真夏のウーバーイーツ配達中に体験した、いろんな意味でコワ~い話【チャリンコ爆走配達日誌】
真夏の配達中に思わず背筋がゾッとした体験をお話しします
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第111回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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この季節になるとテレビや映画でよく語られるのが「怖い話」。そこで、これまでのウーバーイーツ配達中に体験した怖い話をいくつか紹介したいと思います。
まずは35度を超える猛暑が何日も続く東京都内での話から。
2020年、コロナを機に各種宅配で置き配サービスが始まり、2022年頃には置き配用のボックスをドア脇に置く家庭も増えてきました。これにより、風の強い日に料理が飛ばされたり、ドア脇に置いた料理が雨で濡れる心配がなくなりました。
さて、この日はテイクアウトのすし店で料理を受け取り、目的のマンションへ。そして、置き配の指示通りに置き配ボックスのフタを開けました。すると、中からモワッとした熱のこもった空気が出てきました。
中を見るとボックスを使う多くのユーザーが入れている保冷剤がなく、断熱性が弱いのか直射日光を浴びた内部は熱くなっていました。ボックスを使わずにすしを直接渡したいところでしたが、BAD評価をつけられるのがイヤだったので、指示通り、ボックスにすしを入れました。
私が立ち去った後、すぐにボックスから取り出してくれたら安心するのですが、エレベーターを待つ間も部屋のドアが開く様子はありません。指示通りに配達したので余計な心配とは思いますが、あの高温のボックスにすしを入れて放置という状況は私にとって怖い体験でした。
配達を始めた頃の夏場は日中も配達していたのですが、当時よく起きたのはスマホが熱くなって電源が落ちること。配達中はGPSを使うので本体が熱くなりやすい上、スマホカバーをつけているので熱がこもりやすい。冬場でもカイロ代わりになるのではと思うほど配達中のスマホは熱くなることがあります。スマホはある一定の温度を超えると警告画面が出て電源が落ちるようになっているので、夏の日差しを浴びた配達中のスマホは電源が落ちまくります。
6年前の夏、そんな状況で配達をしていた時のこと、突然運営からメールが届きました。内容を見ると「最近、あなたの評価が下がっています」といったことが書かれていました。身に覚えがないので放置していたら再び警告のメールが。配達員用アプリで評価を確認すると、1ヵ月前は100%だった満足度が92%になっていました。
当時は配達員の現在位置を見て遠回りしていないかチェックしている方が多く、スマホの熱暴走で電源が落ちて現在位置が消え、電源を入れると現在位置が再び現れるという私の動きは何かしらの不正を行なっていると思われたのでしょう。原因がわかったので、今このようなメールが送られてきても心を動かされることはありませんが、身に覚えのない状況での警告口調のメールや評価の急降下は、当時けっこう怖かったです。
普通に怖かったのが都内の有名な心霊スポットを通ったある夏の夜のこと。
千駄ヶ谷の店から外苑前方面へ商品を運んでいたとき、例の有名なトンネルを通っていると突然スマホが鳴り出しました。ウーバーの配達依頼の音だったのですが、タイミングがすごすぎてビクッとしました。トンネルの中で自転車を停めて画面を見るのが怖かったので、抜けてから画面を確認すると「2件962円」と自転車配達にしてはかなり高額の案件。細かい行き先を確認せず、すぐに依頼を受諾しました。
外苑前の配達先で料理を受け渡し、2件962円の配達をスタート。最初に料理を受け取った店は近くだったのですが、2件目は西麻布の店。アプリのナビは青山墓地を突っ切るように指示。
夜の墓地を抜け商品を受け取り、1件目の配達先を見ると画面には昭和の時代に大きな事故が起こった跡地に建つビルの住所が。立て続けに3つのスポットをまわる配達にゾクッとしつつ1件目の配達を完了。次の配達先もしくは配達経路にも心霊スポットが......とワクワクしつつ画面を確認すると、心霊スポットとはまったく関係のないビジネスホテルでした。
他にも、商品受け渡し先のマンションの部屋に近づくとスピリチュアルな音楽が聞こえ、受け渡しの際にドアが開くと嗅いだことのないお香のにおいと同時に、普通に生活しているとなかなかお目にかかれないような、表情は恍惚という感じなのに目がギラギラした全身タトゥーの方が出てきた話など、怖い話はいくつかありますが、それはまた機会があれば紹介できたらと思います。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
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