巨匠パトリシオ・グスマンの初長編「最初の年:民意が生んだ、社会主義アジェンデ政権」(1972)が日本初公開
チリが生んだドキュメンタリー映画の巨匠、パトリシオ・グスマンの長編デビュー作「最初の年:民意が生んだ、社会主義アジェンデ政権」(1972)が、11月14日(金)よりアップリンク吉祥寺、恵比寿ガーデンシネマほか全国で順次公開される(日本初公開)。併せて、同監督の名を世界に知らしめた三部作「チリの闘い:武器なき民の抵抗」(1975、1976、1978)の2Kレストア版を、11月21日(金)よりアップリンク吉祥寺で上映することも決定。ポスタービジュアルが到着した。
1970年のチリでサルバドール・アジェンデが大統領に就任し、社会主義への変革が始まった。「最初の年:民意が生んだ、社会主義アジェンデ政権」は、政権発足から1年間にわたる激動のプロセスを捉えたもので、資本家に搾取されてきた労働者、土地を取り戻すために立ち上がった先住民、そして未来に期待を膨らます若者たちの姿が映し出される。キューバの社会主義指導者フィデル・カストロがチリを訪れた際の映像も登場する。
アジェンデ政権を崩壊させた1973年のクーデター後、本作のプリントは多くが失われたが、グスマン監督の監修による修復の末に復活。映像作家ジョナス・メカスが設立者に名を連ねるニューヨークのアンソロジー・フィルム・アーカイヴズで、2Kレストア版が2023年9月に世界初上映された。
〈コメント〉
高揚!高揚!高揚!1970年のチリの空気はこの言葉の連呼で表現できるだろう。
──ダースレイダー(ラッパー/映画監督)
中南米の今を考えるため、かつての「希望の時代」のことを知っておくことも大事なことだ。
──黒井文太郎(軍事ジャーナリスト)
「チリの闘い:武器なき民の抵抗」は、アジェンデ政権がクーデターに倒れるまでの最後の数ヵ月を記録したもの。国会での応酬、ストライキとデモ、銃声とともに倒れるジャーナリスト、空爆で崩れ落ちる大統領府までカメラに収めていく。各国映画祭で称賛された、政治ドキュメンタリーの金字塔だ。
「最初の年:民意が生んだ、社会主義アジェンデ政権」
監督・脚本:パトリシオ・グスマン
プロデューサー:マリア・テレサ・グスマン
1972年/チリ/96分/フランス語・スペイン語/5.1ch/1:1.85
原題:El primer año 英題:The first year
日本語字幕:比嘉世津子 配給・宣伝:アップリンク
© 1972 Patricio Guzmán/2K restoration and digitization with the support of the CNC (French National Centre of Cinema)
「チリの闘い:武器なき民の抵抗」
製作・監督・脚本:パトリシオ・グスマン
支援:クリス・マルケル、キューバ映画芸術産業庁、マッカーサー基金
1975、1976、1978年/チリ・フランス・キューバ/276分/フランス語・スペイン語/5.1ch/1:1.85
原題:LA BATALLA DE CHILE La Lucha de un Pueblo sin Armas 英題:The battle of Chile
日本語字幕:比嘉世津子 配給・宣伝:アップリンク
© 1975, 1976, 1978 Patricio Guzmán/2K restoration and digitization with the support of the CNC (French National Centre of Cinema)
記事提供元:キネマ旬報WEB
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