初心者でも楽しめるワカサギ釣りの基本　魅力・道具・釣り方を徹底解説

ワカサギ釣りは、初心者からベテランまで幅広く楽しめる懐の深い釣りだ。手軽なタックルで数釣りができる一方、状況を読み切ればテクニカルな駆け引きも味わえる。さらに釣って楽しく、食べておいしい。そんなワカサギ釣りの魅力と基本を、順を追って解説する。

（アイキャッチ画像提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

ワカサギ釣りの魅力

ワカサギ釣りの魅力は、手軽に楽しめることだと思う。基本的に魚影が濃い魚なので、初心者や子供でも十分楽しめる。大概のボート店ではレンタルタックルがあり、その日だけの釣りが楽しめるのもうれしい。

連掛けでヒット（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

その反面、釣り方によってはテクニカルな釣りを展開できるのもこの釣りの魅力。状況によってタックル、釣り方を変えていけば多くの釣果が望めて釣り人を魅了する。そして食べてもおいしい魚。ウロコを取ったり、腹を出したりの下処理が楽なのもうれしい。

ワカサギの生態

ワカサギはキュウリウオ科に属する魚で、動物性プランクトンを主食とし、群れを作って回遊する習性がある。ワカサギといえば湖に住む淡水魚のイメージがあるが、本来は汽水～海水域にかけて生息する魚だ。

きれいな魚体（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

サケのように川で生まれて海に下り、そして冬になると川を再び遡上して産卵を行い、一生を終える。ではなぜ各地の湖に生息しているかというと、ワカサギは適応能力が高く食用としても価値が高いことから、各地で放流が行われているのだ。ワカサギ釣りは、結氷した湖で楽しむ氷上の釣りをイメージする人が多いと思う。

しかし氷上の釣りができるのは北海道、東北、福島、群馬、長野県など一部。東海地区ではボート釣りがメインで、シーズンや地域の釣り場によってさまざまなスタイルで楽しまれている。

東海地区で主流のボート釣り

地域によっては晩夏から楽しめる。特に秋から冬にかけては数が釣れる。東海では愛知県犬山市の入鹿池、岐阜県山県市の伊自良湖、恵那市の根の上湖が有名。このスタイルの一番良いところは、広いフィールドの中からポイントを自分で選択し自由に動けること。

その分ポイントを見る目、見切りが重要になってくる。初心者の人はボート店でその時釣れている場所をしっかり聞くことはもちろん、ネットなどを駆使し過去の釣果情報をチェックして、どのポイントでいつごろ釣れだすかを頭に入れておくと、ポイントの移り変わり見えてくる。

ワカサギ釣りの道具

ワカサギ釣りの道具は、他の釣りに比べて少なく電動リールなどを除けばボート店で気軽にレンタルできる。大まかな道具はサオ、リール、仕掛け、オモリだ。

ワカサギタックル（作図：週刊つりニュース中部版・松森渉）

サオは釣行する場所によって長さが変わる。ボートや桟橋からの釣りならばトラウト用のロッドや、ボート店でレンタルできる50cm〜2m前後の穂先が軟らかいワカサギ用のサオで十分。

もちろん電動リール用の短い軟らかい穂先のサオも良い。氷上やドーム船だとサオが長いと不便なので、最近は電動タックルが主流だ。とにかく繊細なアタリを取るワカサギ釣りに硬い穂先のサオは不向き。食い込みが悪く釣果が伸びない。

電動リールが便利（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

リールは普通のスピニングリールやベイトリールでも良いが、釣果アップを求めるならワカサギ用として発売されているタナ取りができるリールが良い。どのタナで食ったか分かれば、おのずと釣果は伸びる。また最近急速に普及している電動リールはとても便利。少し値は張るが、一度手にしたら手放せなくなる。ボタンひとつで仕掛けを速く巻き上げるため、手返しか早くなる。

また電動リール専用の穂先はとても軟らかく、繊細なアタリも逃さない。食い込みも良く、釣果アップは間違いない。軽くて一日釣りをしても疲れない。近年は電動タックルの釣りが主流になりつつある。

ワカサギの仕掛け（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

ワカサギの仕掛けは、数本の枝バリが付いた胴つきタイプで、ハリ数は5～7本が基本。多いものは10本以上のものもある。ハリの種類は袖型、狐型があり、状況により使い分けると良い。

袖バリはバレにくい形状なので、活性が高いときや水深がある場所で。狐バリは吸い込みが良い形状なので、低活性時や小型中心のときに向いている。号数は1〜2号を常備しておくと、広く対応できる。

オモリはアタリが取れるギリギリの重さを選択する。重すぎるとアタリが取りにくくなり、軽すぎると沈下スピードが落ちて手返しが悪くなる。

魚探があれば的確に数を稼げる（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

最近は重めのオモリを使った釣り方が普及し始めている。重めのオモリのメリットは沈下スピードが速い、オモリが支点となりハリ掛かりが良くなる、3〜4匹の多点掛けになりやすい、風に強い、2本ザオのときにオマツリになりにくいなどが挙げられる。

基本的な釣り方

タックルをセットしたらまずはエサを付ける。そしてタナ取りをする。基本は底まで仕掛けを落とす。活性が高いときは仕掛けが底に着いた時点でハリ掛かりする。仕掛けを落とし、釣れたらまた巻き上げる。この一連の動作を手返しと言い、手返しの早い人ほどよく釣る。

エサのアカムシ（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

後は誘いとアワセ。誘いはワカサギ釣りの基本動作で、活性が高いときは、何もしなくても向こうからエサに食いついてくるが、大抵は誘わないと食ってこない。

エサのベニサシ（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

誘いの基本は上下に動かし、水中でエサがフワフワしているようにする。誘いを入れた後は、サオの動きを止めてアタリを待つ。アタリがなければ誘っては止めるの動作を繰り返す。

ブドウムシ（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

誘いはいろいろなバリエーションがある。チョンチョンッとアタリがあったのに、巻き上げると何も付いていないことがよくある。ワカサギは一度口に入れたエサに違和感があると吐き出す。

ブドウムシハンガーに掛ける（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

アタリを感じたらサオを持ち上げ、ハリ掛かりさせる必要がある。ただしアワセを入れてもハリ掛かりしないこともよくあるので、サオ先の感触でワカサギが付いていることを確認してから巻き上げよう。

状況別の釣り方＆タックル

パターン別で釣り方とタックルを解説しよう。

手返しの早さが重要（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

高活性パターン

ワカサギの活性が高いときは、基本的に仕掛けを落としただけで食ってくる。こんなときはサイズも良いので、穂先は硬めで手返し重視でいきたい。仕掛けは小バリは使わず、1.5〜2号の5〜6本バリの袖バリ仕掛けで挑みたい。オモリも7〜10gと重めで、多点掛けを狙う。

エサはサシを半分カットで釣れる時間帯は、エサ交換を後回しで釣りを展開しよう。

中層パターン

シーズンに何度もある中層パターン。特にシーズン初期は、中層パターンがほとんどだと思う。群れのタナが絞り切れずバラバラで、群れが回ってくる。そんなときは仕掛けの全長を長くして、守備範囲を広げたい。

2本ザオの2刀流（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

通常の仕掛けは全長50〜60cmだが、中層狙いの仕掛けは90〜120cmで倍近く長い。また全長の長い仕掛けは枝スも通常仕掛けよりも長いので、広く探るに適した仕掛けといえる。

ただし仕掛けの全長が長い分扱いが難しくなるので、長めの穂先を使用したい。最近では穂先の全長を長くする延長キットもある。

食い渋りパターン

シーズン後半ともなると、ワカサギもスレ始める。アタリがあっても、ハリ掛かりしないことも多々ある。こんなときは穂先の軟らかいタイプをチョイスしよう。何らかい穂先は、繊細なアタリも出してくれる。大半の仕掛けがフロロカーボン素材だが、最近はナイロン素材が出始めた。ナイロンのしなやかさが食い気を誘う。

軽めのオモリを使い、誘いをより自然にしたい。重めのオモリだと誘いが単調になりやすい。エサは通常は半分カットだが、3分の1カットに小さくする。またエサ交換もよりマメにしたい。

釣ったらすぐフラシへ（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

ベタ底でしか食わないパターンの場合は、ハリ数を4本ぐらいまで少なくし、手返し最重視でいきたい。また状況によっては下バリも付けたい。

マナー

ワカサギ釣りは誰もが手軽に楽しめる。しかし水深がある場所を釣るこの釣りは、それなりに危険もある。ボート釣りでは、必ずライフジャケットを着用すること。基本寒い時期での釣りなので、防寒はしっかりしよう。風が強い日は無理な釣行は避けよう。

また釣り場によってその釣り場のルールがあるので必ず守ってほしい。例えば練りエサなどの寄せエサは禁止。湖によっては出船時間も決まっている。そして当然だがゴミは必ず持ち帰ろう。

おいしく持ち帰ろう

釣れたワカサギはバケツやフラシに入れて、泥などの内容物を吐き出させる。あとはこまめにクーラーボックスに入れること。ワカサギはスーパーや魚屋ではめったに買えない小さな高級魚。

ワカサギ釣りの風景（提供：週刊つりニュース中部版・松森渉）

釣りたてのワカサギを食べられるのは釣り人の特権だ。釣って良し食べて良しのワカサギ釣りは、これから最盛期を迎える。

＜週刊つりニュース中部版・松森渉／TSURINEWS編＞