大阪府のオンラインギャンブル啓発動画が物議 依存症問題を考える会の代表が「誤ったステレオタイプの依存症者像を強化する」と批判

イチオシスト
大阪府が作成したギャンブル依存症啓発動画が物議を醸しています。
「桃太郎」をモチーフにした啓発動画を公開
1月21日、大阪府はギャンブル依存症啓発動画「違法オンラインギャンブル等対策啓発動画『ギャン太郎』」を公開。動画はおとぎ話「桃太郎」になぞらえ、桃から生まれたという高校生「ギャン太郎」が主人公となっています。ギャン太郎は「ゲームとスマホが命」で「ラクして生きたい」が口癖で、あるときスポーツの勝敗で賞金がもらえるというサイトを見つけます。ギャン太郎の良心である「ノーギャン太郎」が「それってほんまに大丈夫なんか?」と心配するなか、友人の「犬豆花(いぬずか)」とともに挑戦し賞金を獲得。味をしめたギャン太郎は他の友人の「猿和足(さるわたり)」、「雉矢間(きじやま)」も誘って4人で「鬼ヶ島ベッティング」というオンラインカジノをプレイ。勝利し「これで鬼退治完了や!」と喜ぶなか、ノーギャン太郎は「ギャン太郎、その鬼ってほんまに倒す相手か?」と心配そうに声をかけます。
しかしその後、勝ち分が全てなくなったギャン太郎。「でも、次で取り返せるはずや」とのめり込んでいき、友人たちは「冷静になろうや」「私、もう抜ける」と心配そうに見つめます。その後はギャンブルで勝てなくなってしまったギャン太郎。「本能に任せて動いてたら、自分が鬼になってしまったんや」とノーギャン太郎は言いつつも、「でも、鬼になったからって戻られへんわけちゃう」と声をかけ、ギャン太郎はカウンセラーへと相談します。
カウンセラーから「ギャンブルで悩んでるのはギャン太郎くんだけじゃない」と声をかけられ、「地道に生きる」と決意するギャン太郎。「それがほんまの強さや」「鬼を倒すんやのうて、自分の中の鬼に勝つこと。これがほんまの退治や」とノーギャン太郎は声をかけます。その後ギャン太郎は見事に立ち直り、「桃色な人生」を送ったとされています。
動画の中ではオンラインカジノが日本で違法であるかどうかや、ギャンブルを続けるとどのような未来が待っているか、正しい相談先はどこかといった問題が出題され、ギャンブルの危険性を説明するとともに対処方法を示します。最後には相談先などの情報も示して注意喚起をおこなっています。
依存症当事者を支援する団体から苦言
この動画に対し、ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子氏が1月27日にXで言及。同会で大阪府の公募に応募した結果、審査で最下位になったと明かすとともに、応募していたのが「当会以外は広告代理店等の企業で、審査員は依存症関係者ではありません」と疑問を呈します。
さらに動画内容についても「これのどこがギャンブル依存症の啓発動画なのでしょうか?」と問題提起。動画冒頭にある「楽して生きる人生をみつけた」という動機づけは
「ギャンブル依存症になる人間は怠け者である」という誤ったステレオタイプのギャンブル依存症者像を強化するもの
と批判します。対処方法も「医学ではなく、ただの無知による精神論」と一刀両断。動画内の「鬼」も「本来であれば未成年や若者をターゲットに違法行為を行わせる『違法業者』に向けられるべき」と訴え、当事者を「鬼」とするのは「自尊心を傷つけ、孤立を深める結果となります」と続けます。
田中氏は「是正の要望書を提出しようと考えております」と綴るとともに、「このような酷い動画が大阪の青少年に届けられぬよう力を貸して下さい」と呼びかけました。
Xでは「審査員に当事者や依存症関係者がいない段階でアウトですね」「そもそも公営ギャンブルの広告や投票アプリに関わっている広告代理店に何をやらせておるのか」「大阪府のギャンブル依存症啓発動画の内容が誤解と偏見を招く内容で悲しい」「この問題の渦中にいる当事者や家族の気持ちは全くはかられてない」「依存症は、病気です。精神論で克服できるものではありません」と批判の声が続出する事態となっています。
【緊急のお願い】
大阪府が若者向け(高校生)のギャンブル依存症啓発動画を公募し、株式会社 博報堂プロダクツ 関西支社 が選ばれました。当会も応募しましたが、審査の結果、当会は最下位でした。
こちらがその結果ですが、当会以外は広告代理店等の企業で、審査員は依存症関係者ではありません。… pic.twitter.com/nzPRQqIHY9— 田中紀子 Noriko Tanaka (@kura_sara) January 27, 2026
記事提供元:YouTubeニュース | ユーチュラ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
