“2日目の悪さ”を払拭した荒木優奈が今季2人目のルーキーV「来年は年間女王が目標」
<ゴルフ5レディス 最終日◇7日◇ゴルフ5カントリー オークビレッヂ(千葉県)◇6505ヤード・パー72>
昨年2度目の挑戦でプロテストに合格したルーキーの荒木優奈が初優勝を遂げた。台風15号の影響で初日の競技が中止となり、36ホールの短縮競技。初日「64」をマークして柏原明日架、稲垣那奈子と並んで首位タイで滑り出すと、最終日は5バーディ・1ボギーの「68」で回り、トータル12アンダーで初優勝。ルーキーとしては、入谷響に次いで2人目のツアー優勝者となった。
1.5メートルのウィニングパットを沈めると、「終わったって感じと、うわーってなりました」と安どの表情を浮かべた。今季5度目の初日首位発進だったが、一抹の不安があった。「初日がトップだと、2日目悪いことが多いので…」。
3月の「アクサレディス」は初日「68」→「74」、4月の「KTT杯バンテリンレディスは「67」→「76」、7月の「明治安田レディス」は「63」→「73」と過去4回中3回、失速を経験してきた。
「今週はきょう(2R)で終わってしまうので、攻め切らないとダメだなと思っていたし、調子はいいと感じていた」と攻める気持ちを持ち続けた。
最終組の柏原が1番でのバーディ先行で抜け出すと、荒木は2番パー4でティショットが木に当たって根元に落ちるなど、3打目を寄せられずにボギー先行と悪い流れだった。
そんな20歳を、今週初タッグを組んだ佐藤大輔キャディが鼓舞する。「プロテストに合格しているんだから、ボギー打っても大丈夫。未来があるんだから楽しくやろう」。その言葉に気持ちを切り替えると、5番から3連続バーディで食らいつく。
前半3つ伸ばした柏原と1打ビハインドでバックナインに入った。前半スキのなかった柏原は不運も重なって10番、11番で連続ボギーと後退。再び首位に立ったが、「10番、11番で自分が短いバーディパットを外していて、やばいと感じていました。最後の方は難しいホールが残っているし、前の組のスコアも分からなかったので早いうちにバーディを獲って伸ばしたかった」と攻撃の手を緩めなかった。
12番パー4で4メートルのバーディパット沈めると、13番パー5は2オンに成功して伸ばし、単独首位に立った。場内にはリーダーボードが少なく、自身の順位を把握できていなかったが、14番パー3で前の組のスコアを示すキャリングボードが見えた。「トップかも。『うわっ、ガチか』って。残りは難しいホールが続くので気合を入れ直しました」。
自身の位置を把握したあとの14番、15番は、ともに入れごろ外しごろの1メートルほどのパーパットをしっかり決めきり、後続にスキを見せない。終盤の難しいホールでも落とすことなく、1打リードのまま18番を終えた。戦前の不安は、攻める気持ちと粘るパットで払拭した。
優勝インタビューでは「後半は長くて苦しかった。ルーキーイヤーで優勝できてホッとしています」と笑顔を見せた。表舞台では涙は見せなかったが、普段バッグを預ける機会の多い佐藤亜衣里キャディに「おめでとう」と声をかけられると、「ちょちょぎれるぐらいうれしかった」と涙があふれた。
2年前は悔し涙を流した。日章学園高校2年時に正確なアイアンショットを武器に「日本ジュニア」を制すと、ナショナルチームのエース格として活躍。ジュニア時代は順調に結果を残した。合格間違いなしと思われた2023年。1度目のプロテストは、「パッティングがイップスみたいになっていたのと、体調不良が重なって…」と3日目カットで不合格に終わった。「今まで生きてきて初めての挫折」を味わった。
地元・熊本県で腕を磨くと、2度目のテストは「やればできる。自分を信じて、最後までやっていました」と見事に合格を果たす。
シーズンが始まると、1年先にプロ入りした高校の同級生、菅楓華が開幕から3戦連続最終日最終組に入るなど大活躍。プロテスト同期の入谷響は6月の「ニチレイレディス」でルーキー一番乗りとなる優勝を遂げ、下部のステップ・アップツアーでは同期の水木春花、青木香奈子、加藤麗奈、大久保柚季が優勝を飾った。
「楓華の活躍は刺激になっていて、自分もそうなりたいと思っていたし、響ちゃんが勝ったときには『すげーっ』って感動しました。97期生はステップでいっぱい優勝者が出ていて、自分も優勝者になりたいと思っていました。みんなの活躍のおかげで、がんばろうって思えました」。同期からの刺激を受け続けながら、ルーキーイヤーでの優勝をかなえた。
次なる目標も明確だ。「今回は2日間(36ホール)だったので、まぐれって思う人もいると思います。残りのシーズンでは3日間や4日間大会で2勝目、3勝目を挙げたい。ルーキーで1勝できたので、来年は年間女王を目標にやりたいと思います」。落胆を乗り越えてプロの称号を手にし、1年目から躍動。プロとして挫折知らずの競技人生が始まりそうだ。(文・小高拓)
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