最難関ホールで見せた新技”やわらかい高い球” 永峰咲希が地元・宮崎CCでの自己ベスト更新で首位発進
イチオシスト
<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 初日◇27日◇宮崎カントリークラブ(宮崎県)◇6543ヤード・パー72>
今年7月の「JAL・資生堂レディス」で5年ぶりとなる通算3勝目を挙げ、2年ぶりに最終戦の出場権をつかんだ宮崎県出身の永峰咲希。今大会の舞台はジュニア時代から馴染みのあるゴルフ場で、今でもオフになるとお世話になっている。この日は6バーディ・1ボギーの「67」をマークし、岩井明愛と並んで首位タイ発進。これまで数えきれないほどラウンドしてきた宮崎CCでの「ベストスコアです」と胸を張る。
「ティショットが安定していた」と1日を振り返ったが、3番で1メートル弱のバーディパットを沈め、6番では5~6メートル、7番では8メートルの「すごく切れるフックライン」、8番は2メートル弱をそれぞれ沈めてバーディを重ねる。後半に入っても11番でも1つ伸ばした。だが14番では2メートルほどのパーパットを外してこの日唯一のボギー。4アンダーで最終18番ホールを迎えた。
「オフに脇元華ちゃんとラウンドしたときも4アンダーで来ていた最終ホールで打っちゃって」。冬にベストスコア更新の機会を逃していたことが脳裏に浮かぶ。記憶にあるベストスコアは2018年大会の第2ラウンドで記録した「69」。もちろんベスト更新のことは頭に入っている。
18番は423ヤードと距離がたっぷりあり、左ドッグレッグでグリーンは打ち上げ。ティショットをラフに入れるとグリーンに乗せるのは困難になる。この日の平均スコアは「4.6250」と11番パー5の「4.4500」を超える最難関ホール。目澤秀憲コーチとともに昨夏から持ち球をフェードに変えた永峰にとって、ティショットから気を使うホールだ。
「右ラフに行ってもしょうがない」とそこはOKにし、しっかり目標を左にとって気持ちよく振り抜くと「ナイスショットで真っすぐ飛んでくれました」とフェアウェイをキャッチ。ピンまで残り161ヤード地点に運んだ。最初は7番アイアンの選択肢もあったが「あきらかにめちゃくちゃ手前になる」と6番アイアンを手にする。「“やさしい高い球”を打てたらいいなと思ったらイメージ通りに飛んでくれた」と1メートルに寄せて、この日2人しかいないバーディ奪取に成功した。
18番の2打目で見せた「やさしい高い球」は昨年から目澤コーチと取り組んでいる新しい引き出しで、今季多用している技術だ。「やさしい高い球」とは、通常のショットよりも高い球で飛距離も5ヤードほど落とす。ただ飛距離を抑えるだけのショットだと低い球になりやすいが、飛距離を抑えながらも高い球を打つという高等テクニックである。
「ピンがグリーン手前に切られていて、残り距離が番手間の中途半端なときに短い番手を思い切り振るのではなく、大きい番手で抑えて打ちます」。グリーン手前に外すリスクを減らしつつ、「高い球なので落ちてからも転がらない」とピンの奥目に行っても大きく離れない。新しい引き出しでマネジメントの幅が広がったことで、今季のダブルボギーの数は9個と少なく、ダブルボギーを打たない率はツアー1位(0.4854)である。
ちなみに打ち方としては「普段のショットが左足6、右足4の重心で構えていますが、このショットの時は自分の軸を右にずらして5対5のイメージ。打ち方もコツはありますが、まずは構えが大事」というハンドレートがポイントだ。18番の2打目もまさに今季多用してきた新技。通常160ヤード飛ぶ6番アイアンを5ヤードほど落として手前カラーに落として1メートルにつけ、自己ベスト更新につなげた。
「(宮崎)県民みんな、誰よりもコースを知っているし、みんな優勝したい気持ちはあると思います」。今大会は永峰のほか、柏原明日架、脇元華、菅楓華と過去最多4人の宮崎県勢が出場している。県勢としては過去に大山志保(2005、13年)しか優勝者がいない。球筋を変えて引き出しを増やす永峰が、大山に次ぐ宮崎県勢覇者に名乗りを上げる。(文・小高拓)
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