過激なラグジュアリー⁉ ランドローバー「ディフェンダーシリーズ」の最高峰は異端児だった
ランドローバーと言えば、SUVの元祖的ブランド。世界のあらゆる道を走破しつつ、現在はプレミアムブランドの代表格として君臨する。なかでも伝統のモデル名を受け継いだディフェンダーは、個性的なスタイルと信頼感あふれる走りで人気だ。初代のディフェンダーを所有していたこともある松任谷氏が、次元違いとウワサの最高峰モデル、OCTAに試乗してその実力をチェック! おネダンも次元違いの2000万円超‼
編集部(以下、編):松任谷さん、今日のゴルフ場はすごいですよ。
松任谷(以下、松):なんだ? 難しいのか?
編:違います。
松:ものすごくきれいとか?
編:あ、それはちょっとあるかな。きれいですね。
松:なんだよ、長いのか?
編:あ、それはそうでもありません。おじいさんでも大丈夫。
松:いやな言い方をするなあ。もったいぶらずに何がすごいんだか早く言えよ。
編:それはですね。お昼にお鮨が食べられます。しかも、目の前で握ってくれます。
松:えっ! そんなゴルフ場があるの?
編:しかもですよ。某銀座の有名店です。耳を貸してください。コソコソ……。
松:ええっ‼ あんなところが来ちゃうの? 座っただけで5万円はするぞ。
編:はい。そうなんです。
松:ま、ま、待て。そんなの編集部が払ってくれるわけ?
編:そんなわけないのは松任谷さん、ご存じですよね?
松:自前で払うわけ?
編:そういうことになりますね。ついでに僕のぶんも……。
松:やなこった。じゃあ昼はカレーにしよう。
編:他のお客さんがお鮨食べてるのに、我々だけカレー?
松:あたりまえだろ。いつもゴルフ場で君が俺にどういう扱いをしてきたか、思い出してみろよ。
編:ええっ? ちゃんと教えてあげてるじゃないですか。
松:あれが教えてると言えるかね。
編:プロを連れて行ってあげたこともあったじゃないですか。
松:まあ、その時はありがたかったけどな。
編:それにこのクルマだって借りてきてあげたんですよ。
松:そりゃあ、仕事なんだから仕方ないだろ。
編:松任谷さん、ディフェンダー歴は長いんですよね?
松:そうだな。もう手放して10年近くになるけど、20年以上は持っていたな。
編:初代って事でしょ?
松:ディフェンダーと名が付いてから数えればそういうことになるね。
編:それは正規輸入だったんですか?
松:そうだよ。初めてローバージャパンが限定で入れた90という短いホイールベースでV8、太いタイヤの付いたアメリカ仕様だったな。左ハンドルのATで。
編:へえ、当時いくらくらいだったんですか?
松:記憶は定かではないんだけど、400万円くらいだったかなあ。
編:このクルマは2000万円超です。ざっと5倍ですね。
松:まあ、初代とは比較してはいけないと思うよ。時代が違いすぎるし、環境もまわりのクルマたちも違いすぎるからね。
編:これはオクタという特別なモデルですけど、この形の2代目が出た時は複雑だったでしょ?
松:そうだなあ。普通のクルマになっちゃった感じがしたよね。
編:それはどういう意味?
松:まず、トラックのようなフレーム構造を捨て、乗用車のようなモノコック構造になったろ?
編:それって大きなことだったんですか?
松:まあ、一概には言えないけど、初代はそれはもうシーラカンスのような乗り味でさあ。古いトラックのようでもあり、トラクターのようでもあり……。
編:へえ。
松:小回りの利かないことと言ったら。
編:短くても、ですか?
松:そうそう。それにステアリングのギア比のせいで、普通のクルマの倍近く、ぐるぐる回していた記憶があるよ。100km/hも出すとガーガーうるさくてさ。足元のゴムマットをずらすと、床に小さな丸い穴が開いていて路面が見えるんだぜ。
編:何のため?
松:室内の水抜きだったんじゃないか。
編:川とか渡ると水が入ってきちゃうじゃないですか?
松:だよな。今でも謎だ。
編:でも、この形は初代を思い起こさせますよね?
松:そうでもないよ。なんだか面構成が複雑で、現代のクルマだよ。
編:そうかなあ。今、売れてるみたいですけど。いや、このオクタじゃなくて、もっと普通のディフェンダーね。
松:やっぱりさ、レンジローバーの元をたどっていくと、先代ディフェンダーのあの形に戻っていくわけだし、SUVだらけの現代にあって、あのRV的な形は説得力があるからね。
編:メルセデスのGクラスもRV的ですよね。それであっちは新型になってもフレーム構造を捨てなかったですよね。
松:そうそう、そこが面白いところだよね。乗り比べてみれば分かるけど、乗り味のクラシックなのはメルセデスの方だよね。一瞬、豪華でモダンに感じるんだけど、ハンドリングはクラシックだよ。
編:へえ、でもあっちも売れてますよね。なかなか注文できないみたいだし。
松:あれもなんだかいびつな立ち位置に行っちゃったよな。セレブ御用達みたいな。RV的なのにあんなに豪華だなんて、やっぱり変だよ。
編:値段も高いですもんね。それにAMGなんて凄いパワーだったんでしょ?
松:そうね。とくに先代のAMGなんて、アクセルを踏み込むとまるでロデオやってるみたいだったよ。暴れて暴れて暴れまくる。怖かったぜ。今の奴はだいぶ調教されたけどね。
編:それに対抗してこのオクタができたわけですよね。
松:まあ、それが理由かどうかは分からないけど、はっきりとライバルにはなるだろうね。
編:これ、ノーマルよりもずいぶん幅も広いらしいです。
松:背も高いんだよね。
編:まあ、乗ってみましょう。
松:おっ、自動で乗り込み台が出てきたぞ。レンジローバー並だね。ちょっと複雑だな。ではよっこらしょっと。
編:お年寄りには辛いですかね。
松:うるさい。まだ大丈夫だ。
編:どうですか? オクタじゃないディフェンダーはもう何度も乗られてるんでしょ?
松:まあね。眺めは同じだけど、やっぱり豪華だね。レザーの使い方とかさ。とはいえ、メルセデスGクラスほどのギラギラ感はなくてちょっとホッとするかな。それよりこのシートの形が初代のディフェンダーのシートを彷彿とさせるんだよね。もちろんホールド性はまるで違うんだけどさ。
編:さあ、そろそろ行きましょう。スタートに間に合わなくなるから。
松:わかったよ。
■不思議なサスペンション、禁断のOCTAモードはどうなる?
編:どうですか? そろそろ印象を言ってくださいよ。
松:いや、ね。これ、レンジローバースポーツSVも採用している新しいサスペンションだろ?
編:4輪のダンパーをオイルラインでつなげて制御し、スタビライザーをなくしているって奴ですよね。
松:俺、そういうクルマ持っていたんだよね。いわゆるコードナンバーB7のアウディRS4。
編:ああ、なんとなく覚えてます。あのアウディは斬新でしたよね。
松:そうねえ。サンルーフにソーラーパネルが使われていて、駐車中に自動でエアコンを作動させたりしていた。
編:でも、サスペンションシステム自体はその後、マクラーレンも採用しましたよね。
松:そうそう。だから乗り心地がいいのにロールしないという、不思議な感覚だったよね。
編:アウディも、ですか?
松:似ていたよ。柔らかくてロードコンタクトがいいのに、ハンドルを切ってもロールしないという不思議感。だけど、このクルマにはそれを感じないんだよ。
編:そうですね。こっちに乗っていてもちゃんとロールはしますよね。
松:ダイナミックモードにしてもロールはするだろ? 変だなあ、と思ってさ。
編:レンジローバースポーツSVはロールしないかもしれないですよ。やっぱりクルマの性格を考えてセッティングしているんじゃないですかね。
松:かもな。そろそろこのオクタモードを試してみる?
編:このモードだと悪路を爆走できるみたいですよ。
松:高速道路だとどうなるんだろう。
編:やってみましょう。それ! ……と……。
松:うわっ!
編:硬ってえ‼ ゴチゴチじゃないですか。
松:遊園地のゴーカートみたいだな。これが悪路爆走モードか。
編:なるほど、パリダカとかだとこんなふうにセッティングするのかなあ。
松:今はもうパリダカなんてねえよ。ダカールラリーね。
編:でも、ここまで固めるとロールは一切無いですね。
松:ないけど、これはちょっと一般道ではごめんだな。
編:僕もです。普通にしましょう。それにしてもパワーはすごいですね。
松:それこそメルセデスAMG G63と同等か少し上か、ってところだな。重いクルマがこのパワーで爆走するのは怖いよな。でも、モノコックなぶんだけ、俺はメルセデスよりも運転はしやすいと思う。癖が少ないからね。
編:そろそろ着きますよ。そこが駐車場だから……。
松:えっ? バッグは降ろさないの?
編:何言ってるんですか、ゴルフバッグは一昨日送ったでしょ?
松:このクルマなら送る必要なかったのに、何やってるんだろ、俺たち。
編:ねえねえ。このクルマ、ゴルフ場の駐車場ではなんとなく違和感ありますよね。
松:そうだな。なんか場違いだよな。工事現場感がありすぎるのかな。
編:さあて、鮨、鮨、鮨、と。
松:我々はカレー、と。
編:嫌だ嫌だ! ねえお願い、お鮨食べさせてください。
松:知らねえな。
LAND ROVER DEFENDER OCTA
◆全長_全幅_全高:4940×2065×2000mm ◆車両重量:2510kg ◆エンジン形式:V8DOHCターボ+モーター ◆総排気量:4394cc ◆エンジン最高出力:467kW(635ps)/6000-7000rpm ◆エンジン最大トルク:750N・m(76.5kg-m)/1800-5855rpm ◆ミッション:8速AT ◆WLTCモード燃費:─km/ℓ ◆定員:5人 ◆価格:2105万円
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