京成線「駅別乗降人員ランキング」スカイライナー・成田空港エリアが躍進、押上発の新型特急構想、旧新京成線の上位駅も発表
イチオシスト

京成電鉄は、京成本線や成田スカイアクセス線などを通じて、千葉北西部や成田空港と都心を結ぶ広い路線網を有しています。京成電鉄が発表した、2024年度の「駅別1日平均乗降人員」のデータを見ると、インバウンド需要の本格的な回復を受け、空港関連駅の利用者が大きく伸びる結果となりました。また、2025年4月に京成電鉄へ吸収合併された「新京成電鉄(現・京成松戸線)」の駅データでは、千葉県北西部の交通網の厚みが改めて浮き彫りになっています。
この記事では、最新の京成電鉄の乗降人員ランキング・ベスト15を紹介するとともに、将来計画されている「押上始発の新型スカイライナー構想」など、変わりゆく京成ネットワークの未来について解説します。
京成線の1日平均乗降人員ベスト15
【京成線 全体ベスト15(1日平均乗降人員・2024年度)】
1位 押上 222,826人(うち連絡人員194,332人)
2位 京成高砂 102,056人(うち連絡人員67,049人)
3位 日暮里 101,435人
4位 京成船橋 90,840人
5位 京成津田沼 58,525人(うち連絡人員33,583人)
6位 青砥 48,727人
7位 勝田台 48,485人
8位 京成上野 48,475人
9位 八千代台 43,829人
10位 京成成田 36,328人
11位 空港第2ビル 35,735人
12位 京成八幡 35,135人
13位 成田空港 35,046人
14位 京成大久保 34,928人
15位 京成立石 34,621人

京成電鉄全体では微増、成田空港が重点項目に!
京成電鉄の2024年度(2024年4月~2025年3月)の1日平均乗降人員は2023年度から微増です。
全体として、京成船橋や京成津田沼、勝田台などベッドタウンの拠点駅が上位を占めるなど、通勤・通学需要と空港アクセス需要の双方が京成線の利用を下支えしていることがランキングからうかがえます。
成田空港関連駅の前年度からの伸びは顕著で、空港第2ビルが35,735人(11位)、成田空港が35,046人(13位)、計70,781人となり、インバウンドや海外旅行客の回復が数字に表れたとみられます。
京成電鉄は空港輸送を成長分野と位置づけ、中期経営計画で空港アクセス強化を重点施策に掲げています。足元の決算でも運輸業は増収・増益となり、成田空港アクセスを中心とした旅客需要の回復が業績を押し上げたと説明しています。
スカイライナーの増便や停車駅拡充、宗吾車両工場の拡張など将来的な空港利用増に備えた投資も進められており、空港機能強化と連動した輸送力向上に取り組んでいるということです。
28年度の押上始発の新型有料特急導入が明らかに
最も利用が多い押上は、都営浅草線、東京メトロ半蔵門線、東武スカイツリーラインが乗り入れ、東京スカイツリーの玄関口として国内外の観光客が多く訪れる駅です。浅草・銀座方面へ直通する利便性も高く、観光とビジネスの双方で利用が多い駅となっています。
こうした中、2028年度の運行開始を目指して押上始発の新型有料特急を導入する計画で、現行のスカイライナーとは別系統の空港アクセスルートとなる見込みです。
2位の京成高砂は、本線と成田スカイアクセス線、金町線が分岐する重要ターミナルで、空港アクセスと都心方面への乗り換えが集中します。
3位の日暮里はJRー成田空港方面へのアクセス拠点
3位の日暮里は、JR線との乗り換えが可能で、スカイライナー停車駅として成田空港アクセスの拠点になっています。

スカイライナーは成田スカイアクセス線を経由し、最高時速160キロ、最短約36分の速達性が特徴です。空港アクセスに関しては、京成電鉄と京浜急行電鉄が車両仕様や設備の共通化などを共同で検討していくとしています。

“昭和レトロ”と再開発の狭間で、京成立石(15位)
「せんべろの聖地」として親しまれ、駅前に昭和レトロな商店街や飲み屋街が広がる京成立石駅。現在は大規模な連続立体交差事業(高架化)と駅前の再開発が進行中で、かつての風景が急速に姿を変えつつあります。今の街並みを楽しめるのは残りわずかかもしれません。
都営浅草線との相互直通運転
京成電鉄は都営浅草線を通じて京急電鉄と相互直通運転を行い、成田空港と羽田空港を都心経由で結ぶルートを担っています。押上〜泉岳寺間では京成・京急・都営が混在して走行し、空港アクセスの需要拡大に対応するため、信号設備の改良などが進められています。
浅草線には押上〜泉岳寺を大深度地下で短絡し、東京駅付近に新駅(仮称・新東京駅)を設ける「都心直結線」構想があります。事業化は未定ですが、成田〜東京〜羽田を短い経路で結ぶ将来の検討案として位置づけられています。
京成電鉄ワースト5と新京成ベスト5は?あの”京成の秘境駅”もランクイン!
【京成線 乗降人員 ワースト5】
(※順位は69位から昇順)
1位(69位) 大佐倉 370人
2位(68位) 印旛日本医大 1,820人
3位(67位) 成田湯川 2,063人
4位(66位) 東成田 2,101人
5位(65位) 新千葉 2,167人
ワースト1位の大佐倉(370人)は、特急停車駅である京成佐倉の隣にありながら、森や田園に囲まれた静寂な佇まいから「京成の秘境駅」として鉄道ファンに愛されています。
ワースト4位の東成田(2,101人)は、かつての「成田空港駅」です。現在のターミナルが開業するまではここが空の玄関口でした。現在も当時の面影を残す広いコンコースや、使われなくなったホームが薄暗く残されており、独特の雰囲気を持つ「廃墟のような現役駅」として知られています。
新京成電鉄の乗降人員ベスト5
【新京成電鉄(当時) 1日平均乗降人員・2024年度(主な上位駅)】
1位 松戸 93,981人
2位 新津田沼 60,382人
3位 京成津田沼 42,763人
4位 北習志野 42,722人
5位 八柱 41,132人

松戸〜京成津田沼(26.5km)を結ぶ新京成線は、戦後の郊外開発に合わせて延伸され、現在の路線構成となった経緯があります。松戸駅はJR常磐線と接続しており、新京成線の利用者の多くがここでJR線に乗り換えます。
2025年4月1日、新京成電鉄は京成電鉄に吸収合併され、路線名は「京成松戸線」に変更されました。営業キロは京成津田沼〜松戸間の26.5kmで、対象駅は新津田沼(KS66)〜松戸(KS88)の23駅です。駅ナンバリングは京成方式へ統一され、車両外装や駅案内サインも順次京成仕様へ変更されています。なお、運賃とダイヤは現行のまま継続されています。
成田空港・千葉方面の交通を担う京成電鉄
2024年度のデータからは、成田空港への「観光・ビジネス輸送」と、千葉・東京間の「通勤・通学輸送」という、京成電鉄が持つ2つの大きな役割が数字として鮮明に現れました。
今後は、旧新京成線(松戸線)との統合効果や、2028年度を目指す「新型有料特急」の導入などにより、ネットワークの利便性はさらに高まっていくでしょう。首都圏の空の玄関口と生活路線を結ぶ京成電鉄の次なる展開に注目です。
(データ出典:京成電鉄、写真:PIXTA)
鉄道チャンネル編集部
(旅とおでかけ 鉄道チャンネル)
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