【4月のBS松竹東急】映画好きなら見逃せない! 今見てほしいこの3本!! ――『家族』がテーマの ロードムービースタイル 3作品

4月のBS松竹東急のお薦めは、ロードムービースタイルの『家族』がテーマの3作品。『松竹創業130周年× 開局3周年記念 山田洋次特集』の一本として放送される「家族」(70)は、キネマ旬報ベスト・テン第1位にも輝いた山田監督の代表作。炭鉱が閉山し、長崎の小さな島から北海道の開拓村へ移住することを決めた一家が、日本を縦断する北への旅を描いている。製作に約半年かけて、北九州の公害が叫ばれる工業地帯や、多くの人で賑わう大阪万博など、高度経済成長期の日本をオールロケーションによって、ドキュメンタリー・タッチで切り取っている。だが北海道へ向かう一家は経済成長とは無縁で、将来への不安とぎりぎりの交通費しかない。右肩上がりに見える国の状況と、つましい庶民の現状を対比させながら、山田監督は旅の中に家族の絆を映し出していく。二人の幼い子どもを連れた主人公夫婦に倍賞千恵子と井川比佐志、舅役に笠智衆。彼らの道中を渥美清、前田吟、三崎千恵子といった「男はつらいよ」の常連俳優が彩り、人間ドラマとしても見応え充分。今回は倍賞千恵子がこの映画と同じく〝民子〞というヒロインを演じた「故郷」(72)、「遙かなる山の呼び声 4Kデジタル修復版」(80)も放送。続けて観ると、やはり北海道を舞台にした「遙かなる山の呼び声」の民子が、「家族」の民子のその後に思えてくるところも、山田作品ならではの面白さだ。

BSで無料初放送となる若山富三郎主演の「子連れ狼」6部作(72〜74)は小池一夫(当時は小池一雄)・作、小島剛夕・画による劇画を実写化した大ヒットシリーズ。徳川家の公儀介錯人の座を狙う柳生家によって、妻を殺され、謀反人の濡れ衣を着せられた拝一刀が、一子・大五郎と共に柳生家への復讐を誓い、それを果たす資金を稼ぐために殺しを引き受ける、刺客となって旅を続ける。派手なアクションと、凄絶な父子の愛を融合させた異色の時代劇だ。シリーズ中4本を監督した三隅研次の映像美と、軽快にトンボを切る若山のスピーディで迫力ある動きは今見ても斬新。クエンティン・タランティーノをはじめとして、海外にもこの映画のファンは多く、トム・ハンクスがマフィアの殺し屋を演じた「ロード・トゥ・パーディション」(02)も、この作品をモチーフにした映画だった。柳生家と拝一刀との確執の原因を知る上でも、必ず第1作「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」(72)から観てほしい。

もう一本は、1月に78歳で亡くなった鬼才・デイヴィッド・リンチ監督の「ストレイト・ストーリー」(99)。米アイオワ州に住む73歳の老人アルヴィンが、長年疎遠だった兄のライルが病に倒れたと知り、彼に会うためウィスコンシン州まで約390㎞の距離を、時速8㎞の芝刈り機に乗って旅をする。物語はリチャード・ファーンズワース演じるアルヴィンと、旅で出会う家出少女や若者たちとの触れ合いだが、その中にアルヴィンの人生に対する思いが織り込まれ、胸にしみるロードムービーになっている。アブノーマルな世界を多く描いたリンチ監督だが、実話を基にしたこの人間ドラマは、それらとは一味違った感動作だ。
文=金澤誠 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2025年4月号より転載)
BS松竹東急
BS260ch/全国無料放送のBSチャンネル
※よる8銀座シネマは『一番身近な映画館』、土曜ゴールデンシアターは『魂をゆさぶる映画』をコンセプトにノーカット、完全無料で年間300本以上の映画を放送。
■4/1[火] 夜8時
「家族」
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、井川比佐志、笠智衆、前田吟、木下剛志、塚本信夫 ほか
©1970 松竹株式会社
■4/7[月] 夜8時
「子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる」
監督:三隅研次
出演:若山富三郎、富川晶宏、露口茂 ほか
© 1972 TOHO CO., LTD.
■3/28[金] 夜8時
「ストレイト・ストーリー 4Kレストア版」
監督:デイヴィッド・リンチ
出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン ほか
© 1999 STUDIOCANAL – Picture Factory
記事提供元:キネマ旬報WEB
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