ラフに潜む小さい“魔物”と“ガラスグリーン”が難敵! 国内女子メジャー今季初戦は「総合力が試される」【大西翔太のSHOWTIME】
<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 初日◇8日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>
国内女子ツアーは今季7試合を終えて、メジャー初戦が開幕する。今年はベテラン、ルーキーたちの活躍があるなか、どのような試合展開になるのか? 舞台となる茨城ゴルフ倶楽部の西、東コースともに「62」でのプレー経験を持ち、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が、今週も会場から占う。
■ラフに潜む“穂”が難敵、フェアウェイキープが“絶対的”
「このコースは“穂”が多い。ラフに入れてしまったら、グリーンに乗る確率は一気に下がります。ティショットはフェアウェイに置くのはマストです」と開口一番に話す。実際にラフの中へ行くと、“穂”を見せてくれた。中には籾が割れ、花が咲きそうな状態のものもある。
それがフェースとボールの間に入るとスピンがかかりにくくなり、「ボールがドロップしやすく、飛距離が落ちて(グリーンに)届かないケース」が考えられるという。たとえ飛ばないことを見越してクラブの番手を上げ、球の転がりを利用する“フライヤー”を狙ったとしても、「計算が読めない」。あらゆる技を駆使しても、パーオンの可能性は低く、とにかくラフに入れないことが重要となりそうだ。
■“ガラスのグリーン”攻略を意識した攻め方が重要
ラフには小さな“魔物”が潜み、グリーン上ではさらに選手たちを苦しめる。今大会のコースセッティングを担当する茂木宏美の発表によると、「グリーンのスティンプメーターは13~15フィート未満」と高速仕様。「きのう(火曜日)は大雨が降ったので、比較的止まりやすいかもしれないですが、グリーンが乾いてきたら“ガラスのグリーン”になります」と語り、硬くて速いグリーンは簡単にチャンスを与えてくれない。
「傾斜によっては、手前よりも奥に外したほうがいい場合もありますし、絶対に入れてはいけないガードバンカーもある」と続ける。例えば、グリーン右手前のバンカーに入れてしまった場合、ピンポジションによってはバンカー側から下り傾斜になるホールもあるという。「ある程度コースを知っておかないと攻め方は難しい。外してもいい場所の見極めが大事になっていて、そういったマネジメントができないと、一日だけスコアがよくても、2日目に“大たたき”をする選手もいる」と警鐘を鳴らした。
■総合力が試されるコース、今季安定して上位にいる選手に注目?
「このコースは諦めない気持ちが大事です。どうしても必ず試練がくるコース。さらに風もけっこう吹くので、スコアが正直読めないです…。4日間でパープレーの優勝だってあり得ます。忍耐力をどれだけキープするかがカギ。諦めてしまうとボギーが止まらなくなる。そういう意味では“総合力”が高い選手が強い」
その中で本命の一人に挙げたのが安田祐香だ。「メンタルの部分がすごく整った状態。フィジカルもスイングもバランスよく整っている」と話すように、4月序盤の「ヤマハレディースオープン葛城」での7位タイから、翌週の「富士フイルム・スタジオアリス」での優勝を含めて、4試合連続でトップ10入りを果たしている。安定した成績に加えて、現在のパーセーブ率は『87.9227%』とリカバリー力も高く、難セッティングの今大会では“うってつけ”と考えられる。
さらに「ここ最近で調子が良い選手が上位に来ると思います」と続け、今季7試合のうち4試合でトップ10入りを果たし、直近2試合では4位タイ、3位タイと好成績を残す神谷そらや、開幕戦から2度の2位を含む4試合連続でトップ10入りを果たしている菅楓華、木村彩子、蛭田みな美らの名前を挙げた。耐えるゴルフが求められる今大会、「最後まで諦めない心」で戦うことが勝利への鍵となる。今季メジャー初戦で優勝を手にするのは誰になるのか。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツへと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。また現在、安田祐香の指導にもあたっている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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