渡邊雄太「100回のうち99回ダンクされることがあっても必ず跳ぶ」NBAプレーヤーの生き様『NumberTV』第22話

NTTドコモの映像配信サービス「Lemino(レミノ)」では、さまざまなジャンルのトップアスリートを招き、彼らの競技人生における「最大の挫折」の真実に迫る『NumberTV』を配信している。その時何を感じ、どう壁を乗り越えたのか。選手本人が当時の写真と向き合いながら、復活までの道のりを明かす本格ドキュメンタリーだ。#22では、史上2人目の日本人NBAプレーヤー・渡邊雄太が「挫折地点」を明かす。
罵声を称賛の声に変えた渡邊雄太の生き様とは?
2WAY契約のまま、2シーズンを終え、本契約を結べず、フリーエージェントになったNBAプレーヤー・渡邊雄太。トロント・ラプターズのトレーニングキャンプに参加した渡邊は、アスリートとしてのターニングポイントに直面する。NBA選手としての生き残りをかけたキャンプ、というプレッシャーからシュートが打てなくなってしまったのだ。渡邊が体験したのは、多くのアスリートが直面する「イップス」だ。イップスは、主にスポーツに見られる心理的要因によって生じる運動障害である。当時は「いざシュートを打とうとすると体がこわばって…硬直して」しまう状態だったという。
渡邊は、克服が難しいとされるイップスを抱え、出場したプレシーズンマッチが渡邊のバスケットボール人生を大きく左右した。「シュートが絶対に入らないと思ったので」ディフェンスに注力する作戦で出場した渡邊の前からディフェンスがいなくなり、どうしても打たなくてはいけない状況に。「ぶん投げたみたいな感覚」で打ったシュートが入ったことで力が抜け、渡邊は再びシュートが打てるようになったのだった。
トロント・ラプターズとの2WAY契約を勝ち取ることができ、新天地での再出発は上々だった渡邊に、再び試練が訪れる。この年のドラフト1位、ミネソタ・ティンバーウルブズのアンソニー・エドワーズ選手に「ポスタライズダンク」を決められてしまったのだ。ディフェンスを辱めるようなダンクシュートを切り抜かれ、晒し者にされるポスタライズダンクを取られたがるNBA選手はいない。しかし、渡辺は「ポスタライズダンク」をされても自身のスタイルを変えようとは思わなかった。「100回のうち99回ダンクされることがあっても、残りの1回がブロックにつながる可能性があるなら必ず跳びます」。それが自身の生き方であり、バスケットに対する姿勢である、とインタビューで語ったことから、罵声は称賛の声に変わり、ラプターズと念願の本契約を結ぶ。
幼いころに夢見た最高峰の舞台で過ごした6シーズン。その裏で、渡邊は日本代表としても戦い続けた。「史上最強の日本代表」と言われ、自信をもって臨んだ2019年のワールドカップではまさかの5連敗。特にアメリカとの試合は、「大人対子ども」のようで、渡邊にとっては「彼ら(アメリカ人選手)は、試合中遊んでいるみたいな感覚」だったという。2年後の東京五輪でも1勝もできず、負け続ける日々の中迎えた2023年のワールドカップ。渡邊はパリオリンピックへの切符をつかむことができなければ、日本代表のユニフォームを脱ぐ覚悟を決めたのだった。
【制作・編集:All About編集部】
記事提供元:Lemino ニュース
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