“100本のタケノコ掘り”で気分転換 小林夢果が暴風雨のなか大人のゴルフ
<パナソニックオープンレディース 初日◇2日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6751ヤード・パー72>
午後3時30分に順延を告げる2度目のホーンが鳴り響いた時、小林夢果は最終18番パー3をプレーしていた。「まだできるのかを確認したら、雷ではないから大丈夫となって」。残りの1プレーだったパーパットを沈めると、暫定トップに並ぶ3アンダーを確定させた。暴風雨のなか、滑り込みでホールアウト。「雨のなかアンダーはよかった。最後は寄せればいいという気持ちでプレーしていました」と、タフな一日を振り返る。
フェアウェイから残り120ヤードの3打目が8メートル残りながらも、それをねじ込んだ3番パー5のバーディでスコアが動いた。その後は7番、さらに11番でもスコアを伸ばす快調なラウンドが続く。しかし、それに反比例するように、断続的に降ったりやんだりしていた雨は強まる一方。13番ティに到着したところでついに最初の中断を迎え、クラブハウスに戻った後は小休止の時間にあてた。
1時間53分後に、競技が再開。その13番ホールで、この日唯一のボギーを叩いた。しかし、最大の試練はここからだ。終盤になるに連れ風は強さを増し、それに伴い雨は横殴りに。「16、17、18番あたりが一番ひどかったですね。風が強いので、流されないように低い球で(グリーンに)乗せればいいと思っていました」。最終ホールは実測200ヤードほどで、普段ならアイアンでいいパー3でUTを握らされた。なんとか7メートルに乗せ、それを2パットで決めて拾ったパーなど冷静な“大人のゴルフ”で苦境を越えた。
2週前の「KKT杯バンテリンレディス」は優勝争いに絡みながらも、最終的には3位で終戦。「まだ切り替えられてないけど、そのうちチャンスが来ると思って」と、悔しさを押し殺しているのが本音だ。今季は6試合に出場し、予選落ちも3回あるものの、「ダイキンオーキッドレディス」5位、「アクサレディス」12位、そして先週の3位と上位争いにも顔を出している。メルセデス・ランキングも13位と、好位置をキープしており、あとは“初優勝”という結果が欲しい。
そのバンテリンレディスを制したのは、尾崎将司に師事する同門の佐久間朱莉だった。そして翌週には、こちらもジャンボ軍団の西郷真央が、海外メジャー「シェブロン選手権」を制した。これについて聞かれると、「すごいなぁって。(ジャンボが)よろこんでくれるプレーができれば」と、どこか“他人事”。それは、「ショットが荒れていて、自分のゴルフのことで精いっぱい。考える暇がなくて…」というのが理由になる。そんななか耐えて耐えての3アンダーは、やはり価値が大きい。
オープンウィークになった先週の過ごし方を聞くと、「調整というよりはゆっくりしていました。おうちの近くでタケノコ掘りとか。100個くらい獲っちゃいました」と言って豪快に笑う。聞けば、昨年、知り合いが掘っているのを見て「やってみたい」とチャレンジ。いまでは定期的にさいたま市内にある自宅から車で3分ほどのスポットに行き、ゲットすることがいい気分転換になっているという。「周囲の人に配ったり」と、おすそ分けもするほどの“大漁”で気分もいい。
この日の“粘り”により、2日目が18ホールのみのプレーで終わるのも大きなアドバンテージ。ヤーデージが去年より82ヤード伸びたコースも、ドライビングディスタンスで現在254.91ヤードの6位につける飛ばし屋には「伸びれば伸びるほどいい」と、やはりメリットになる。タケノコのようにグンと伸びる姿を、ジャンボのお膝元・千葉県で師匠に見せたい。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA Net>
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