矢野東が見つけた新しい“バランス” ゴルフとビジネスどちらも本気「毎日が充実」
<前澤杯 3日目◇26日◇MZ GOLF CLUB(千葉県)◇6652ヤード・パー70>
国内男子ツアーの中でも注目を集める新規大会が開催されている。女子プロゴルファーの菅沼菜々が参戦するなど、話題には事欠かない。その中、およそ1年半ぶりにツアー通算3勝の矢野東が主催者推薦により2023年「カシオワールドオープンゴルフトーナメント」以来となるレギュラーツアーに姿を見せた。
矢野は14年に椎間板ヘルニアなどもあり12年間保持していたシードを手放し、そこからは年間数試合の出場となっていた。20年のQTで1位通過を果たしシード権を取り戻すも、21年は復調の兆しもあったが、それ以降は保持できず。昨年は下部ツアーに3試合出場し、最高成績は「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」の30位タイにとどまった。また、QTはサードステージ止まりで、今季は推薦枠など出場する機会は狭まっている。
ツアーの舞台で見かける機会が少なくなった矢野だが、これまでどのような時間を過ごしてきたのだろうか。ゴルフの状態については「よくなかった」と語るも、表情はどこか晴れやかだ。
その背景には、多くの“ビジネス”に携わっていることがある。「ツアー時代はケガなどもありましたし、今はそうしたこと(ゴルフだけ)に依存しない生活スタイルを確立したい」。ゴルフが本業であることに変わりはないが、近年は別の仕事にも積極的に取り組んでおり、その両立が自分にとって心地よいバランスになっているという。
ゴルフスクール『Five elements』でCTOを務め、現在はマーケティングを中心に関わっているほか、都内ではゴルフスタジオをリニューアルオープンする予定で、「子どもたちがゴルフを楽しめる環境づくり」をコンセプトに、活動の幅を広げている。さらに、登録者数12.7万人を誇る自身のYouTubeチャンネルはもちろん、他チャンネルとのコラボ出演などその活動は多岐にわたる。
「以前のように、自分のためだけに時間を費やすゴルフは、ほとんどしていない」と練習スタイルも年々変化し、ゴルフと仕事、どちらにも無理なく取り組める状態が今の理想だ。
「とても忙しいですが、毎日が充実しています」。試合への出場数は限られるものの、それが今の“いい塩梅”につながっているとなれば、この試合数も決して悪くない。それでも、プロゴルファーとしての立場は忘れていない。再び「シードは取りたい」と“本業”をおろそかにするつもりはない。
多忙の中、出場した今大会。異例の10日間プロアマが行われた中で、石川遼と同じく7日間のラウンドをこなすなど、ハードな日程を乗り切った。「恥ずかしくないスコアで回れる状態には整えてきました」と久しぶりのレギュラーツアーに腕が鳴る。初日は「69」、2日目には「67」とスコアを伸ばしたが、3日目は「75」と苦しんだ。
前澤友作氏とも面識があり、ともにラウンドしたこともある。「既存のツアーにはない盛り上がり方で、ぜひ今後も続いてほしい」と語り、プライベートも充実させる47歳のベテランは大会の未来に期待を寄せていた。(文・齊藤啓介)
<ゴルフ情報ALBA Net>
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