日産再建のカギを握る一台を公道ガチ検証! 4代目ルークスは"軽3強"に食らいつけるのか?
イチオシスト

昨年9月19日の発表から11月30日までに、受注台数は2万2000台超。人気カテゴリーでの好調な滑り出しが話題を呼んでいる
フルチェンで4代目へと進化した日産の軽ルークス。気になるのは、その走り。というわけで公道チェック! さらに開発キーマンも直撃。ルークスは、軽市場の最激戦区スーパーハイトワゴンで存在感を発揮できるか!?
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【日産の大逆襲は、ルークスから始まる!?】軽自動車がニッポンの新車市場で猛威を振るっている。シェアは驚異の約4割。その最前線で最も熾烈な販売バトルを繰り広げているのが、後席スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンだ。
同カテゴリーで10年連続、軽新車販売台数トップを独走するのがホンダのN-BOXで、この〝絶対王者〟と激戦を繰り広げているのがスズキ・スペーシア、ダイハツ・タント。そして、ここに日産が本気の殴り込み。経営再建の荒波を乗り越えるべく最激戦区に切り札的に投入されたのが4代目ルークスだ。
全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の発表によると、ルークスは昨年11月の軽新車販売台数ランキングで5位に食い込んだ(7741台)。首位N-BOXの販売台数は1万6198台。正直言って絶対王者との差は依然として大きい。だが、盤石に見える王者の背中が〝射程圏〟には入ってきた。

価格は167万2000~234万8500円。上級グレードはオプション特盛りだと300万円超えも......

今回ハンドルを握ったのはルークスのターボ仕様。全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
辛口で知られる専門家も驚きを隠さない。
「現行の日産の白ナンバー車より〝日産らしい〟。しかも走りが驚くほど洗練されている。ただし、売れているのは最上級モデル。オプション特盛りだと300万円超も(苦笑)」
神奈川県横浜市の日産本社を起点に行なわれた報道陣向け公道試乗会で、週プレ自動車班も度肝を抜かれた。ルークスは、もはや〝軽〟という枠に収まっていない。軽にありがちな「うるさい」「疲れる」「落ち着かない」といった弱点を、真正面から潰しにきていた。
高速道路での横風や合流などでも怖さがない。視界は広く、その走りは軽の常識を完全に超えていた。これこそが、日産が本気で軽市場を獲りにきた〝証拠カー〟だ。

室内で目を奪われるのが12.3インチの近未来的な大型統合インターフェースディスプレー

試乗車はターボエンジン搭載モデル。高速道路の合流や追い越しでもストレスは一切ナシ
日産のマーケティング担当者も手応えを隠さない。
「モデルチェンジ前と比べて販売ピッチは一段上がりました。想定を超えています。これまではタントからの乗り換えが中心でしたが、最近はN-BOXからの流入が増えています」
しかも売れているのは最上級グレード。安い軽ではなく、〝いいクルマを選ぶ層〟が動いているのだ。
この試乗会で、複数の日産関係者に目標を聞いたが、返ってきた答えは超ド直球。
「狙うのは軽のトップ。競合3社を超えて首位に立つ」
ここまで露骨に〝頂点〟を口にするメーカーは、ほかにはない。それだけ日産は、このルークスに社運をかけているとも言える。
つまり、4代目ルークスは、単なる新型軽ではない。日産の国内市場における反転攻勢の試金石であり、象徴的な存在なのだ。

「軽自動車には興味がなかった」と笑う永井 暁氏。日産のスポーツカー開発の第一線で活躍。近年は軽EVサクラの開発にも携わった
開発キーマンには永井 暁氏が名を連ねる。日産のスポーツカー、スカイラインGT-R、フェアレディZ、シルビア。近年はデイズ、ルークス、サクラという日産の軽を手がけてきた人物。
「ハンドルがあって、タイヤが4つあって、エンジンやモーターがあれば、その本質というのはスポーツカーでも軽でも変わりません」
永井氏は「自分が乗りたい軽」を追求したと笑う。課題だった〝ハンドリングと乗り心地の両立〟にはカヤバ製のショックアブソーバーを採用し、コストを惜しまず磨き上げ、操縦安定性と快適性を両立させた。
背景にあったのは運転時の疲れだ。音、視界、ステアリング。軽が抱えている弱点に対して、ひとつずつ丁寧に向き合ったという。
「直進性の悪いクルマを重いハンドルでごまかすと、無意識に修正し続けて疲れる」
視界の良さ、直感的に扱える操作系、そして懐の深い走り。目指したのは、ドライバーが万一操作を誤っても簡単には破綻しない安心感だ。その思想は、まさに〝新生日産の入り口〟にふさわしい。奇をてらうことなく、愚直に造り込まれた一台なのである。
「残念ながらルークスの存在はあまり知られていません」
永井氏はそう苦笑してから、真顔でこう語った。
「乗れば評価されます。でも、知らなければ選ばれない。CMなどで露出が増え、『日産に軽があるのか!』と気づいてもらえれば、流れは必ず変わる。新型ルークスに触れて、『やっぱり日産、いいな』と思ってもらえたら、これ以上うれしいことはありません」
日産が4代目ルークスで軽3強に食らいつく。
取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾
記事提供元:週プレNEWS
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