実は大ブーム! 平成レトロの超人気ガジェット「オールドコンデジ」の世界
需要が激減していた中古コンデジが今では大人気!
平成に販売された、コンデジことコンパクトデジカメが近年、若者を中心に世界的なブームとなっている。古き良きコンデジの人気シリーズ、そのカルチャーを『週刊プレイボーイ』本誌連載でおなじみの山下メロさんが紹介します!
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平成レトロのブームはとどまるところを知らず、需要が激減していた中古コンデジが今では大人気に――。
近年のレトロブームを象徴するのが「写ルンです」に代表される使い切りカメラ(レンズ付きフィルム)のリバイバル販売でした。
ただし、現在これでSNSに画像を投稿するには、プリントの発注や写真のデータ化と、お金も手間も発生します。そんな中、Z世代から手軽にレトロな写真が撮れるコンデジの需要が高まりました。
平成時代のコンデジは低画質ゆえ、味のある写真を撮れるのが特徴。これは高画質とAI補正により機種ごとの違いがわかりづらくなった近年のスマホの画像とは別モノです。当時を知る人には懐かしく、知らない世代には新鮮で個性的に感じられることから、現在、世界的なコンデジブームとなっています。
ただし、初期のコンデジはスマホほど利便性に優れていません。最初期のヒット製品である1995年のカシオQV-10は、撮影画像の保存先は内蔵メモリのみ。PCに転送するにも専用ケーブルが必要でした。
さらに当時のOS環境でしか動作しない転送ソフトも必須など、現代で使うにはハードルが高すぎます。実際、当時もPCが一般に普及する以前ゆえ、主なコンデジユーザーはPC愛好家だったのです。
その後、コンデジの撮影画像は記録メディアに保存できるようになります。ただ、SDカードが主流となった現在では流通していないメディアも多く、読み込むためのカードリーダーも入手困難。しかも32MBまでしか動作しないなどの制限もあり、メディアの中古価格も高騰しています。
なので、「ちょっと味のある写真をSNSにアップしたい!」という目的なら、現在も普及しているメディアであるSDカードに対応したLUMIXシリーズのような機種を選ぶのがオススメです。
LUMIX シリーズ パナソニック/2001年販売開始 集合写真が撮影しやすいワイドレンズ、顔や夜景を自動認識できるモードなどが搭載されたDMC-FX35(2008年発売)
一方、あえてオールドコンデジの世界にどっぷりと漬かりたいなら、QVシリーズのような古い機種を選ぶのが正解です。このような機種で当時のアプリやケーブルといったPC環境を構築すれば、よりレトロな写真を撮ることができます。
この環境構築はZ世代には難しいかもしれませんが、ここは古くから各種ガジェットに精通する方々に、SNSで指導してもらうのがいいでしょう。親切に教えてくれるはずです。
QV シリーズ カシオ/1995年販売開始 廉価版のQV-111997年発売)
カラー変更のマイナーチェンジ版のQV-10A(1996年発売)など、同じ筐体を使用したバリエーションが展開された
背面に1.8インチのカラーディスプレーを搭載し、レンズ部分は回転してセルフィーにも対応する画期的モデルだった
00年代、携帯電話にカメラがつくようになりましたが、小さなレンズと低画質ゆえ、あくまで写メ用で、まだコンデジの需要もありました。ただ10年代にスマホが普及すると、その搭載カメラは年々、高性能化。画像をネットにアップするのにひと手間かかるコンデジの出番はなくなりました。
今やデジカメといえばミラーレス一眼が主流。そうして需要が激減していたコンデジが、平成レトロブームの中で新たな価値を生み出しているのです。
最近、昔のiPhoneで撮影した画像が「懐かしい」とSNSでバズることが増えています。今後は、このようなオールドスマホも、カメラ機能目的で価格が高騰するかもしれません。これは捨てずにキープしておきましょう。
■中古ショップの店長に聞く! 絶対に失敗しないオールドコンデジの買い方とは?現在、フリマアプリでも大人気のコンデジ。購入検討時に確認すべき部分とは? 秋葉原の中古ショップ「秋葉原最終処分場。」の中川宗典店長に聞いてみました。
中川 人気なのはパナソニックのLUMIXシリーズのような普通の形をしたモデルです。カラーはシルバーが圧倒的に人気で、シャンパンゴールドやピンクは不人気。カラーの違いによる性能差はありませんので、安く狙うなら不人気カラーがオススメです。
――動作面ではどのような注意点がありますか?
中川 フリマアプリには「電源入ります!」と表示された商品が多く出品されています。私も何個か買ってみましたが、「ピントが合わない」「ズームが動かない」「データが保存できない」という商品ばかり。これ、〝電源が入るだけ〟の商品なんですよね(笑)。
さらに、APSフィルムカメラのIXYをコンデジとして出品しているケースもあります。なので、動作を動画などでしっかりと確認できて、さらに「バッテリー、充電器、記録メディア付き」を探すのがいいでしょう。
中古カメラ店だと、このような商品は2万円前後。物によっては定価以上、それこそレアな記録メディアも〝プレ値〟で販売されています。
――ちなみに、中川さんのお店では、どんな商品の販売をしているのですか?
中川 うちは基本的に動作未確認のジャンク品です(笑)。ただ完動品に関しては、バッテリー、充電器、記憶メディア付きで販売していますし、コンデジに関してわからないことがありましたらなんでも相談してください。
東京・秋葉原のジャンクショップ、「秋葉原最終処分場。」の中川店長。同店舗では各種ジャンクを取り扱い、コンデジは「山本無線 E-BOX」にも出品中
取材・文/山下メロ 直井裕太 撮影/榊 智朗 協力/秋葉原最終処分場。【@akihabalast】
記事提供元:週プレNEWS
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