独特な雰囲気は健在!でも“異変”が… 今年の女子オープンは伸ばし合い必至?【大西翔太のSHOWTIME】
<日本女子オープン 初日◇2日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(兵庫県)◇6616ヤード・パー72>
今週の国内女子ツアーは、プロアマ問わず日本一の女子ゴルファーを決めるナショナルオープンが行われる。毎年、会場を変えて行う大会は、今年、兵庫県が舞台。コースの状況は? そこで活躍が予想される選手は? 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が展望を占う。
■伸ばし合いを予想も…随所にオープンらしさが
今年の舞台となるチェリーヒルズゴルフクラブは、2018年の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストや、19年の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」(現・ソニー 日本女子プロ選手権)の会場としても使われたコース。プロテストトップのスコア(エイミー・コガ)はトータル20アンダーで、選手権優勝(畑岡奈紗)はトータル18アンダーと、ともにスコアが伸びる4日間になった。
同じレイアウトで行われる今回のナショナルオープンも、その状況を踏襲しそうだ。大西氏も「スコアは出ますね。15アンダーぐらいが、優勝争いのライン」と断言する。アンジュレーションのあるグリーンで、ピン位置も“女子オープン仕様”にはなりそうだが、オープンらしい耐えて耐えて…という展開よりは、しっかりとチャンスをものにしていくことが重要になる。
とはいえ、ラフは通常の大会よりも長い場所は長く、手こずるポイントは確実に存在。「“フェアウェイまっすぐに”を頑張ろう」という意識は欠かせない。そして、運悪く、長いラフにつかまったら、割り切ってレイアップするなどの判断力も求められる。またグリーン周りについては、大西氏が「逆目で長いラフが多い」と話すように難所になる。
「飛ばし屋でも刻む必要があるところも多く、飛ばない人だと(2打目で)届かないところもあるので、(両者の)条件はトントンですね。コースの色をつかみながら戦って欲しい」。どんなプレースタイルの選手でも優勝の可能性がある、“フェアなコース”ともいえるようだ。
■日米メジャータイトル制覇なるか?
そのなかで、活躍が期待される選手は誰になるだろうか? 大西氏は、まず金澤志奈の名前を挙げた。日本女子プロに続く“日本タイトル2冠”を目指す30歳は好調を維持している。先週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」最終日に青木と同組になった金澤のプレーを見た大西氏は、「ショット、アプローチ、パターと全体のレベルが高い。1ピン以内に寄せたショットでも、『もっと寄せられる』と思わせるくらい、いい状態です」と、その仕上がりに目を見張った。「可能性を感じますね」とメジャー連勝も現実味を帯びている。
次に挙がったのが、古江彩佳の名前だった。現在、米ツアーを主戦場にする、海外メジャー女王(24年、エビアン選手権)も、もちろん本命のひとりになる。「もともと、ナショナルチームメンバーですし、この日本女子オープンを勝ちたいという気持ちは強いはずです」。わざわざ帰国し参戦するところを見ても、その気概はうかがえる。「自分のプレースタイルを崩さないし、熟知している。キレイなグリーンでは、古江選手のパターの順回転率の高さは生きてきます。パターの芯で、ボールの芯を毎回とらえることができる選手です」。
そして、先週の大会で初優勝を手にした菅楓華にも期待を寄せる。「菅選手もパターの転がりがいいです。先週の仕上がったグリーンでも、順回転率が高いボールでいい距離を決めていました。見ていて安心感がある選手のひとりです」。初優勝からの連勝をメジャーで決めるというシナリオも頭に描いている。
「いろいろなところで、女子オープンらしい難しさはあります。これは選手たちがみな口をそろえることなんですが、なぜか女子オープンはグリーンエッジからカップまでの距離が長く見えるんです」。そんな独特の雰囲気をまとう大会では、「誰でも勝つチャンスがある」というのも本音。最後、日本一の称号を手にするのは一体、どの選手か?
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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