いざ、天王山──勝点3差の首位八戸と2位鹿児島が直接対決。最下位沼津は監督交代の勢いで逆転残留へ連勝を狙う【明治安田J3第29節プレビュー】
明治安田J3リーグの第29節が、26日から28日にわたって各地で開催される。ついに今節を含めて残り10試合に突入。どのチームもそれぞれの目標達成に向けて勝点3が欲しいだけに、今まで以上の熱戦が期待される。
今節、唯一の金曜開催のカードであり、昼13時にキックオフを迎えるゲームが、J2昇格争いを占う上でのビッグマッチとなる。プライフーズスタジアムで顔を合わせるのは首位ヴァンラーレ八戸と2位の鹿児島ユナイテッドFC。両者の勝点差はわずか『3』であり、首位が入れ替わる逆転劇が起こるかもしれない一戦となる。

ホームでこの大一番を迎える八戸は、6月以降に無敗街道を突き進み、クラブ史上初の7連勝を含む13戦負けなしで首位に浮上。ここまでその座をしぶとく守り抜いてきた。しかし、中断明け以降はその勢いがやや陰り気味で、前々節ではJ2昇格を争うライバルのテゲバジャーロ宮崎に敗戦。今シーズン3度目となる完封負けを喫した。
前節の福島ユナイテッド戦は勝ち切ったが、その試合で佐藤碧が一発退場。開幕からここまで全試合で先発し、中盤で攻守に重要な役割を担っていた背番号7の不在は今節の大きなトピックスとなる。ハードワーク、切り替え、球際と“石﨑ヴァンラーレ”の根幹を支えるキーマンの穴をどう埋めるかが大きなポイントになるだろう。そうは言っても、舞台は今季わずか1敗しかしていないホーム・プラスタ。首位堅持へ、簡単には負けられない。
アウェイに乗り込んで天王山に挑む鹿児島は、いま最も勢いのあるチームと言って異論はないだろう。7月以降の10試合は負けなしで8勝2分けと絶好調。その中でも特に際立つのが、リーグトップを誇る得点力だ。勝利した8試合のうち7試合で複数得点を挙げており、第24節AC長野パルセイロ戦で6ゴール、第26節・高知ユナイテッドSC戦では4ゴールと爆発力も秘めている。
そんなチームを最前線でけん引するのは、8月のKONAMI月間MVPにも選出された河村慶人。8月に行われた3試合すべてで得点し、先述の長野戦ではハットトリックも記録。9月に入ってからはまだ1ゴールだが、攻撃の要としてチームに欠かせない存在である。勝てば勝点で並び、得失点差で首位に浮上できる一戦で背番号18のエースがゴールネットを揺らせるかに注目だ。
6月の前回対戦は1-1の引き分けに終わっており、ここまで八戸がリーグ最少の17失点に対して、鹿児島がリーグ最多の56得点。対照的な両者がお互いの特徴をぶつけ合い、今節こそ決着をつける。
また、一方で下位の直接対決も気になるところである。愛鷹広域公園多目的競技場では最下位のアスルクラロ沼津と15位のFC岐阜が激突する。
監督交代後の初戦となった前節の奈良クラブ戦で勝利した沼津は、ようやく今シーズン4勝目を挙げ、残留圏との差を詰めることに成功した。ただ、まだその差は離れており、残り10試合からの逆転残留をつかむためには連勝が必須である。その意味では、ホーム2連戦となる今節は絶好のチャンス。“監督交代ブースト”の力も借りて再び勝点3を奪いたい。
対する岐阜は、ひと月前までは残留争いにどっぷり浸かっていたチームとは思えない変貌ぶりを見せている。8月最後のゲームとなった第25節FC琉球戦での勝利を皮切りに、9月に入ってからはギラヴァンツ北九州、SC相模原、長野を立て続けに下し、現在4連勝中。勝点を32にまで伸ばし、一気に15位へと浮上した。
沼津にとっては残留への望みを太く大きくするために勝利が必要であり、岐阜からすれば完全に残留争いを抜け出し、J2昇格プレーオフの出場権獲得争いに希望を見いだすための勝利が欲しい一戦。どちらがその思いをピッチ上で強く表現し、歓喜に酔いしれるだろうか。
【制作・編集:Blue Star Productions】
記事提供元:Lemino ニュース
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