ティーチングプロ代表として挑んだ“大舞台” 32歳・大瀧一紀が見据える新たなステージ「チャンスがあれば…」
<日本プロゴルフ選手権 2日目◇23日◇三甲ゴルフ倶楽部 谷汲コース(岐阜県)◇7337ヤード・パー72>
日本プロゴルフ協会(PGA)が主催する今大会には、日本ゴルフツアー機構(JGTO)のツアーメンバーに加え、昨年のPGA資格認定プロテストをトップ通過した山下勝将、新人戦優勝者、各地区予選会を突破したPGA会員など、多彩な顔ぶれが集結。まさにプロゴルファー日本一決定戦にふさわしいフィールドとなった。
その中のひとり、32歳の大瀧一紀は、昨年の「ティーチングプロ選手権」優勝の資格で出場。福島県出身で、中学時代は野球に明け暮れていた。「一回戦敗退ですぐに終わってしまった」と野球部を引退し、母親から「運動をしたほうがいい」と言われ、練習場に行ったのがゴルフを始めたきっかけだった。
「体が大きかったので、しっかりクラブに当たらなくても、野球よりもボールが飛んでいくのが楽しくて。夢中になりました」とゴルフにのめり込み、高校に進学してからはプロゴルファーを目指した。卒業後はプロテストにも挑戦。合格には至らなかったものの、教える道に進み、ティーチングプロの資格を取得した。
そんな大瀧にとって、今回は念願の舞台。「それ(大会のこと)ばっかり考えていました」と、練習とレッスンを両立しながら準備を重ねた。自身が所属するゴルフスタジオ『STUDIO TRINITY』のインスタグラムでは、「ティーチングプロが日本プロゴルフ選手権に出ること、福島のスタジオから出ることが伝わればなと思って…」とカウントダウン投稿を発信し、周囲の期待も高めていた。
しかし、「いざ来てみたら不甲斐なさすぎて…」と悔しい結果に終わった。初日が4オーバー・122位タイ。2日目は11オーバーの「83」を叩き、トータル15オーバー・142位で予選落ちとなった。「一生懸命やった結果がこれなのかな。練習不足。このセッティングに合わせる技術がないということ」と実力の差を痛感した。
それでも、大会は大きな刺激となった。「今年のティーチング選手権でまた優勝して、もう一度ここに戻ってきたい。来年こそはリベンジしたい」と、プレーヤーとしての闘志に火がついた。
ギャラリーの視線、静寂の中でのショット、ツアー選手と同じ空間に立つ緊張感。そのすべてが新鮮で、刺激にあふれる2日間となった。「人がたくさんいるのに不自然というか、打つときにピタッとその場が止まる感じ。小さい音でも気になってしまう(笑)」と普段とは違う環境に戸惑いながらも、改めて「すごいなと思いました」とツアーで戦う選手たちに感銘を受けていた。
ツアープロを間近で見て、ある発見があった。それは「100点のショットをずっと出し続けているわけではないのかな、ということ。練習場とかではミスしてもいいから、体の動きを意識する練習をしているように見えたし、ボールの行き先は関係なく、ずっとスイングのことだけを考えて打っているように思いました」と、トッププレーヤーたちの練習姿勢にも感化された。
今後については、「ティーチングを続けながら、スポットで試合に出ながら活動していきたい。チャンスがあれば、プロテストもしくはツアーに挑戦していきたい」。教える側とプレーヤー、“二刀流”の道を見据える。
ティーチング代表として挑んだ大舞台。ここで得た悔しさを糧に、大瀧は新たなステージを目指して歩み始める。(文・高木彩音)
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