野球を伝える仕事をするということ【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第196回
イチオシスト

野球を伝える仕事について語った山本キャスター
この連載も、早いもので196回目を迎えます。
私は幼い頃から、両親の影響で野球が大好きでした。「いつか野球に関連するお仕事ができたらいいな」とぼんやり思っていましたから、この連載もそうですし、NHK BSの『ワースポ×MLB』でキャスターを務めさせていただけたことは、とても幸せでしたし大きな自信にもなりました。
そして最近、強く記憶に残ったのは、AmazonプライムのMLB東京シリーズや侍ジャパンの日韓戦でレポーターをやらせていただいたことです。
レポーターのお仕事は多岐に渡ります。一般的に目にすることが多いのは、甲子園の各校のベンチレポーターでしょうか。用意された原稿を読むこともありますが、試合前にインタビューした内容が差し込まれることも多いですね。スタンドにいる選手のご家族や応援団からの情報は、見る人の心を熱くさせ、応援にますます熱が入ります。
日韓戦では、第一戦に先発したオリックスの曽谷龍平投手に、試合の前日に話を聞くことができました。その中では「東京ドームで投げるのは初めてなので緊張しますが、10時間寝て臨みます」というコメントもいただきました。
そういった情報は、試合後のテレビニュースや翌日の新聞に載るようなものではないかもしれません。ですが、よりその選手のことがわかる"生きた情報"として受け取っていただけたらいいなと思っています。
私は昔から野球中継をたくさん見てきましたが、ちょっとした情報があるだけで試合観戦がもっと楽しくなります。今回はその情報を伝える側のレポーターというお仕事をさせていただき、とても楽しかったですし、大きなやりがいを感じました。

この連載も196 回......いつも読んでくださるみなさまに、心から感謝です!!
曽谷投手からは他にも、初体験のピッチクロックやピッチコム、メジャーで使用しているボールの感触、ピッチングの技術など、いろいろなお話を聞くことができました。おそらく曽谷投手は、インタビュアーである私だけでなく、その先にいるファンも意識していたのではないかと思います。
ちなみに今回の中継においては、レポーターが試合中に情報を差し込みタイミングは、レポーターの裁量に任される部分が大きく、「今だ」というタイミングで入るのですが、これが難しい!
ただ、「この打者の時は、こういう話が出るかな......」と予想して、それにまつわるエピソードを差し込めた時は快感です。ライブ感覚で試合をもっと面白くできる、魅力的な仕事だと思いました。
これまで私は、"流れ"に身を任せて生きてきました。この世界に入ったのも、たまたまお声をかけていただいたから。でも今は、「もっと野球の仕事がしたい」と胸を張って言えます。
プロ野球全体のことをお伝えするのもいいですが、愛するヤクルト固定も、もちろん幸せです。というのも、ヤクルトの中継ではベンチレポートがないんです。
ということで、マネージャーさんに確認をしますが、来年のヤクルトの試合がある日は、スケジュールをなるべく空けられたらと思います。そしていつかは、中継スタッフの仕事に就きたい子たちに向けた"山本シート"を設置するのが目標です。
きっと私には、ヤクルト1000の血が流れている。なんて。それでは、また来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
