さらばチャックリ! 杉浦悠太の“新発想”アプローチでミスがミスにならずに寄せられる
イチオシスト
アプローチの基本ともいえるピッチ&ランは、ボールは右足寄りに置いて、オープンスタンスがセオリーと言われる。しかし、国内ツアーでプロアマ通算2勝の杉浦悠太は、スクエアスタンスでボールは真ん中より左足寄りに置く。こうすることで「ミスがミスになりにくい」と話す。新発想のピッチ&ランについて教えてくれた。
杉浦といえばほぼノーコックのシンプルなスイングでストレート系の球筋で飛んで曲がらず、アイアンはピンを攻めてくる。「スイングは真っすぐ真っすぐのイメージなので、アプローチも同じように打ちたい」というのが基本としてある。
例えば花道にあるボールからグリーンエッジまで10ヤード、グリーンエッジからピンまで8ヤードの状況では、「ボールとピンの真ん中に落としてコロがしていく」ピッチ&ランのイメージを持つ。
使用クラブは58度。スタンスは肩幅ぐらいとやや狭め。ターゲットに対してオープンやクローズにせず、ツマ先も含めて足は真っすぐ。ボールはスタンスの真ん中よりもボール半個分ほど左に置く。手元は体の真ん中より少し左で、正面から見るとボールのほぼ真上。ヘッドはスタンスの真ん中にあるという具合だ。
スイングは「コックを使わずに、胸やお腹を回して打ちます。手元やクラブは常に体の正面にあるイメージです。このぐらいの距離ならパターに近い感覚です」。コックを使わないことで入射角も一定になりやすく、距離感や打ち出し高さもそろいやすくなる。
セオリーとされるオープンスタンスにしない理由は、ショットの延長戦上でシンプルに「真っすぐ打ちたい」というものと、「真っすぐ振るとサイドスピンが少なくなるので落ちてからのコロがりのイメ―ジがしやすいんです。オープンだと左に振り抜きやすくなるので、カットになって右回転がかかりやすくなると思います」と話す。
またボールを左足寄りに置くのも新発想。「左に置くとヘッドが刺さりにくくなります。ヘッドが少し手前から入ってもバンスが滑ってくれるんです。ちょっとダフってもしっかりボールが飛んでくれますし、ハーフトップ気味でもボールは上がってくれる。ボールを点で捉えるのではなく、許容範囲が広がります。ボールに当てなきゃという緊張感もなくなります」。
ボールを右足寄りに置くとどうしても点で捉えることになり、チャックリやトップのミスが起こりやすいし、緊張感も生まれる。ボールを左に置くことで、ミスしても1ピン以内に寄せられるというわけだ。
ちなみにボールからエッジまで3ヤード、エッジからピンまで8ヤードといった状況の場合、構えは変えずにクラブをPWや52度に持ち替えて、コロがる量を増やす。「打ち方が同じなのでシンプルです。振り幅は小さくなるのでよりミスしにくくなります」。
若くしてツアーで活躍する杉浦だが、豪快なショットと攻めの姿勢だけでなく複雑なことをしないシンプルな打ち方でミスしにくい構えもした支えになっていることも分かった。
■杉浦悠太
すぎうら・ゆうた/2001年生まれ、愛知県出身。アマチュア時代ナショナルチームのエース格として活躍し、2023年の「ダンロップフェニックス」で史上7人目のアマ優勝を遂げて、翌週プロ転向。24年の「日本プロゴルフ選手権」でツアー初優勝を飾った。今季は優勝こそないものの「ロピアフジサンケイクラシック」で2位に入るなどの活躍を見せており、来年の米国男子ツアー参戦に向けて先週行われたQスクールの1次を突破した。
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●速く振っても飛ばない20ヤードのアプローチとは? 関連記事の【PGA選手のアプローチは手前から滑らせない!? 「左足下がり」の構えを作ってボールに直接コンタクト!】を読んで、ギュギュッとスピンが利くアプローチを身に付けよう。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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