ノーマルの「あと少し」を変える。HKSが提案する“気持ちいい”チューン入門

イチオシスト

ノーマルのままでも楽しい。でも“もう一段気持ちいい”が欲しくなる瞬間がある
ノーマルのままでも、クルマは十分に楽しい。
けれど走っていると、ふと「もう少しこうだったらいいのに」と思う瞬間がある。
段差で収まりが悪い、コーナーで腰が落ち着かない、踏んだときの伸びがもう一息……。
その“小さな不満”は、クルマ好きほど敏感に感じるポイントでもある。
HKSが支持される理由は、そうした日常の違和感を「速さ」だけでなく、“気持ちよさ”として整えてくれるところにある。東京オートサロン2026でも掲げたテーマは「すべてのクルマに、ベストなチューンを」。新車から旧車まで、誰のクルマにも“ちょうどいい変化”を用意する姿勢がブース全体から伝わってきた。
今回は、オートサロンで見つけた「あと少し」を変えてくれるHKSの最新商品を紹介しよう!
HKSは“独自の走り心地”を日常に持ち込む総合チューニングメーカー

HKSは1973年創業のチューニングメーカーで、エンジン、排気、足まわり、電子制御など、クルマの“走りに効く部分”を幅広く手がけてきた。
ここで大事なのは、HKSが「速さ」だけを売りにしていない点である。
東京オートサロン2026で掲げたテーマは『Customize Anything. Drive Everything. — すべてのクルマに、ベストなチューンを。』。新車から旧車まで、幅広い車種に“そのクルマに合う気持ちよさ”を提案していた。
また、HKSが支持される理由は「単品で終わらない」こと。パーツ単体の性能だけでなく、組み合わせたときにクルマ全体のバランスが崩れないよう、トータルで考える。さらに近年は、同社が“クルマそのもの”を仕立てる車両販売(THE HKS)まで手がけ、パーツ開発の考え方を実車で証明しているのだ。

すべてのクルマを対象にした“広いブース”

オートサロン2026のHKSブースは、クルマ、パーツ、グッズでゾーン分けされ、「どこを見ればいいか」が直感的に分かる作りだった。

コンセプトを象徴する展示として、究極の例=コンプリートコンセプト「THE HKS」と、筑波サーキットでのタイムアタックを主眼としたシビックType Rベース車両「HKS Racing Performer FL550R」を配置。
“ガチ勢の世界”に見えて、実は「クルマを良くするには、どこから触ると効くのか」を教えてくれる構成だ。
ブース設営でもリデュース、リユース、リサイクルを意識し、過去の機材を再利用するなど、環境面にも配慮している点はHKSらしい。

幅広いパーツからピンポイントなパーツまで大注目!

数えきれないほどのパーツが並ぶ中で、今回は「まず変化を体感しやすい」「悩みが出やすいポイントに効く」ものを中心にピックアップして紹介する。
派手な数値よりも、“なぜこのパーツが必要で、何がどう気持ちよくなるのか”にフォーカスしたい。
タウンドライブからワインディングまでHKSの走り心地
【ハイパーマックスS】

サスペンション(車高調)は、見た目を変えるだけのパーツではない。路面の凹凸をいなしつつ、タイヤを路面に押し付け続けることで、ハンドリングの気持ちよさや安心感を作る“走りの土台”だ。ノーマルは万人向けに作られているぶん、車種によっては「段差で収まりが悪い」「コーナーで落ち着かない」「スピードを上げるほど硬さが気になる」など、惜しい部分が出やすい。

そこで効いてくるのが、HKSの新しいHIPERMAX Sである。たとえばGR86用では、車両のキャラクターを尊重しつつ、減衰(ダンパー)の“初期の立ち上がり”を煮詰め、ハンドリングのシャープさを保ちながら、高速域で不必要に固まらないよう何度もテストしたという。リアには0.5K刻みのスプリング選定を初採用し、乗り味の仕上げにこだわる姿勢も見える。
WRX S4用では路面追従性を高めてストリートでの乗り心地向上を狙い、フロントにピロアッパーを採用してキャンバー調整にも対応するなど、“楽しみ方の幅”まで含めて考えられている。

いきなりサーキットではなく、普段の道から「運転がラク」「曲がるのが気持ちいい」を積み上げたい人に刺さるアップデートだ。耐久性も向上し、3年6万キロの保証を実現している。
気持ちよい走りをサポートするすごいヤツ!
シビック・タイプR、フェアレディZ NISMO、GRスープラ用を追加
【メタルキャタライザー】

キャタライザー(触媒)は、普段あまり意識しないが、排気の流れを左右する“要”である。とくにターボ車はタービン直後の排気抵抗が走りのフィーリングに影響しやすく、マフラーだけ替えても「思ったほど気持ちよくならない」と感じる原因がここに残っていることもある。
HKSのメタルキャタライザーは、排気効率を上げつつ“ちゃんと公道で使える”ことを狙ったバランス型だ。FL5用では150セル触媒を採用し、排気効率を高めながら第三者機関の排ガス証明も取得。さらにターボ接続部をロストワックスで専用設計し、下流側をφ74.7(3インチ)とすることで、低背圧化をうたう。
環境に配慮しつつ「踏んだ分だけ気持ちよく前に出る」方向で、運転の余裕を作ってくれるパーツだ。

エンジン関連のパーツも見逃せない
“走りを変える”といっても、サーキット専用の世界に限らない。耐久性や温度管理のように、クルマを長く気持ちよく使うための“守りのチューン”も重要だ。ここからは、HKSの開発力が分かりやすい2点を紹介する。
ヘッドシステムのハイエンドスペック!
【BCD PISTON FULL KIT 2JZ-GTE3.4L STEP Pro】

これは競技向けのプロトタイプだが、HKSが“壊れない速さ”をどこまで本気で作っているかが見えるパーツである。2JZ-GTE用の排気量アップキットに、競技前提で高回転を狙う「STEP Pro」を新開発中。BCD(Bridge Concept Design)ピストンや新設計クランクなど、最新理論を投入している。
たとえばピストンは従来品比で約11%軽量化し、高オクタン燃料前提で圧縮比10.0に設定。コンロッドはI断面で座屈強度を50%向上させるなど、“回しても安心”のための思想が詰まっている。
普段乗りの人でも、「HKSって“速さの中身”まで作るメーカーなんだ」と理解できる展示だった。
シビック・タイプRユーザーが待望の『+Rモード』攻略オイルクーラー
【OIL COOLER KIT BLACK】

スポーツモデルは、頑張って走るほど“熱”が問題になる。油温が上がると、エンジンは本来の力を出しにくくなり、安心して踏めなくなる。そこでオイルクーラーが効いてくるのだ。
FL5用のOIL COOLER KIT BLACKは、オイルクーラーに最適なエアフローを確保しつつ、水温への影響を最小限に抑える設計をうたう。高負荷走行でも安定した油温を実現するためのデザインで、エアインテークダクトは樹脂製(別売でドライカーボン製も用意)という。
酷暑だった2025年夏にテストを重ね、油温をこれまでより約20℃ほど下げることに成功した。うれしいのは水温やエアコンへの影響を考慮した配置設計がされていること。ストリートメインの方にもオススメできる逸品だ。
「パワーを上げる」ではなく、「気持ちよく踏める時間を伸ばす」――運転の楽しさに直結する、実は“効く”パーツだ。
(編集協力:株式会社エッチケーエス)

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