「孤独を感じた」7割超え 2025年の職場で起きている“人間関係の崩壊”
コロナ禍以降、テレワークの常態化や対面機会の減少によって、職場でのコミュニケーションが希薄になったと感じる人は少なくないだろう。Job総研の調査によれば、「職場で孤独を感じたことがある」と答えた人は約7割にのぼるという。では、その孤独感は仕事にどんな影響を与えているのか。今回は、調査結果から見えてきた職場の孤独の実態と対策について見ていこう。

職場の孤独はなぜ増えた?浮き彫りになる職場の孤独実態

Job総研は2025年5月9日〜14日の6日間、現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者である全国男女20代~50代の576人を対象に、職場の孤独実態調査を実施した。職場で孤独を感じた経験を聞いたところ、69.2%の人が「ある」と回答。興味深いのは、孤独を感じた時期の変化である。2019年には19.8%だった孤独経験が、2020年のコロナ禍突入後には27.1%に上昇。そして2025年には67.2%と、わずか数年で約3.4倍に跳ね上がった。テレワークの普及による対面機会の減少が、業務上のコミュニケーションだけでなく、人間関係の土台そのものを崩してしまったことが予想される。

役職別に見ると、孤独を感じた割合が最も高かったのは「主任クラス(80.7%)」だった。主任クラスは一般社員と管理職の狭間で、プレッシャーと孤立感の両方を背負う立場とも言える。チームを支える中堅層の孤独は、組織全体の風通しにも悪影響を及ぼす可能性がある。孤独を感じる瞬間としては、「人間関係が希薄だと気づいた時(34.8%)」「職場で雑談が少ない時(33.6%)」「上司や同僚に相談しにくい時(28.3%)」が上位を占めた。業務の話だけで完結してしまう関係性が、社員の心の距離を生み出していると言える。

さらに孤独感の中身を調査してみると、「年齢・性別・価値観の違い」「自分だけ何かが違う感覚」といった、周囲と比較した際に生じる疎外感や、「頑張りが誰にも届かない」といった承認欲求が原因になっていることが多いようだ。これらの孤独感が「不安やストレス」「帰属意識・モチベーション低下」に影響を与えていることも明らかになった。
職場の孤独が離職を生む?企業に求められる対策とは

では、その孤独感は実際に職場においてどのような影響を及ぼしているのだろうか。調査によれば、約8割が「仕事やメンタルに影響する」と回答しており、さらに、「職場での孤独を理由に退職や退職検討をしたことがある」と答えた人は6割を超えた。孤独感は、ただの一時的な感情では済まされず、仕事のパフォーマンス低下や精神的な疲弊、そして最終的には離職の可能性もあるようだ。
しかし孤独感を感じながらも、対策として「特に何もしていない」「もう諦めた」という声が多いのも事実だ。孤独は個人の努力では乗り越えにくい感情であることが浮き彫りになった。
職場の孤独感軽減に必要なことについて調査すると、多くの回答者から「リラックスできる空間」や「気軽に話せる対面の場が必要」といった声があがった。対策としては、気持ちを切り替えられる空間づくりや、社員同士がつながりを感じられるような機会づくりなどが重要になると考えられる。職場の孤独を放置せず、見えない声に耳を傾けることが、これからの企業に求められる本質的なマネジメントと言えるだろう。
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記事提供元:スマホライフPLUS
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