出利葉太一郎が“有言実行”のトップ合格 今年は米ツアー予選会に挑戦「はやく世界との差を肌で感じたい」
<PGA資格認定プロテスト 最終プロテスト 最終日◇5日◇烏山城カントリークラブ 本丸・三の丸(栃木県)◇7118ヤード・パー70>
「1位通過できてすごくうれしい。支えてもらっている家族、スポンサーさん、いろんな方々に早く報告したい」。24歳の出利葉太一郎が、2位に4打差をつけるトータル14アンダーで、プロテスト“一発合格”を果たした。
首位で迎えた最終日は、早朝からホールアウトまで強い雨が降り続いた。アンダーパーで回ったのは123名のうち21人だけの難コンディションで、出利葉は「68」をマーク。「雨の影響で(フェースとボールが)滑ってしまって曲がるリスクが高いのであまり振れなかった。きのうまでとは2打目の距離が違かったので、グリーンセンターを狙って、あわよくばバーディを狙っていきました」と振り返る。
これまでは、どちらかというと攻めのゴルフをするタイプだった。「同じゴルフをしていたら(スコアが)崩れたかもしれない。(きょうは)カッパを着て、少し寒くなっていたけれど、距離感のコントロールができた」と成長を実感。そして、「初日、2日目は猛暑で、3日目は涼しくて、きょうは大雨。本当に試されているような感覚でつらかったけれど、最後まで頑張れてよかった」と4日間を振り返り、達成感にあふれた表情はどこか清々しかった。
それでも、この結果に満足しているわけではない。「伸ばせたのはよかったけど、これがレギュラーツアーや下部ツアーだったら『どの位置にいるんだろう…』と。もちろん。1位で通過できたことはすごくうれしいし、優勝でもあるので褒めたいけれど、まだまだ満足はしていない。もっとバーディを獲れたはず、もっとやれたはず。練習の課題が見つかりました」。手応えを感じつつも、新たな課題を得た。
出利葉は2023年から日本ゴルフツアー機構(JGTO)メンバーとしてツアーに参戦。今季はQT55位で、下部のACNツアーを主戦場としながら、推薦などでレギュラーツアーに出場している。現在の賞金ランキングは56位で、第1回リランキングは上位での通過が見込めており、シード獲得も見える位置。その中でプロテストを受験した。
「本当はここ(プロテスト)にいること自体悔しいし、スコアもずば抜けていないことが悔しい。俺はこんなもんじゃない。ここでやっている場合じゃない」。そんな悔しさと覚悟を胸に挑んでいた。3日目を終えたときには「差をつけてトップ通過したい」と言っていたが、2位に4打差をつける強さで有言実行だ。
つぎは下部「ケーダッシュセカンドチャレンジカップ in 茨城」(9月10~12日)に出場予定。その翌週からはレギュラーツアー「ANAオープン」(9月18~21日)、「バンテリン東海クラシック」(10月2~5日)が控えている。「試合に出られることはうれしいこと。そこでも結果を残したい」と意気込む。
そして、以前から「アメリカで戦いたい」と海外志向を口にしていた。「去年QTが悪くてシードを持ってない立場なので、いまが行きやすい。守るものがない。そこまでに稼いで、自分に投資というか、(米予選会に)行きたいというのはずっと考えていた」と米ツアー挑戦に意欲。予選会と同週に開催される「日本オープン」の出場権を得られなかったこともあり、米国男子ツアーの来季出場権をかけた戦い(米ニューメキシコ州・10月14~17日)に初挑戦する。
「絶対に通る気では行きたい。でも、向こうの選手に比べて言語、コースの状況、文化も全部が違うので、アウェイ感でスタートする。考えるだけですごくタフだなって思いますけど、それはそれで楽しみだし、少し不安もありますが、早く世界を見てみたい。世界との差を肌で感じたい」
ゴルフキャリアのなかで「通過点」となるプロテストを合格し、また新しい道に挑戦していく。そんな24歳の表情はとても凛々しかった。(文・高木彩音)
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