初出場で初優勝 現役大学生アマ・春山愛が目指す“入谷響ルート”「来年はプロテスト合格を」
 イチオシスト
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        <マイナビカップ 最終日(一日競技)◇30日◇ザ・クラシックゴルフ倶楽部 キング・プリンスコース(福岡)◇6378ヤード・パー72>
『将来有望な若手女子ゴルファーに賞金のかかった真剣勝負の機会を提供することにより大きく羽ばたいてもらいたい』という願いから、2019年に発足したマイナビネクストヒロインツアー。そこでツアー7年目にして初めてのアマチュア優勝者が誕生した。主役になったのは、現在、朝日大2年生の春山愛。ツアー初出場で初優勝という快挙もついてきた。
精神力が試される勝利でもあった。全選手が18ホールを終えた時点で、トータル5アンダーの首位に並んだのは4人。そのプレーオフを勝ち抜き、つかみとった勝利とあって、価値は増す。相手は、今季1勝を挙げツアーのポイントランク上位につける郡山瞳をはじめ、6月に欧州下部ツアーで優勝した藤川玲奈、そして郡山とともに名門・東北福祉大で腕を磨いた園田結莉亜という強敵ばかり。ひとり、またひとりと脱落していく“サバイバル”を4ホール戦い切った。
「プレーオフ自体がはじめてだったので緊張しました。自分のゴルフができれば、と思っていた。4ホールとも自分のプレーをすることができたので、よかったです」
原英莉花が20年に制した「日本女子オープン」が行われたコースが舞台。さらに28年にも同大会が開催されることがすでに決まっており、それに向け大改修も行われ難度も増していた。プレーオフが行われた18番は、ポテトチップスのようなアンジュレーションに富んだグリーンを持つパー4。バーディを取るのは容易ではないホール。実際、春山は1打リードで迎えた正規の18番でボギーを叩いており、イメージも決していいものではなかった。
「ピン手前は山になっていて難しかった。バーディを取るなら、奥につけるか、右側だと思っていました。ボギーを打たずによかったです」。緻密なショットが求められる場所での、ガマン比べだったが、藤川との一騎打ちになった4ホール目にパーをセーブし決着。すっかり辺りは薄暗くなり、間もなく日没という時間を迎えていた。
大学に通いながら、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテスト合格を目指している。大学1年だった昨年は最終まで進みながら合格はできず、今年も2次予選で涙をのんだ。プロテストを受けると、規定により大学の試合には出られなくなる。それを埋めるための、ネクヒロ参戦でもあった。プレーする場を求めるうえでも「来年のプロテストに合格したい」という気持ちは強い。
同じ学校の同学年には、やはり大学に通いながらプロテストに合格した入谷響がいる。ルーキーとして今季からJLPGAツアーに出場し、6月の「ニチレイレディス」では初優勝も手にした新進気鋭の姿は、「自分も負けたくないという気持ちになる」と強い刺激になっている。同じフィールドで戦う姿を思い描きながら、日々、ゴルフと向き合っていく。
初めて出場したネクヒロは、テレビやスチールカメラに追われながらプレーする雰囲気も新鮮。「録画(放送)だと思っていたら、『生放送だよ』って言われて驚きました。自分のスイングとかを見てみたいです」。これは、いい“復習材料”にもなりそうだ。そして、この勝利により、優勝賞金500万円が懸けられるシーズン最終戦の出場権も得た。まだアマチュア選手のため、勝っても、その賞金を手にすることはできないが、「出たいと思った…出ようかなと思ってます」と、前向きだ。
「今後はプロとして出たいと思った。でも、まだアマチュアは外したくない(資格を放棄したくない)ので、来年か、それくらいで考えています」。“プロ”という言葉を、より強く意識することになった一戦が、19歳をさらなる成長に導くはずだ。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA Net>
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