「最大の強敵」を迎え撃つ井上尚弥。26度目のタイトルマッチを乗り越えて未来のドリームマッチにつなげられるか【Lemino BOXING】

9月14日に名古屋市のIGアリーナでゴングが鳴る「NTTドコモ presents Lemino BOXING トリプル世界タイトルマッチ」の発表記者会見が10日、都内のホテルで開催された。
メインではスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)がWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と防衛戦を行い、セミではWBOバンタム級王者の武居由樹(大橋)が挑戦者1位クリスチャン・メディナ(メキシコ)を迎え撃つ。
「自分の中でもキャリア最大の強敵だと思う」
記者会見に登壇した王者がこう言い切るように、井上が自身26度目の世界タイトルマッチで最強のチャレンジャーを迎えた。
30歳のアフマダリエフはウズベキスタン出身でリオデジャネイロ五輪の銅メダリスト。プロ入り後は無敗のままWBA・IBFスーパーバンタム級王者となり、微妙な判定で王座陥落を味わったものの、ここまで13勝(10KO)1敗の戦績を残している強打のサウスポーだ。
井上は前回5月、アメリカ・ラスベガスの試合で伏兵ラモン・カルデナス(アメリカ)に8回TKO勝ちしながら、2回にダウンを喫してファンをハラハラさせた。これについて本人は「自分の過信、油断からああいうシーンが生まれた」と反省した上で、「9月14日の井上尚弥は少し違うぞ、という本気を出させてもらいます」と余裕の表情で言い切った。
言葉だけでなく、井上はすでに「警戒心高め」というマインドでアフマダリエフ対策に取り組んでいる。スパーリングパートナーには帝拳ジムから中野幹士(東洋太平洋フェザー級王者)、村田昴(WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王者)の無敗ホープを招へい。今後は増田陸(日本バンタム級王者)、藤田健児(WBOアジアパシフィック・フェザー級王者)といった実力者に加え、アフマダリエフに唯一の黒星をつけた元スーパーバンタム級2団体統一王者マーロン・タパレスもフィリピンから呼び寄せて万全の体制を構築するという。
井上の行く先には12月にサウジアラビアでの防衛戦、そして来春には現WBC・IBFバンタム級2団体統一王者の中谷潤人(M.T)とのドリームマッチというレールが敷かれている。絶対に負けられないスーパー王者は「今回は判定決着でいいんじゃないかと思っている」とKO宣言を封印して必勝を誓いながらも、「こう言ったときの井上尚弥が一番強いと思っている」と強気に付け加えた。
前回5月の防衛戦を初回KOで快勝した武居は指名挑戦者のクリスチャン・メディナを迎えて3度目の防衛戦だ。「相手はガンガン前に出てきて、手数の多い、パンチのある選手。だからこそ激しい打ち合い、殴り合いができると思う」と意気込みを口にした。
大橋会長が「厳しい試合になると思うが、このあとビッグマッチを計画しているのでそちらに何とか持ち込みたい」と語るように、武居には那須川天心(帝拳)との元キックボクシング王者対決が期待されている。
クリスチャン・メディナはこれまでに何度か来日し、那須川のスパーリングパートナーを務めているということも何かの縁か。武居は「今はこの試合を防衛することしか考えていないけど、自分自身もその先は楽しみ」と那須川とのビッグマッチをしっかり視野に入れていた。
なお、もう一つの世界タイトルマッチはWBAミニマム級王座決定戦。元日本、WBOアジアパシフィック王者の高田勇仁(ライオンズ)と現日本王者の松本流星(帝拳)が空位の王座を争う。
取材・文=渋谷 淳
【NTTドコモ Presents Lemino BOXING トリプル世界タイトルマッチ 井上尚弥 vs ムロジョン・アフマダリエフ】
<ファイナル>
WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ 12R
WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級チャンピオン
井上尚弥(大橋)
vs
WBA世界スーパーバンタム級暫定チャンピオン
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)
<セミファイナル>
WBO世界バンタム級タイトルマッチ 12R
WBO世界バンタム級チャンピオン
武居由樹(大橋)
vs
WBO世界バンタム級1位
クリスチャン・メディナ(メキシコ)
<第5試合>
WBA世界ミニマム級王座決定戦 12R
WBA世界ミニマム級1位
高田勇仁(ライオンズ)
vs
WBA世界ミニマム級2位
松本流星(帝拳)
<第4試合>
スーパーバンタム級 8R
WBOフェザー級3位
下町俊貴(グリーンツダ)
vs
韓国スーパーバンタム級チャンピオン
リー・ハンソル(韓国)
<第3試合>
日本ライト級王座決定戦 10R
日本ライト級1位
村上雄大(角海老宝石)
vs
日本ライト級3位
今永虎雅(大橋)
<第2試合>
スーパーフェザー級 8R
日本スーパーフェザー級8位
英豪(ラッシュ緑)
vs
東洋ライト級5位
大畑俊平(駿河男児)
<第1試合>
バンタム級 4R
綾野太晴(中日)
vs
名和佑磨(岐阜ヨコゼキ)
【制作・編集:Blue Star Productions】
記事提供元:Lemino ニュース
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