“身体のリストラ”が老齢期医療に革命? 染谷将太主演、久坂部羊原作「廃用身」特報
イチオシスト
2026年5月に劇場公開される、久坂部羊のデビュー作である同名小説の映画化作「廃用身」から、特報映像が公開された。
特報では、不穏な音楽とともに、染谷将太演じるデイケア「異人坂クリニック」の院長・漆原(染谷将太)の、正義に満ちた穏やかな表情から幕を開ける。「お年寄りの体重が軽くなったら、介護負担を減らすことができる」のセリフの後に映し出されるのは、芝生の上で車椅子の老人たちが輪になり、楽しげに風船遊びをしている光景。一見すると平和そのものの映像に、「“身体のリストラ”をされた老人たちは、身も心も軽くなる・・?」というテロップが重なり、違和感が静かに忍び寄る。やがて、「もっと、早く切ったらよかったね」と、手足の欠けた老人の衝撃的なセリフが放たれ、映像は一気に戦慄の色を帯びていく。
あわせて、北村有起哉、六平直政、瀧内公美らの出演が発表された。そしてこの度、追加キャストとして、漆原に老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、本の出版を持ちかける編集者を北村有起哉。両脚と左腕の麻痺に苦しめられ、漆原の”画期的な治療”で人生を取り戻した岩上を六平直政。漆原を支える妻の菊子を瀧内公美が演じる。ほかに、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄らが脇を固める。
「廃用身」は、超高齢社会に突入した今の日本社会と地続きのテーマをはらむヒューマンサスペンス。ある町のデイケアに通うお年寄りの間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療がひそかに広まっている。究極にコスパの良い介護を目指すため、廃用身(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)の切断を行った結果、「身体も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者の矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していく。
主演は染谷将太。医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいく主人公の医師・漆原糾を怪演する。監督と脚本を務めるのは𠮷田光希。東京造形大学在学中より諏訪敦彦に師事し、塚本晋也作品での現場経験を経て、自主製作映画「症例X」で第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)の審査員特別賞を受賞。さらに第61回ロカルノ国際映画祭新鋭監督コンペティション部門の入選を果たした。そんな𠮷田監督が、学生時代に原作と出会って衝撃を受けて以来20年にわたり温め続けてきた、渾身の企画を映画化した。
北村有起哉らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■北村有起哉
私は最初にこの台本を読んだ時、気がつけば実際に起こったノンフィクションの話だと思い込んで読み進めてしまっていました。それくらい身の回りで起きてそうだと自然に想像をし、自身にあるいは自身の家族にそして、医学が発達している世界中の人々にもふりかかってくる永遠のテーマだと感じたからです。
ご覧になる方は今まで見逃していた新たな倫理観に揺さぶられると思います。そして問われると思います。このテーマに共感できるか、拒絶するか。
ぜひともたくさんの方に劇場で観ていただき、賛否が激しく分かれてほしいです。
■六平直政
この映画に出演が決まってから、原作の小説を読んで今まで知らなかった、廃用身の世界をしって、人間の心と体のバランスの中身や医者と患者の関係性や自分の肉体と気持ちの戦い方や本人と家族の関係性の問題を自分なりに考えるようになりました。撮影を終えて、自らの身体を切って、心を開放していく老人たちの気持ちを考えるようになりました。この難しい社会の闇の問題を、映画をご覧になる皆様に是非考えて頂きたいと思います。私の演じた岩上老人の葛藤と家族との生き様を是非味わって頂きたいと思います。
■瀧内公美
𠮷田監督が新作を撮られると聞き、これまで作品を追いかけ続けてきた身として、お声がけいただけたことをとても嬉しく思いました。
原作は、ルポルタージュかと思うような小説で、何度読み返しても「これは本当に小説(物語)なのだろうか」と戸惑い続けました。
どう演じることが正しいのか、どう在るべきなのか。現場に立ちながらも、答えを探し続ける日々でした。クランクアップ後も、あの日々が自分の人生と地続きのまま生きているような感覚があり、ふとした瞬間に思い出していました。
完成した作品を観たとき、ようやく「あれは作り物だったのだ」と受け止めることができ、昇華されていくような思いです。
【作品情報】
映画『廃用身』
2026年5月TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:アークエンタテインメント
©2025 N.R.E.
記事提供元:映画スクエア
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