日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『サブスタンス』をレビュー!
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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。若さと美しさに飢えた狂気を描く、グロテスクな寓話!* * *『サブスタンス』評点:★5点(5点満点)
©2024 UNIVERSAL STUDIOS
想像を絶するメチャクチャで大変なことがどれだけ画面の中で展開するか、というのは映画、とくにジャンル映画の面白さの原点である。
銃撃戦やカーチェイス、格闘、大怪獣、宇宙戦争(宇宙でなくても良い)などは、どれもそういう「想像を絶するメチャクチャで大変なこと」をスクリーンに焼き付けようという試みだとみなすことができる。
また、映画というのは基本的に、登場人物がとんでもない失敗をしたり、思いも寄らない苦難に見舞われたりするところを見るものでもある。平穏無事な日常を送る失敗知らずの人間には(少なくとも映画内における)ドラマがないからだ。
本作は「年齢を理由に干されてしまう」という苦難に見舞われたかつての大女優が、「夢のような若返り物質」というメチャクチャな武器を手に入れて、「こう使ったらいけませんよ」という警告をガン無視して使いまくるというとんでもない失敗をして、その結果文字通り「想像を絶するメチャクチャで大変なこと」が起きる。
そういうあれこれの総てが臆面もなく実際に映像として展開する、ということが本作を美しくパワフルな作品にしている。本作のテーマと同様、映画においても「表層」が物を言うのである。
STORY:元人気女優のエリザベスは容姿の衰えから仕事が減少。彼女は再生医療「サブスタンス」によって若く美しい分身スーを生み出し、体を入れ替えながらスターダムを駆け上がるが、次第にスーがサブスタンスのルールを破り始める......
監督・脚本:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイドほか
上映時間:142分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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