「商品コンセプトなきPRはありえない」 都内で企業の担当者向けセミナー

商品・サービスのブランド戦略をテーマにした「セミナー&ワークショップ」(共同通信社主催)が9月5日、東京都内で開かれ、民間企業の広報・PR・CSR担当者ら約20人が、マーケティングの専門家である加藤拓巳・明治大准教授から、商品・サービスの核心的価値を明確に伝えるPRの重要性を学んだ。
加藤氏は「商品・サービスのコンセプトなきPRはありえない」として、日本企業のPRに数多くみられる“コンセプトなきPR”の実例を示しながら、自社の商品・サービスがどのような困り事を解決する価値ある商品・サービスであるかというコンセプトを明確に把握した上で「誰にでもわかる言葉」でPRすることの大切さを強調した。
マーケの本質、困り事を解決することの重要性について具体的な成功事例をあげながら、いずれも「提供する商品・サービスのコンセプト(価値)がはっきりしている」と指摘した。
また「広告が好きな人はいない。ほとんどの人は広告が嫌いで、毎日広告を回避しながら生活している。これは世界的に共通の傾向だ」と述べ、SDGs(持続可能な開発目標)など耳に優しいフレーズや技術・性能の高さの自慢アピール、有名人のダンス・歌の魅力などに頼った広告は、「消費者の多くが、何らかの困り事を解決するために商品・サービスを買っていること」を忘れているとして、消費者の共感を呼ばない「悪い広告(訴求力の低い広告)だ」と話した。
ワークショップでは、参加者は4つのグループに分かれ、グループで選択した特定の商品・サービスのコンセプト(価値)をあらためて再検討する「価値の再定義」を議論したり、近年では消費者に重視されている「環境」への配慮を商品・サービスの新たな価値に転換するアイデアを出しあったりして、加藤氏から学んだ「コンセプトを明確にした共感を呼ぶPR戦略」の策定に挑戦、その結果も発表した。
あるグループは、台所で日常使いする消耗品が、使用後ただのごみにならず、捨てたらごみ箱の中で「生ごみの臭いを消す消臭剤の役割を果たす」とのアイデアを披露するなど、消費者の困り事(消費者も気付かない潜在的な困り事も含む)を解決するという視点から、技術的限界などを飛び超えた自由な発想の「頭の体操」を楽しんでいた。
参加した男性は「あらためてPRにおけるコンセプトの大切さを知りました。今回学んだことを仕事に生かしたい」と語った。女性参加者の一人は「加藤准教授の話は刺激的な内容でした。学生時代にマーケティングを学びましたが、あらためてこの分野を学びたいとの意欲が湧いてきました」と話した。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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