“裏ルート”は今年限り? カメリアヒルズ17番の改造計画を聞いた【現地記者コラム】
大会3日目の17番パー4。佐久間朱莉がティショットを左隣の16番に向かって打つという“奇策”が大きな話題を集めた。このシーンを見た瞬間、主催のアース製薬・大塚達也会長の感想を聞いてみたいと思った。開催コースのカメリアヒルズを毎年、改造していくと公言しているからだ。次なる改造は裏ルート封じになるのか? 表彰式後に話を聞くチャンスがあった。
まずは前提から。17番はこの2年間、改造が行われてきたホールだ。昨年はティグラウンドを後方に移動し、距離を約50ヤード延長。今年はこのコース延長に伴い、効かなくなっていた左サイドのバンカーの位置や形状が変更された。これに対する佐久間の“アンサー”が、16番へのティショットだったともいえる。
これを踏まえて、大塚会長に17番について聞くと、まずは「想定外でしたね」と苦笑い。続けて、17番はさらなる改造が決まっていることを教えてくれた。「来年の大会に向けてグリーンを改造します。本当はすべて一気にやりたかったんですけど、グリーンを右サイドの池に近づけて、砲台にもなる予定です。結果的に、これが対策になるかもしれません」。
佐久間は3日目のラウンド後、左バンカー手前に3Wで刻むよりも、1Wで16番に打った方が2打目を1番手短いクラブで打てる、と話していた。グリーンが右に移動すれば、16番からは遠くなる。もし2打目の距離が変わらないのであれば、わざわざ隣のホールに打つという戦略は成り立たなくなる。
大塚会長の方針を受け、実際にコース改造に携わっている茂木宏美プロにも話を聞いた。「まずは打球事故が起きなくて良かったなと思っています」と安全性の面からも対策は必要と考えている様子。
「コースデザイナーが大会期間中に会場に来ていますし、映像でもあのプレーは確認しています。過去に男子ツアーで似た事例があったと聞いているので、それも参考にしながら、どんな対処法があるのか、話し合いたいと思います」。グリーンだけでなく、来年はさらに生まれ変わった17番になる可能性もありそうだ。
さて、17番の話で盛り上がり過ぎて、大塚会長とできなかった話がひとつある。キャディが着用する“つなぎ”についてだ。
「マスターズ」を参考にしたもので、トーナメントの雰囲気づくりに一役買っているが、連日30度越えの中での着用はさすがに厳しい。つなぎだけが原因ではないにしても、大会期間中には熱中症と思われる症状で医務室に運ばれたキャディもいた。かなり汗を吸うようで「ラウンド後半は重くなります。そのまま返すのが申し訳ないぐらいです」という声も聞こえてくる。見た目はそのままにハイテク素材などを使って、快適なつなぎにできないものか? こちらも来年に向けて、改造に期待したい。(文・田中宏治)
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