“夢舞台”へ大きな一歩「チャンスが巡ってきた」 プロ6年目で初Vの生源寺龍憲が見据える未来
<東建ホームメイトカップ 最終日◇13日◇東建多度カントリークラブ・名古屋 (三重県)◇7069ヤード・パー71>
全国各地でイベントが取りやめになった荒天の日曜日。男子ゴルフの会場も、朝から強い雨が降りしきり、コースコンディション悪化により競技が中止となった。54ホールの短縮競技決定のアナウンスが流れると、トータル17アンダーで単独トップに立っていた生源寺龍憲のツアー初優勝が確定した。
相棒の明神薫(あけがみ・かおる)キャディと固く手を握り合い、カメラフラッシュの嵐のなか満面の笑み。。プロ6年目の26歳がレギュラーツアーでは初めてとなるウォーターシャワーを浴びた。
「きょうはプレーをしていないのであまり実感はないけど、皆さんにこうしてお祝いしてもらえてすごくうれしいですし、やっと勝てたなと感じています」
昨年大会は優勝した金谷拓実と2打差で迎えた最終日に、ともに「65」のスコアをマーク。差を縮めることができず、単独2位で終えていた。今大会の2日目に首位に立ったとき、「金谷くんがいないので、チャンスかなと思っています」と冗談交じりに話していたが、“念願の瞬間”は現実のものになった。
昨季、日本の賞金王になり、米国男子ツアーの2次予選会から挑戦し現在世界の舞台で戦う金谷とは同級生。「自分も早く優勝したい気持ちがありましたし、同世代の選手がどんどん上にいっている姿を見ながら、早く追いつきたいと思っていました。それが原動力でもあった」。プロになってから抱いてきた悔しさも明かす。
生源寺は2020年にプロ転向。当初は国内下部ツアーが主戦場だった。出場10試合のうち2度の勝利を含めトップ10入りを7回果たした23年シーズンは、同ツアーで賞金王に輝いている。その資格で、24年はレギュラーツアーに戦いの場を移し、アジアンツアーにも参戦しながら16試合に出場。賞金ランキング29位に入り、シードを獲得した。
昨年は上位で戦うことも多かったが、「惜しくて勝てない試合もたくさんありましたし、アジアに行ってもなかなか上位に食い込めないことがありました」という思いとも戦ってきた。「自分が取り組んでいることの答え合わせが早くしたかった。今回勝つことができて、自分が進んでいる方向は正しいと自信を持ってやっていける」。この1勝が“答え合わせ”にもなった。
勝利を一番伝えたい相手。それは大学時代にゴルフを教わっていたツアー7勝の水巻善典だった。「さっき電話して、やっと勝てましたと言えました。電話越しでしたけど、よろこんでもらえて僕もすごくうれしかったし、やっとスタートを切れたと感じた」。恩返しもし、自身が目指す「賞金王」へ好スタートを切ったことを実感した。
「PGAツアーに挑戦したい」というのが目標。アジアンツアーのシード権は持っているが、大会期間中に「そこまでアジアで戦いたい気持ちはない。上(海外ツアー)につながっていないので。日本はランキングが良ければ、上のステージに行ける」とも話していた。
例年通りであれば、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」終了後の賞金ランキング1位に、米ツアー最終予選会の出場権が与えられる。「今年は大きなチャンスが巡ってきたのかな」と“夢舞台”へ、大きな一歩を踏み出すことができた。
「頑張っていきたい」とその眼差しは強い。優勝会見後、報道陣へ「ありがとうございました!」と深く一礼。たくさんの拍手に包まれて、その場をあとにした。(文・高木彩音)
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