“放浪紳士”のルーツに迫る「チャップリン」、アザービジュアルと著名人コメント公開
イチオシスト
山高帽とちょび髭がトレードマークの“放浪紳士”に扮し、庶民の哀愁や社会風刺を織り込んだ数々のドタバタ喜劇を送り出したチャーリー・チャップリン。そのルーツを、彼の子どもたちと著名人の証言ならびにさまざまな映像を織り交ぜて紐解いたドキュメンタリー「チャップリン」が、12月19日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国で順次公開される。アザービジュアルと著名人のコメントが到着した。

〈コメント〉
黒柳徹子(女優・ユニセフ親善大使)
チャップリンにロマ(ジプシー)の血が流れていた、と二人の息子が話している。
ジプシーヴァイオリンが聞こえる。アフリカのケニアに家族を連れて行くチャップリン。
生い立ち。若いチャップリンが映っている。感動した。
堺正章(歌手、俳優、司会者)
偉大な父親の下に生を受けた子供の人生はとても複雑な歩みになる運命が付き纏うのです。
豊かな生活とは裏腹に、素直な思いで父親に抱きつけない…どこかよそよそしい見えない壁に囲まれていた日常があったと思います。
自分の父親ではなく全世界のチャップリンだったのです。
私の父もこの世界で活躍した男だったので(チャップリンほど偉大ではありませんが)、息子さんの気持ちに共感できる作品でした。
三谷幸喜(脚本家)
チャップリンは紛れもなく最高の喜劇作家ですが、彼の作品は笑いだけでなく、深いペーソスに溢れ、時には優れた社会風刺もある。
でも、その深いペーソスと優れた社会性ゆえに、純粋なコメディとして見た時に、彼の作品をキートンやマルクス兄弟よりも低く評価する風潮があるのも確か。違うんです。彼の本質はあくまで喜劇なんです。だから僕は「キッド」で涙するのと同じ分だけ爆笑するし、「独裁者」で感動するのと同時進行で笑い転げるのです。喜劇王チャップリン、万歳!
浅利陽介(俳優)
チャップリンが家族に残した言葉が聞けて彼の性格や生い立ちを生々しく感じ取れました。
僕には彼のようなルーツはありませんが、幼少のときに何度も見返した作品には全て開放的な力があり、特に印象に残ったところはマネして怒られた記憶があります。
今だにやってしまうのは、帽子をパタっと持ち上げて挨拶することでしょうか…。
また、改めて素直に笑うことが出来るかどうか、チャップリンの作品を見返してみたいと思っています。
そして、いつかスイスのチャップリンミュージアムに行き地元の白ワインを堪能したいと強く思いました。
羽佐間道夫(声優)
私の職業は、声優です。
嘗て、淀川長治さんからの刺激を受けて、チャップリンの無声映画を観るようになりましたが、我々の力で、「もう少しこの時代の映画を広め、深める事が出来ないものか?」と、舞台上で、人気声優の生声による有声化を考案。
振り返れば愚かにも、「声優口演」と銘打って日本チャップリン協会の大野裕之氏の助力で、今から20数年前、野沢雅子、山寺宏一を伴って、舞台上で瞬時に画面を有声にする活動を始めました。それはそれで、チャップリンを現代に繋ぐ役目を果たして来たと自負していますが、今回、このドキュメント『チャップリン』を観せて頂いて、直ぐに立ち上がれないほどの感動と衝撃を受け、我々が今後チャップリン映画を有声にして良いのか?との想い悩む事とも成りました。
{何故なのか}は、この作品をご覧頂ければ、分かる事と拝察しますが、彼は矢張り不世出の天才です。決して豊かではなかった環境で育ちながら、その後数々の無理解な環境を乗り越え、不屈に、尚、映画を制作して行く。
その目的や過程を、彼の血を受け継いだ孫娘、息子が実に丁寧に心込めて作り上げた佳作の作品と受け止めました。矢張りチャップリンは不滅なのです。
笠井信輔(フリーアナウンサー)
チャップリンの素顔を明らかにする…そんな「普通」の映画ではない。
世界一有名なスターを父に持つチャップリンの子どもたちが、次々と父への愛と葛藤を語ってゆくのだ。
彼は良い父だったのだろうか? 驚いたのは、年老いたお子さんたちの豊かな個性。
なんて魅力的な人達なのだろう。もうそれを見てるだけで満足。
カジヒデキ(ミュージシャン)
「今すぐ父をハグして、一緒にお酒を飲んで親孝行したくなった」
そんな気持ちにさせてくれるとても美しい家族映画でした。
偉大な喜劇王チャップリンのルーツを知ると共に、息子マイケルの優しさと哀愁に満ちた父のルーツ探しの旅は、亡き父との心の隙間を静かに埋めていく、親孝行の旅ではないかと思いました。
家族との時間は何よりも尊い。
大野裕之(脚本家・日本チャップリン協会会長)
幼い頃から偉大すぎる父の存在に重圧を感じ、一時は激しく反発した息子マイケルが、父との繋がりを求めて旅に出る……。
心の傷が癒やされ、マイケルの表情に平和が訪れた時、私たちは気づくのだ。
確かにチャップリンとマイケルは繋がっていることに。
そして、チャップリンの魂と私たちが繋がっていることに。
これは喜劇王の生涯を描く「普通の」ドキュメンタリー映画ではない。
観た後に自由な魂を求めて旅をしたくなる、そんな不思議な愛の映画だ。
岩谷彩子(文化人類学者、「ジプシー」/ロマ研究)
みずからの出自を問い続けたチャップリンの人生と映画を、彼の子どもたちとロマ文化にゆかりのあるアーティストたちがたどるドキュメンタリー。
チャップリンが映画にこめた哀しみと生に対する強い肯定が、彼が家族と過ごした穏やかで美しい時間とともに紐解かれる。
誰しもが向かう生の果てに、何ものにもとらわれない自由を求めて──チャップリンは普遍の時空をさすらい続ける。
片岡一郎(活動写真弁士)
物事の本質をつかむには二つの方法がある。ひとつは記録を、もうひとつは記憶を、深く辿ることだ。
本作を見た者はチャップリンゆかりの人々の記憶を足掛かりに喜劇王の根源を求める旅をすることになる。
それは単なる懐古的行動ではない。笑いによって世界と対峙し続けたチャップリンがどこから来たかを知ることは、我々がどこに向かってゆくのかを探る試みでもあるからだ。
©The Caravan Trail, A.I.E, Kwanon Films Limited, and Submarine Sublime 2024
Charlie Chaplin
© Bubbles Incorporated SA
配給:アンプラグド
記事提供元:キネマ旬報WEB
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