「あ、こういう感じで記事になるんだ」 ルーキー都玲華が“思い出”の『2アンダー理論』で自己ベスト達成
<明治安田レディスゴルフトーナメント 2日目◇19日◇仙台クラシックゴルフ倶楽部(宮城県)◇ 6642ヤード・パー72>
「ガツガツ攻めちゃうクセがある」。そんなルーキーの都玲華を、落ち着かせる“おまじない”がある。それが、メンタルコーチとともに話し合い、取り入れた「2アンダー理論」というもの。一日2アンダーを目指すことで、無理に攻めることなどを防ぐ効果があるという。
それを初めて取り入れたのは、まだアマチュアだった2023年の「ミネベアミツミレディス」だったことは、はっきりと記憶に残っている。「そこで挑戦して、スコアが良くて、初めてみなさん(記者)に取材してもらったんです。その時に『2アンダー理論』って言ったら、記事にしてもらって。あ、こういう感じで記事になるんだって思って、めっちゃ覚えてる」から。最終日を首位と5打差の4位で迎えた試合(最終成績は16位)でフル活用したのだが、その後は「やめてしまった」考え方だ。
今大会のグリーンは、スピードを表すスティンプメーターが2日間とも『8 3/4』で、硬度を表すファームネスメーターは『285』と『284』。今季のツアーで圧倒的に遅く、さらにツアー屈指の軟らかい仕上がりになっている。そのコンディションでは、常にピンをデッドに攻めたくもなるが「狭いホールは集中してフェアウェイに置いて、長いパー3はセンターで。短い時にピンを狙う」と、メリハリをつけた結果、2アンダーを大きく超えるトゥデイ7アンダーを記録した。
そんな意識のなかで、「ご褒美のイーグル」も飛び出した。3つ伸ばして迎えた前半15番パー4で、残り88ヤードのラフから54度のウェッジで打ったセカンドショットが、直接、カップインした。打ち上げのグリーンで、さらにピンは段の上。本人からは見えず、同伴競技者の「入った!」の言葉にも思わず「ウソだぁ」と返したほどだった。ここもラフからのショットということもあり、無理に狙うことはしなかったが、それが最高の結果につながった。
「65」というスコアは、これまでの「68」を大きく上回るプロ自己ベスト。プライベートでは「4~5回ある」というが、「あと1打で正真正銘の自己ベストでした…。“5”のカベが越えられない」と悔しさを残すスコアでもある。パーで終えた最終9番では、4.5メートルのバーディパットをガツガツと狙ったが、それも無理はない。
さらに、こんな点も自信になる。「100ヤード以内(のショット)が安定した。ウェッジショットが課題だったけど、そこが良くなりました」。これはオフから取り組んできた部分。チャンスを演出するうえで欠かせない要素だが、「アマチュア時代、トッププロの方はウェッジでピタッとつけて、サラッと入れていてスキがなかった。それができないと、厳しい世界。今もまだまだだけど、手応えは感じています」という経験もそれを促す。
イーグル直後の16番パー5。70ヤードの3打目を“お先”につけて奪ったバーディが、本人が振り返る会心の一打だ。周囲のアドバイスを受け、アライメントを修正するスティックなども活用してショットを磨いてきた。「なかなかうまくいかなかったけど、今回につながった」と、上位を争う場面で仕事をした。
バーディ合戦で初優勝を狙う上では、「(理論の)2アンダーだと絶対無理だろ」というのは、ちょっとした悩み。そこで導き出したのは「(2日目と)やることに変わりはない」という答えだ。「集中していて10アンダーまで伸ばしたのに気づかなかった」。こんな心理状態に持ち込めば、チャンスはさらに大きくなる。なにも2アンダーで止める必要はない。その理論だけは頭の片隅に置き、伸ばせるだけ伸ばせばいい。(文・間宮輝憲)
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