と評価されるだろう。だとすれば開幕後も、村上の〝パワーナンバー(本塁打数)〟が注目され続けることになるはずだ。

ブルージェイズへの入団が決まった岡本。地区優勝、ワールドシリーズを目指す球団で、存在感を示すことができるか
オフ開始当初は村上、今井達也(西武からヒューストン・アストロズに移籍)に次ぐ〝第3の男〟のような扱いだった岡本だが、最終的にはそのふたりよりも高額な総年俸を受け取るに至った(注:1年単位ではそのふたりよりも下)。
しかも新天地は昨季、世界一まであと一歩と迫ったブルージェイズ。4年契約にオプトアウト権(選手自ら契約を途中で見直したり、破棄してFAになったりすることができる権利)は含まれていない。この背景は、岡本がメジャーでもトップレベルで戦える即戦力と評価されたことを示している。
「彼はプレートアプローチ(コンタクト能力)がとても優れている。例えば村上のようなタイプは、ブルージェイズには合わなかった。ブルージェイズは三振が少ないチーム。パワーも重視されるが、まずはボールをインプレーにするというチームアイデンティティがある。その点で、岡本のほうがよりチームにフィットする」
『MLB.com』のキーガン・マシソン記者のそんな言葉どおり、岡本の長所はブルージェイズのフィロソフィ(哲学)と合致する。さらに守備面でも、三塁、一塁、外野を守れる多才さは魅力。
入団会見では岡本自身も「(自分の長所は)体が丈夫なところと、バッティングが得意なところ。3つのポジションを守れる準備はしてきていますし、すごく楽しみ」と、さまざまな形での貢献を誓っている。
日本では巨人という人気チームでプレーし、勝ちにいく姿勢の大切さを知り尽くしているのもプラス。早くも〝ビッグオーク(大きな樫の木)〟の愛称で呼ばれる岡本は、ブラディミール・ゲレーロJr.、ジョージ・スプリンガーといったビッグネームがそろったチームに、すぐにフィットできるのではないか。
入団会見の際、ロス・アトキンスGMが「チームを最優先に考えてくれる姿勢が魅力的。彼が日々、チームにインパクトを与えてくれるのを楽しみにしている」と目を細めていたのも印象的だった。
FanGraphsによる成績、活躍予想は以下のとおりである。
「高いコンタクト能力が評価され、岡本はブルージェイズと4年総額6000万ドルの契約を勝ち取った。天井(ポテンシャル)は村上より低いものの、下振れのリスクははるかに小さく、安定感は際立っている。
FanGraphsの予測では、岡本は24~25本塁打、74~75打点、67得点、3盗塁、そして打率.233~.251と見込まれている」
能力、野球に臨む姿勢の両面を兼ね備えた岡本は、昨季のワールドシリーズでドジャースをも追い詰めたブルージェイズの〝最後のピース〟になれるのか。
「ずっとMLBでプレーしたいと思っていた。(巨人では)日本一になれなかったんですけど、世界一になりたくて来ました」
入団会見で述べたそんな岡本の言葉が現実になる日を、カナダの人々も心待ちにしている。
取材・文/杉浦大介 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
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