異例のステップVからファイナルQTへ 藤井美羽が心境を吐露し涙、心ないDMも「けっこう落ち込みました」
イチオシスト
<JLPGAファイナルQT 最終日◇5日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 東コース(茨城県)◇6418ヤード・パー72>
下部ステップ・アップ・ツアーの最終戦で優勝し、ファイナルQTからの出場となった藤井美羽(みう)は、トータル1オーバーと伸ばせずにQT62位で終えた。「風も出てきて翻ろうされてしまった」と3日目に「75」と後退。最終日も「73」と巻き返せなかった。
QT独特の緊張感がのしかかった。「(スコアを)落としちゃいけないと思ったらダメなのに、どこかでそう思っている自分がいて、攻めきれなかった」。2週間前のステップ最終戦「京都レディス」ではトータル7アンダーの好スコア。「それまでけっこう苦戦していたので、いい締めくくりができた」という勢いに乗りたかったが、来年の前半戦出場権は得られず。プロ4年目の来季も下部が主戦場になる予定だ。
今回のQTには、言葉では言い表せない複雑な感情も影を落としていた。京都レディスでは黄アルム(韓国)とのプレーオフに突入し、一時はアルムの優勝で決着したが、その後、アルムに14本のクラブ規定違反が発覚。アルムのプレーオフ1ホール目に2罰打が加えられ、状況が一転し、藤井の優勝が決まった。
このアルムのクラブ超過は、プレーオフ終了後にキャディバッグを下ろした時に、アルムが所有するものではないクラブが1本多く入っていることが判明されたことによるもの。4人一組で回るステップでは、一組に1人のキャディがつく仕組みで、いつ・どのような形でクラブが入れられたのかが不明瞭として、アルムは直筆の手紙で日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)に審議を要請していた。
大会終了後、藤井は自身のインスタグラムで「本当に気持ちが複雑で、こういう形になってしまって正直胸が痛いです」とつづったが、このファイナルQTでは自らの言葉で心境を吐露。別な形で注目を浴びることになり、「本当に何もしていないけれど、申し訳なさがあります」と涙を流した。
プレーオフ終了直後には、アルムがQTに申し込みしていなかったことを知り、『それじゃあ(優勝できて)良かったですね。私はファーストから頑張ります』という会話もしていたという。そして審議が行われ、まさかの結末に。「そのあと状況説明もされていないし、(アルムと)ちゃんと話もできていない。本当に胸が痛いです」と視線を落とした。
SNSのDMには『藤井がクラブを入れたんじゃないか』という心ないメッセージも届いているという。21歳にとって気持ちの整理をするのは難しかった。「優勝だったけれどけっこう落ち込みました。でも同期のみんなが『何も悪いことをしていないから』って言ってくれて、前向きにファイナルQTに臨むことができました」。
愛知・栄徳高3年生時の2022年にプロテストで一発合格をしてから3年が経った。「来年のステップでは賞金女王になれるようにオフにしっかり磨いていきたいです。アプローチでのリカバリーができるように強化したい。優勝を目指して頑張ります」と涙を拭いた。(文・笠井あかり)
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