【レビュー】パッと見買いしたこの無骨ギア。秋冬キャンプでの存在感がハンパない
イチオシスト
ロケットストーブの概念が覆る?!

出典:PIXTA
「ロケットストーブ」といえば、みなさん、縦長の筒状ボディと下部から薪を入れる構造をイメージしますよね。
内部で熱い空気が上昇し、下から酸素を吸い込む「煙突効果(ドラフト効果)」が得られるのが特徴で、少ない燃料で高火力かつクリーンに燃焼するのが魅力です。

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この「ロケットストーブ」という呼び名は、ロケットのように「ゴーッ」と音を立てて火柱が上がる様子に由来します。
実はこれ、発展途上国での開発をきっかけに、防災用途やキャンプまで広く普及したもの。現在では、各アウトドアブランドからもさまざまなタイプがリリースされています。
え? コレが「ロケットストーブ」?

そんな中で、近未来感も強烈な、一見したら忘れられないギアが登場。それがこちら、Emu-One「ロケットストーブ Fire Beast2(以下「Fire Beast2」)です。
訳すと「炎の野獣」という名前も強烈ですが、従来の「ロケットストーブ」とはかけ離れたルックス&コンパクトさで、その使用感が全く想像できません……。
コレ、本当にロケットストーブなんでしょうか? というわけで、今回はこちらを詳しくレビューします!
小型ロケットストーブ Fire Beast2EMU-ONE

「Fire Beast2」って一体ナニモノ?!
クールなギミックで超コンパクト

*画像左側が収納時、右側が展開時
まずはやはり、独特の近未来感を醸し出すギミックからチェック!
右側が展開時の状態ですが、天面には3本のゴトクパーツ、底面にも3本の脚パーツがお目見え。
これらは全て、側面の黒いパネル下に格納されており、引き出すだけで展開できる仕組みです。

収納時のサイズは105×105×162mmと片手で握りこめるレベル。付属ケースにすっぽり入ってこのサイズ感です。 展開時も、168×134×196mmとやはりコンパクト。

焚火台の定番ユニフレーム「ファイアグリル」に乗せると小ささが際立ちます。重さも約600gしかなく、500mlペットボトル飲料程度なので、携行性も高いですね。
燃焼中も持てる? タフな三層構造

材質はステンレス鋼の三重構造という頑丈な作り。しかも、熱が外側まで伝わらず、燃焼中でも手で触ったり、持ち上げて移動させたりできるそう!
外側はススなども汚れも付着しにくいようで、これはかなり使い勝手が良さそうですよ。
やはり「ロケットストーブ」らしい!

そして最も気になるのが、一般的なタイプとは異なり、下部に薪の投入口がない点です。
薪の投入口はあくまで上からなのですが、よく見ると下部には吸気口が備わり、小さいながらもボディは細長い筒状。
なので、下から酸素を吸い上げる流れが発生し、「煙突効果」が得られるようなんです。

出典:EMU-ONE
公式ページの画像を見ても、まさにロケットが飛び立つような炎がしっかり発生。
つまり燃焼効率も高く、燃料も薪だけでなく落ちている小枝やペレットでOK、かつ着火もスムーズと、初心者にも使いやすそうな手軽さです。
このコンパクトさで巨大な炎と、うまくいけば二次燃焼も見られる……となると、俄然楽しみになってきました!

出典:EMU-ONE
さらに、ロケットストーブ並に強力な火力なら、調理にも強い味方となるハズ。炒め物など旨くなるのは必然で、上部のゴトクもそのために便利な印象です。
ただし、サイズ的にマッチするクッカーなどは要検証で、安定感なども気になります。
実際にキャンプ場で炎を噴かせる!

というわけで使い勝手を確認するため、「Fire Beast2」をキャンプ場に持ち込んでみました! まずは着火から使い勝手まで調べてみます。
10秒展開ギミックがロマン!

*動画は2倍速
まずは組み立て。見れば分かるレベルの簡単な構造で10秒かかりません。
最初は、黒いパネル内の上部から、3本のゴトクをクルリと270度回すように引き出し、これ以上回らないところまで持って行きます。

*動画は2倍速
3本の脚パーツも同じように270度クルリ、カチッカチッ、とやっていく作業は楽しいの一言。
トランスフォーマー的なロマンすら感じさせ、意味もなく何度かやってみたくなっちゃいます。
着火はしやすさはどうか…?

着火はスウェーデンマッチ社製「ファイヤーライターズ」を使ってみます。「Fire Beast2」が噂通りの着火性能なら、コレ1本あればいけるかな? と。
そして、燃料には現地で拾い集めた小枝を使ってみます……が、

ちょっと量的に心許ない懸念があり、転ばぬ先の杖でこんな小割薪も1箱購入しておきました。拾った小枝が燃え尽きたら、こちらに切り替えていけばいいですね。

なお、長さ40cm程度のごく一般的な薪と「Fire Beast2」とのサイズ差はこんな感じ。
これでも、かなり細めに割られた針葉樹なんですが、「割る」というより「折る」か「切る」をして、短くする作業が必須。なので、今回は先の小枝と小割り薪のみで検証します。

では気を取り直し、まずは、火のついた「ファイヤーライターズ」を1本投げ込み、そこに小枝を挿しこんでいくと……

わずか1分経たず、びっくりするぐらい簡単に火が大きくなりました!
どんなに適当に薪を入れても火種の真上に薪が来るうえ、下からの空気流入もスムーズに行われるので、太すぎる薪を無理に詰めたりしない限り、誰でも簡単に焚火が楽しめる感じです。
さらによーく目を凝らすと、二次燃焼的な炎の出方(炎が旋回)をしているのがわかります。火力、これは強いですよ!
卓上サイズでここまで手軽に、二次燃焼の美しい炎が楽しめるって画期的ですよね。
炎の高さは

さて、「野獣のような」炎の高さなのですが、実際はこんな感じ。そこまでの圧倒感はありませんでした。
ただ、この日は4m/s程度の風があり、その影響も大きい気がします。風がない日で、ペレットなど燃焼効率の高い燃料なら、もっと高い炎が見られるかもしれませんね。
けれど、卓上でサクッとならこれくらいが安心だし、自宅のテラスや屋上などでもシームレスに使えそうです。
本体の熱さはどうか?

三層ステンレス構造による断熱性も確認してみましょう。
温度計を差し入れてみると、本体下部の空気温度は36℃ほどと、かなり低い! 本当に卓上でも安心して使えますね!

ならば、と、おそるおそる側面の黒いパネル部分を持ってみます。
それなりに熱を感じますが、持てないほどではない感じ。本体をちょっと移動するくらいは問題なさそう。
※なお、今回は実験の意図で素手ですが、安全のために必ず耐火グローブなど着用しましょう。
完全燃焼するから灰も少ない!

2~3時間使用後がコチラ。灰が全然残らないことに驚きます!
燃焼効率がよく完全に燃え尽きるためですが、本体もコンパクトだし後始末がラクですね〜。
大掛かりな焚き火台や薪を準備する時間がない、手軽にサクッと焚き火を楽しみたいといったニーズには、めちゃめちゃフィットする気がします!
調理に使ってみると…
高温の炎を活かすなら中華炒め!

続いては、この高い火力をどこまで調理に生かせるのか検証!
火力が命の中華料理なんかは特に、旨さがランクアップするはず。というわけで早速チャーハンを炒めてみます。

まず、ゴトクは非常に安定感があります。
今回使用したのはヨコザワテッパンの中華鍋で、直径は223mm、重量も750gあり、持ち手の存在も考えると実に不安定なシロモノ。ですが、画像のようにしっかりと置けました。

ただし! ゴトク自体の低さと本体の小ささがかなりデメリットに。
というのも、強い火力を維持するために、鍋を浮かして薪を投入するのですが、今回用意した小割薪の方がゴトクよりも高くて、ハミ出してしまうんです。
結果、今回はほとんどゴトクを使えず……。けれど、鍋は浮かしたまま調理する前提なら、火力自体は十分! チャーハンはしっかりと美味しく仕上がりましたよ。
ゴトクと火力の相関関係に悩む

上記の通り、ゴトクの高さを超えるサイズの薪ではクッカーが乗せられない「Fire Beast2」。かといって、ゴトクより低いサイズの薪では熾火になってしまって、火力不足に。
結果、500mlケトルでの湯沸かし実験では、お湯が湧きませんでした。
ただしゴトクの直径134mmと狭く、細見のクッカーやシェラカップも乗せやすいです。なので、小さめクッカーやシェラカップなどで少量の水を沸かす程度が正解なのでしょうね。
調理面以外で気になったのは…

燃焼効率が高くよく燃えるということは、燃費はあまりよくないということ。なので、現地で拾った小枝では短時間しか楽しめませんでした。
かといって一般的な薪では大きすぎるので、長時間楽しむには、小割り薪を多めに準備しておくのがマスト。
最近はホームセンターなどでも小割り薪の束を買えるので、手作業での小割りが面倒な人にオススメです。
小型ロケットストーブ Fire Beast2EMU-ONE

サクッと手軽な火遊びに最適なロケットストーブ

「Fire Beast2」はそのコンパクトさゆえ、本格的な調理には不向き。一方で、拾った小枝でも簡単に大きな火を起こせるのが大きな魅力です。
本格的な二次燃焼まで楽しめるのに、「卓上でサクッと手軽に焚き火したい」ニーズに応えてくれて、ロケットストーブや二次燃焼が気になっているビギナーの人にも、オススメです。
何より、ガジェット感満載のデザインと展開ギミックにはロマンが詰まっていて、所有欲をも満たされるアイテムです!
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記事提供元:CAMP HACK
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