【世界卓球2025】女子、史上最強!植草朋樹アナが断言「準々決勝は世界中の注目が集まる!」
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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「世界卓球2025」が、5月17日(土)〜25日(日)に、カタール・ドーハで開幕!(テレ東系・BSテレ東で連日放送)。
【動画】卓球界のレジェンド水谷隼が「世界卓球」を徹底解説!
「テレ東プラス」は、卓球と言えばこの方! 2005年から「世界卓球」の実況を担当している植草朋樹アナウンサーを直撃。果たして、王者・中国超えを果たす歴史的な中継となる可能性はあるのか! 「卓球女子」について今大会の見どころを熱く語ってもらった!
▲写真右から植草アナ、解説の近藤欽司さん(元日本代表監督)、藤井寛子さん(元世界卓球日本代表)。「世界卓球2015」より
【女子シングルス 見どころ】
「今回の女子シングルスは、日本女子卓球史上最強のチームと言えます。世界ランキングを見ても、張本美和選手が6位、早田ひな選手が7位、大藤沙月選手が8位、伊藤美誠選手が9位。平野美宇選手も18位と全員が20位以内。
第1シードから第4シードが中国選手、第5シードから第8シードが日本選手で、準々決勝に勝てばメダル確定となるので、日本選手対中国選手になるであろう準々決勝4試合はまさに、世界中の注目が集まると思います」(植草アナウンサー 以下同)
●早田ひな

「早田選手、伊藤選手、平野選手は同い年で“黄金世代”と呼ばれてきました。伊藤選手と平野選手は早くから国際舞台で活躍し、14歳でワールドツアーのダブルスで優勝して大きな注目を集めました。
一方、早田選手は、プレースタイル的にしっかりと基礎を築き上げていく必要があったため、少し時間がかかりました。その分、基礎力が非常に高く、1度世界のトップに立つと崩れにくい安定感があります。『東京オリンピック』まではリザーブでしたが、『パリオリンピック』でシングルス、団体ともにメダルを獲得し、黄金世代の中では遅咲きながらも大輪の花を咲かせました。パリ後はケガで苦しい時期もありましたが、今年の『全日本選手権』で見事復活優勝を果たし、持ち味のパワー卓球に加えて、戦術的な巧みさも身につけました。“ニュー早田”として、今大会での活躍が期待されます」
●張本美和

今や中国が最も警戒する選手です。16歳という若さでまだまだ伸びしろがあり、将来的に世界ランキング1位や世界チャンピオンになる可能性を十分に秘めています。日本だけでなく、世界中が注目している選手と言えるでしょう。
張本選手の特徴は、オールラウンダーであること。バックハンド、サーブレシーブ、フォアハンドのラリー力、どれも高いレベルにあります。弱点が少なく、戦術面でも非常に優れています。
去年の『世界卓球(団体戦)』でも中国相手に2勝2敗で勝った方が世界一という試合を経験しました。実は『世界卓球』の個人戦は今回が初出場。兄弟同時金メダルなど、“何か大きなことをやってくれるのではないか”という期待が大きいです」
●大藤沙月

「大藤選手は、日本女子卓球界の驚くべき新星です。20歳になってから急成長を遂げ、去年1年間で世界ランキングを120位から一気に一ケタまで上げています。その背景には、去年から新たに就任した坂本竜介コーチの指導があります。
元々守備の上手い選手でしたが、守備だけでは世界ランク30位くらいが限界でした。そこで坂本コーチが攻撃的なプレーを徹底的に教え込んだのです。攻撃的なプレーはリスクを伴いますが、大藤選手は守備が安定しているので、攻撃を仕掛けながらも相手に攻められた際にはしっかりと守れる。守備で粘っている間にチャンスを作り、攻撃につなげることができるのです。この攻撃的なプレースタイルがハマり、国内外で目覚ましい成績を上げています。『世界卓球』は今回が初出場。日本が誇る秘密兵器と言えるでしょう」
●伊藤美誠

「14歳で脚光を浴び、日本のエースとして東京五輪では卓球史上初のオリンピックの金メダルを獲得するなど黄金期を迎えました。
しかし『東京オリンピック』後、すぐに『パリオリンピック』の選考会が始まり、心身共に疲れ切っている中で、厳しい状況が続きました。結果的に『パリオリンピック』の出場権を逃し、『東京オリンピック』金メダリストからオリンピックに出られないというどん底を経験。その悔しさをバネに、世界ランク1位と『世界卓球』シングルスのメダルという新たな目標を掲げ、再スタートを切りました。今回の『世界卓球』は伊藤選手の第二の卓球人生の始まり、そして集大成とも言えるでしょう。
伊藤選手は、世界の卓球選手の中で2割ぐらいしか使っていない表ソフトラバー(表面に粒があるラバー)を使用し、唯一無二のプレースタイルを持つと言われています。そのため中国もコピー選手を作ることが難しく、伊藤選手を長年警戒してきました。再び調子を上げている伊藤選手が、“今大会では何かやってくれるのではないか”と期待しています」
●平野美宇

「黄金世代の一人であり、“ハリケーン・ミウ”と呼ばれるほどの速攻が持ち味です。
裏ソフトラバーを使用するオーソドックスなスタイルですが、台に近い位置でプレーするのが特徴です。通常、ラリー型の選手は台から離れてプレーしますが、平野選手はあえて近い位置でプレーすることで相手に時間を与えず、自分の速さを最大限に生かします。
しかし、相手の選手が台から距離を取ることでその速さに対応できるようになってしまい、苦しい時期も。そこで近年は自分も距離を取ったり、つなぎのボールを混ぜたりするプレーの幅を広げています。これは、野球でいえば速球派のピッチャーがゆるい変化球も交えて緩急をつけるイメージ。この新しいスタイルは相手にとって非常にやりにくく、本人も“ニューハリケーン平野”と呼んでいる新しいスタイルを武器に、今大会でのメダル獲得を目指しています」
【女子ダブルス 見どころ】
●大藤沙月、横井咲桜ペア
「去年の『アジア選手権』で中国を破り、日本にとって54年ぶりの金メダルを獲得した実績のあるペアです。世界ランキングでは大藤選手の方が上ですが、ペアとしては横井選手が引っ張っていく形。横井選手が巧みなつなぎでチャンスを作り、それを大藤選手が決めるというパターンが多いです。チャンスを作るつなぎのボールはとても難しく、横井選手の高いラリー力があるからこそ、この形が成り立っています。
横井選手はステップワークも素晴らしく、動きながら質の高いボールをつなぐことができるため、大藤選手は少ない動きで決定力を発揮できます。横井選手のつなぎの力と大藤選手の決定力がかみ合った、非常に強力なペアと言えるでしょう。世界ランキング1位なのも納得です」
●張本美和、木原美悠ペア
「張本選手は、オールラウンダーで弱点のない選手。これはダブルスにおいて重要な要素となります。ダブルスは、シングルスに比べてレシーブがより得点につながりやすいと言われています。レシーブがうまい張本選手がいることは大きなアドバンテージとなり、さらにサーブも巧みな張本選手は、本来サーブ側が不利なダブルスでも得点を奪うことができます。
木原選手も同様に、サーブ、レシーブともにレベルの高い選手。張本選手は裏ソフトラバー、木原選手は表ソフトラバーを使用していますが、一人が裏ソフト、もう一人が表ソフトのペアは、打球の質がまったく異なるため対応が難しく、相手にとっては非常にやりにくい。木原選手の表ソフトは相手からのボールにも変化を与えるため、張本選手も予測しにくい部分がありますが、2人はTリーグでもペアを組むことが多く、お互いのプレーを熟知しています。相手にとってはやりにくく、自分たちにとってはリスクにならない、非常に強みのあるペアと言えるでしょう」
【混合ダブルス 見どころ】
●松島輝空、張本美和ペア
「混合ダブルスは日本のお家芸とも言われており、『東京オリンピック』でも金メダルを獲得しています。松島・張本ペアはそのお家芸を受け継ぐ、日本の未来を担うペアであり、『ロサンゼルスオリンピック』での活躍も期待されます。
松島選手は予測不能なプレーをする天才肌の選手で、それをオールラウンダーの張本選手が支えるという、組み合わせ。2人とも高校生で松島選手が年上なのですが、張本選手の方がお姉さんのような感じで松島選手を引っ張っていくような関係性も魅力です」
すでに今年の国際大会でも優勝していて、世界卓球ダブルス初出場でいきなりメダル獲得も夢ではありません」
●吉村真晴、大藤沙月ペア
「ダブルスでは右利きと左利きのペアの方が動きやすく有利と言われていますが、このペアは右利き同士です。しかし、吉村選手のサーブの上手さと2人のコンビネーションで、そこをカバーしています。
“ミスターメダリスト”と呼ばれる吉村選手は、出場する大会で必ずと言っていいほどメダルを獲得、勝負強さを持った選手です。また、世界でも有数のサーブの名手として知られており、特にアップダウンサーブ(同じフォームで上回転、下回転を出すサーブ)は相手が回転をまったく読めないほどです。
このペアのすごいところは、大藤選手の器用さ。吉村選手の予測不能なサーブを受ける相手のレシーブもまた予測が難しく、次に打つ女子選手にとっては難しい状況になることが多いのですが、大藤選手はそれを難なくこなしてしまう。吉村選手も『大藤選手が器用で本当に助かっている』と語っています。野球でいえば、『すごいフォークボールを投げるがキャッチャーがそれを取れなければ使い道がないが、捕球できるキャッチャーがいるからピッチャーが安心して投げられる』というような、最高のコンビネーションと言えるでしょう」
【植草アナの記憶に残る試合】
「世界卓球2018」団体戦 女子準決勝「日本×南北合同チーム コリア」
「この大会では、準々決勝で対戦する予定だった韓国と北朝鮮が試合直前に南北合同チーム コリアを結成し、準決勝で日本の対戦相手になりました。日本は突然、韓国と北朝鮮のエース2人がいるチームと戦うことになったのです。
卓球は相手チームの対策がとても重要なのですが、日本は戦術練習をする時間もなく、なおかつ韓国と北朝鮮のエース2人がいるチームと戦うのは非常に不利であり、大騒ぎになりました。そんな中、伊藤美誠選手は試合前に『相手が強くなればなるほど楽しい』と言ったのです。ネガティブになってもおかしくない状況下で日本は堂々と立ち向かい、見事勝利しました。あの試合はすごかったですね」
【こう見れば「卓球」はもっと面白い!】
「男子はダイナミックさ、女子はスピード感を見ていただきたいです。男子の場合は台から離れたところから、小さな台にボールを入れていくラリー力がすごい。どうすればあんなに遠いところから小さい台に入れられるのか、まるでマジックのようです。
女子の場合は逆で、台に近い所で打っています。女子の場合は0.3~0.4秒で1ラリー。野球で言うと、バッターが160㎞/hの球を打つのと同じくらいの体感スピードです。
速い選手になると0.2秒台で、野球に例えると170㎞/hの球です。ということは、彼女たちは170㎞/hのボールを、しかも次のコースを考えながら打っているんですよね。
卓球は“100mを全力で走りながらチェスをするようなスポーツ”と言われています。それだけに運動量が多いだけでなく、頭がクタクタになるスポーツです。
また、我々は選手の得意技にキャッチコピーを付けています。早田選手のフォアハンドのドライブには“ひなドライブ”、相手が攻めてきたボールをカウンターで打ち返す伊藤選手のスマッシュには“みまパンチ”、台についてすごく速いボールを打つ平野選手の“ハリケーン”……こうした得意技が出た時に実況でもキャッチフレーズが出ますので、“おお、今のがひなドライブか!”と、視聴者の皆さんにも盛り上がっていただければと思います」
(取材・文/伊沢晶子)
※「卓球男子」の見どころは、5月17日(土)朝8時に公開します。どうぞお楽しみに!
【動画】卓球界のレジェンド水谷隼が「世界卓球」を徹底解説!
「テレ東プラス」は、卓球と言えばこの方! 2005年から「世界卓球」の実況を担当している植草朋樹アナウンサーを直撃。果たして、王者・中国超えを果たす歴史的な中継となる可能性はあるのか! 「卓球女子」について今大会の見どころを熱く語ってもらった!

【女子シングルス 見どころ】
「今回の女子シングルスは、日本女子卓球史上最強のチームと言えます。世界ランキングを見ても、張本美和選手が6位、早田ひな選手が7位、大藤沙月選手が8位、伊藤美誠選手が9位。平野美宇選手も18位と全員が20位以内。
第1シードから第4シードが中国選手、第5シードから第8シードが日本選手で、準々決勝に勝てばメダル確定となるので、日本選手対中国選手になるであろう準々決勝4試合はまさに、世界中の注目が集まると思います」(植草アナウンサー 以下同)
●早田ひな

「早田選手、伊藤選手、平野選手は同い年で“黄金世代”と呼ばれてきました。伊藤選手と平野選手は早くから国際舞台で活躍し、14歳でワールドツアーのダブルスで優勝して大きな注目を集めました。
一方、早田選手は、プレースタイル的にしっかりと基礎を築き上げていく必要があったため、少し時間がかかりました。その分、基礎力が非常に高く、1度世界のトップに立つと崩れにくい安定感があります。『東京オリンピック』まではリザーブでしたが、『パリオリンピック』でシングルス、団体ともにメダルを獲得し、黄金世代の中では遅咲きながらも大輪の花を咲かせました。パリ後はケガで苦しい時期もありましたが、今年の『全日本選手権』で見事復活優勝を果たし、持ち味のパワー卓球に加えて、戦術的な巧みさも身につけました。“ニュー早田”として、今大会での活躍が期待されます」
●張本美和

今や中国が最も警戒する選手です。16歳という若さでまだまだ伸びしろがあり、将来的に世界ランキング1位や世界チャンピオンになる可能性を十分に秘めています。日本だけでなく、世界中が注目している選手と言えるでしょう。
張本選手の特徴は、オールラウンダーであること。バックハンド、サーブレシーブ、フォアハンドのラリー力、どれも高いレベルにあります。弱点が少なく、戦術面でも非常に優れています。
去年の『世界卓球(団体戦)』でも中国相手に2勝2敗で勝った方が世界一という試合を経験しました。実は『世界卓球』の個人戦は今回が初出場。兄弟同時金メダルなど、“何か大きなことをやってくれるのではないか”という期待が大きいです」
●大藤沙月

「大藤選手は、日本女子卓球界の驚くべき新星です。20歳になってから急成長を遂げ、去年1年間で世界ランキングを120位から一気に一ケタまで上げています。その背景には、去年から新たに就任した坂本竜介コーチの指導があります。
元々守備の上手い選手でしたが、守備だけでは世界ランク30位くらいが限界でした。そこで坂本コーチが攻撃的なプレーを徹底的に教え込んだのです。攻撃的なプレーはリスクを伴いますが、大藤選手は守備が安定しているので、攻撃を仕掛けながらも相手に攻められた際にはしっかりと守れる。守備で粘っている間にチャンスを作り、攻撃につなげることができるのです。この攻撃的なプレースタイルがハマり、国内外で目覚ましい成績を上げています。『世界卓球』は今回が初出場。日本が誇る秘密兵器と言えるでしょう」
●伊藤美誠

「14歳で脚光を浴び、日本のエースとして東京五輪では卓球史上初のオリンピックの金メダルを獲得するなど黄金期を迎えました。
しかし『東京オリンピック』後、すぐに『パリオリンピック』の選考会が始まり、心身共に疲れ切っている中で、厳しい状況が続きました。結果的に『パリオリンピック』の出場権を逃し、『東京オリンピック』金メダリストからオリンピックに出られないというどん底を経験。その悔しさをバネに、世界ランク1位と『世界卓球』シングルスのメダルという新たな目標を掲げ、再スタートを切りました。今回の『世界卓球』は伊藤選手の第二の卓球人生の始まり、そして集大成とも言えるでしょう。
伊藤選手は、世界の卓球選手の中で2割ぐらいしか使っていない表ソフトラバー(表面に粒があるラバー)を使用し、唯一無二のプレースタイルを持つと言われています。そのため中国もコピー選手を作ることが難しく、伊藤選手を長年警戒してきました。再び調子を上げている伊藤選手が、“今大会では何かやってくれるのではないか”と期待しています」
●平野美宇

「黄金世代の一人であり、“ハリケーン・ミウ”と呼ばれるほどの速攻が持ち味です。
裏ソフトラバーを使用するオーソドックスなスタイルですが、台に近い位置でプレーするのが特徴です。通常、ラリー型の選手は台から離れてプレーしますが、平野選手はあえて近い位置でプレーすることで相手に時間を与えず、自分の速さを最大限に生かします。
しかし、相手の選手が台から距離を取ることでその速さに対応できるようになってしまい、苦しい時期も。そこで近年は自分も距離を取ったり、つなぎのボールを混ぜたりするプレーの幅を広げています。これは、野球でいえば速球派のピッチャーがゆるい変化球も交えて緩急をつけるイメージ。この新しいスタイルは相手にとって非常にやりにくく、本人も“ニューハリケーン平野”と呼んでいる新しいスタイルを武器に、今大会でのメダル獲得を目指しています」
【女子ダブルス 見どころ】
●大藤沙月、横井咲桜ペア
「去年の『アジア選手権』で中国を破り、日本にとって54年ぶりの金メダルを獲得した実績のあるペアです。世界ランキングでは大藤選手の方が上ですが、ペアとしては横井選手が引っ張っていく形。横井選手が巧みなつなぎでチャンスを作り、それを大藤選手が決めるというパターンが多いです。チャンスを作るつなぎのボールはとても難しく、横井選手の高いラリー力があるからこそ、この形が成り立っています。
横井選手はステップワークも素晴らしく、動きながら質の高いボールをつなぐことができるため、大藤選手は少ない動きで決定力を発揮できます。横井選手のつなぎの力と大藤選手の決定力がかみ合った、非常に強力なペアと言えるでしょう。世界ランキング1位なのも納得です」
●張本美和、木原美悠ペア
「張本選手は、オールラウンダーで弱点のない選手。これはダブルスにおいて重要な要素となります。ダブルスは、シングルスに比べてレシーブがより得点につながりやすいと言われています。レシーブがうまい張本選手がいることは大きなアドバンテージとなり、さらにサーブも巧みな張本選手は、本来サーブ側が不利なダブルスでも得点を奪うことができます。
木原選手も同様に、サーブ、レシーブともにレベルの高い選手。張本選手は裏ソフトラバー、木原選手は表ソフトラバーを使用していますが、一人が裏ソフト、もう一人が表ソフトのペアは、打球の質がまったく異なるため対応が難しく、相手にとっては非常にやりにくい。木原選手の表ソフトは相手からのボールにも変化を与えるため、張本選手も予測しにくい部分がありますが、2人はTリーグでもペアを組むことが多く、お互いのプレーを熟知しています。相手にとってはやりにくく、自分たちにとってはリスクにならない、非常に強みのあるペアと言えるでしょう」
【混合ダブルス 見どころ】
●松島輝空、張本美和ペア
「混合ダブルスは日本のお家芸とも言われており、『東京オリンピック』でも金メダルを獲得しています。松島・張本ペアはそのお家芸を受け継ぐ、日本の未来を担うペアであり、『ロサンゼルスオリンピック』での活躍も期待されます。
松島選手は予測不能なプレーをする天才肌の選手で、それをオールラウンダーの張本選手が支えるという、組み合わせ。2人とも高校生で松島選手が年上なのですが、張本選手の方がお姉さんのような感じで松島選手を引っ張っていくような関係性も魅力です」
すでに今年の国際大会でも優勝していて、世界卓球ダブルス初出場でいきなりメダル獲得も夢ではありません」
●吉村真晴、大藤沙月ペア
「ダブルスでは右利きと左利きのペアの方が動きやすく有利と言われていますが、このペアは右利き同士です。しかし、吉村選手のサーブの上手さと2人のコンビネーションで、そこをカバーしています。
“ミスターメダリスト”と呼ばれる吉村選手は、出場する大会で必ずと言っていいほどメダルを獲得、勝負強さを持った選手です。また、世界でも有数のサーブの名手として知られており、特にアップダウンサーブ(同じフォームで上回転、下回転を出すサーブ)は相手が回転をまったく読めないほどです。
このペアのすごいところは、大藤選手の器用さ。吉村選手の予測不能なサーブを受ける相手のレシーブもまた予測が難しく、次に打つ女子選手にとっては難しい状況になることが多いのですが、大藤選手はそれを難なくこなしてしまう。吉村選手も『大藤選手が器用で本当に助かっている』と語っています。野球でいえば、『すごいフォークボールを投げるがキャッチャーがそれを取れなければ使い道がないが、捕球できるキャッチャーがいるからピッチャーが安心して投げられる』というような、最高のコンビネーションと言えるでしょう」
【植草アナの記憶に残る試合】
「世界卓球2018」団体戦 女子準決勝「日本×南北合同チーム コリア」
「この大会では、準々決勝で対戦する予定だった韓国と北朝鮮が試合直前に南北合同チーム コリアを結成し、準決勝で日本の対戦相手になりました。日本は突然、韓国と北朝鮮のエース2人がいるチームと戦うことになったのです。
卓球は相手チームの対策がとても重要なのですが、日本は戦術練習をする時間もなく、なおかつ韓国と北朝鮮のエース2人がいるチームと戦うのは非常に不利であり、大騒ぎになりました。そんな中、伊藤美誠選手は試合前に『相手が強くなればなるほど楽しい』と言ったのです。ネガティブになってもおかしくない状況下で日本は堂々と立ち向かい、見事勝利しました。あの試合はすごかったですね」
【こう見れば「卓球」はもっと面白い!】
「男子はダイナミックさ、女子はスピード感を見ていただきたいです。男子の場合は台から離れたところから、小さな台にボールを入れていくラリー力がすごい。どうすればあんなに遠いところから小さい台に入れられるのか、まるでマジックのようです。
女子の場合は逆で、台に近い所で打っています。女子の場合は0.3~0.4秒で1ラリー。野球で言うと、バッターが160㎞/hの球を打つのと同じくらいの体感スピードです。
速い選手になると0.2秒台で、野球に例えると170㎞/hの球です。ということは、彼女たちは170㎞/hのボールを、しかも次のコースを考えながら打っているんですよね。
卓球は“100mを全力で走りながらチェスをするようなスポーツ”と言われています。それだけに運動量が多いだけでなく、頭がクタクタになるスポーツです。
また、我々は選手の得意技にキャッチコピーを付けています。早田選手のフォアハンドのドライブには“ひなドライブ”、相手が攻めてきたボールをカウンターで打ち返す伊藤選手のスマッシュには“みまパンチ”、台についてすごく速いボールを打つ平野選手の“ハリケーン”……こうした得意技が出た時に実況でもキャッチフレーズが出ますので、“おお、今のがひなドライブか!”と、視聴者の皆さんにも盛り上がっていただければと思います」
(取材・文/伊沢晶子)
※「卓球男子」の見どころは、5月17日(土)朝8時に公開します。どうぞお楽しみに!
記事提供元:テレ東プラス
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