「また始めたの?」と言われた25歳 新藤励が3億円大会でツアーデビュー
<アース・モンダミンカップ 事前情報◇25日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6688ヤード・パー72>
賞金総額3億円。国内最大級のビッグトーナメントでレギュラーツアーデビューを果たすのが、25歳の新藤励(しんどう・れい)だ。
2023年にティーチング資格を取得。ティーチングプロ競技会で上位の成績を収め、QTの出場資格を得るというルートで昨季、今季と下部のステップ・アップ・ツアーに出場している。今大会は1カ月前に行われたマンデー(主催者推薦選考会)をトップ通過しての参戦。巡ってきたチャンスを前に、緊張感が高まっている。
「もともと競技に出るつもりはなかったんです」。新藤に声を掛けると意外な言葉が返ってきた。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、2020年に単年登録制度を廃止。ツアー出場のルートを原則プロテストに一本化した。ティーチング資格での入会は、プロテストに合格できていない選手の“抜け道”のように言われた時期もあった。
ただ、新藤はそんなルートを全く意識していなかった。「資格取得のための練習はしましたけど、ラウンドは月に1回とか。競技はどうしても結果に縛られるので、楽しいと思えなくなっていたんです」。並行して受験していたプロテストは3年連続で1次敗退。「モチベーションがありませんでした」と振り返った。
そんな意識に変化が生まれたのは、ティーチング資格を取得してからのこと。「ラウンドレッスンのお客さんから『まだ試合に出た方がいいでしょ』と言われて、じゃあまた出るかって」。2023年7月、マイナビネクストヒロインツアーに初出場。「5月にもお話を頂いていたんですけど、その時は断っていました。そうしたら、たまたま2位になってしまって(競技を)辞められなくなった感じです(笑)」。
同月のティーチングプロ競技会では7位に食い込み、QTの出場資格も得た。「今は出られる試合には出ています。やっぱり楽しくないな、と思うこともあるんですけど、辞めないってことは好きなんでしょうね」。ステップ・アップ・ツアーは昨季10試合の出場でトップ10入りが2回。今季はここまで5試合に出場して、28位が最高となっている。
2000年度生まれのプラチナ世代。「小学生、中学生のころに全国大会で一緒だった選手たちが活躍しているので、そこで戦えていないことには悔しさもあります」。今大会の練習ラウンドでは、顔なじみの阿部未悠と同組でプレー。「『辞めたのは知ってたけど、また始めたの』って言われました」と苦笑いだった。
「予選を通れたり、アンダーパーを出せたらうれしいですけど、今はあまり調子が良くないので。それよりも楽しめたらなと思っています。ステップとは雰囲気も違うので緊張しますね」。来週にはプロテストの1次も控える。すでにスターとなった同い年の選手たちと歩んできた道のりは違うが、新藤も着実に前進を続けている。(文・田中宏治)
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