これぞ日本人の特権? "おにぎり呑み"ブームがやって来る!
イチオシスト

おにぎり専門店の居酒屋業態「夜山太郎」の(左から)明太子×高菜おにぎり(570円)、麻薬たまごおにぎり(570円)、すじこ×鮭おにぎり(900円)と、日本酒飲み比べ(1400円)
空前のおにぎりブーム。主食と思われがちだが、実はおにぎりでお酒を呑(の)む「おにぎり居酒屋」が増えているという。実態を調査してみた! *価格は税込で店内飲食のものです
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【口コミでジワジワ広がる】今年流行しそうなグルメについて教えてくれたのは、飲食トレンドリサーチャーの山口えりこ氏。
「"おにぎり呑み"がはやりそうです。今、空前のおにぎりブーム。東京・大塚の『ぼんご』をはじめとする、具材たっぷりで満足度の高い専門店のおにぎりが話題です。メディアでも多く取り上げられ、レトロな店の前に多くの人が長蛇の列を作っています。
そんな老若男女問わず愛されるおにぎりがついに夜にも進出してきました。こだわりのおにぎりを食べながらお酒を呑むのがトレンドになりつつあります」
酒席でおにぎりはシメで、つまみにしては少し重たい気もするけど......。
「確かに、これまでおにぎりは主食として食べるイメージが定着していました。
しかし、東京・雑司が谷のおにぎり専門店『おにぎり・とん汁 山太郎』が2023年より居酒屋業態として『夜山太郎』をオープン。『おにぎりとお酒なんて本当に合うのか?』と最初は懐疑的に思われており、しばらくはあまりパッとしなかったそうですが、地域の人の口コミを中心にジワジワと広まり、今ではひっきりなしにお客さんが訪れる人気店に。
今年は夜山太郎のほかにも、新しい『おにぎり居酒屋』の台頭や、実は昔からおいしいおにぎりを出していた居酒屋が注目を集めていくと予想されます」

おにぎりはふっくら手握り
というわけで、早速「夜山太郎」に行ってみた。
土曜夜オープン直後の17時に訪れたが、30分もたたないうちに満席に!
記者の隣の席に座ったのはメキシコからの観光客カップル。たどたどしい英語で質問すると、「Airbnb(エアビーアンドビー)でこの店をオススメされて来た。メキシコでもおにぎりは大人気で、おにぎりを出す和食店がたくさんある。本場で食べられるのが楽しみ」とのことだった。
メインは「手巻き握り」(350円~)。おにぎりよりご飯の量が少なく、軽く食べられるのが魅力。一方、おにぎりはボリューミーでひとつ570円から楽しめる。

ご飯が軽めの「手巻き握り」が人気。アテとして具材だけでも注文可能
具材は共通で27種類。昼の山太郎は具材の2種盛りが有料だが、夜山太郎は無料で組み合わせることができるのもうれしい。女将(おかみ)のオススメは「鮭×すじこ」。パリパリで香ばしいノリと口に入れた瞬間ふんわりほどけていくご飯に、新鮮なすじこと程よい塩気の鮭が相性抜群だ。
酒は「日本酒飲み比べ」を注文。甘みのある米と濃い味の具材に風味の異なる3種の辛口日本酒が予想以上にマッチしている。
おにぎりと酒の組み合わせについて女将さんはこう語ってくれた。
「日本酒好きの方は『米には米が合う』というのをよく知っているので、当店には日本酒にこだわりのあるお客さまが多くいらっしゃいます。"おにぎり呑みブーム"、ぜひはやってほしいですね(笑)。
具材はひとつひとつ丁寧に仕込み、握り方にもこだわっています。お酒も日本酒を中心にいろいろなものを取りそろえているので、ぜひおにぎりとお酒のマリアージュを多くの方に楽しんでもらいたいです」
ちなみに、おにぎりの具材のみを小鉢として注文することも可能。余ったおにぎりは持ち帰りもできるので、翌日の朝ごはんにするのもよさそうだ。
続いて向かったのは、東京・渋谷の「ほとばしり酒場コウノトリ」。山口氏がこう推す。
「無農薬・減農薬での米作りにこだわった、兵庫県但馬(たじま)産『コウノトリ育むお米』のコシヒカリが都内で食べられる希少な居酒屋。
実は、ここのおにぎりは裏メニュー的存在。『土鍋で炊いた白いごはん』というメニューを注文すると、炊きたての土鍋ご飯がたっぷり運ばれてくるのですが、店員さんにお願いするとそれをそのままおにぎりにしてくれます。
素にぎりなので、米本来の甘み、うまみが楽しめます。こちらも日本酒にぴったり合います」

ほとばしり酒場コウノトリ(東京都渋谷区宇田川町26-3 サンルイビル B1)
というわけで注文。こちらの土鍋ご飯にはご飯のお供が一品ついてくる。この日のお供はおにぎりの定番、高菜明太。これに加えて、炭火でじっくりと焼き上げた「大トロいわしの原始焼き」も注文。お酒は店員さんイチオシの日本酒「作 玄乃智(げんのとも)」をもらった。
土鍋ご飯をおにぎりにしてもらうよう店員さんに依頼すると、迫力のあるドデカおにぎりがふたつ登場。
まずはそのまま何ものせずにひと口。ほかほかでやわらかく、甘みが強い。おにぎりの握り加減も硬すぎずやわらかすぎずちょうどいい。これだけで日本酒が進む。そして、塩気が強い高菜明太や脂の乗った「大トロいわし」を加えると、これまた米のうまみが引き立つ。
米本来のおいしさを味わうのもよし、いろいろな具材をのせるのもよし、多様な楽しみ方ができる贅沢(ぜいたく)なおにぎり呑みだ。

土鍋で炊いた白いごはん 1~2人前(1188円)、日本酒 グラス(660円)。裏メニューとして土鍋ご飯をおにぎりとして注文可能。酒のアテをおにぎりの具材にして自分流のアレンジが楽しめる *ごはんはおにぎりとして注文
お店の代表取締役に話を聞いた。
「うちはおにぎり専門の居酒屋ではありませんが、全国的におにぎりがはやっていますよね。酒のアテをおにぎりの具材にして自分でアレンジを楽しんでいただけますし、日本酒を中心にいろんなお酒に合うと思います。
また、おにぎりはインバウンド需要も高い。例えばフランスのおにぎり屋さんは高額なのにものすごく混んでいます。全世界で日本カルチャーとして浸透するおにぎりをつまみに、日本酒を呑めるのは日本人の特権だと思います」
おにぎり居酒屋はこれからもどんどん増えていきそう。見つけたらぜひおにぎり呑みを試してみては!?
取材・文/渡辺ありさ
記事提供元:週プレNEWS
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