給与デジタル払い、普及の鍵は「経済圏の魅力」? 連携で利用意向21.1%に【MMD研究所調べ】
2023年に解禁された給与デジタル払い。従業員の給与を電子マネーで支払う制度で、ATMからデジタルマネーにチャージする手間が省けるというメリットもあるが、一体どれくらいの人が利用しているのだろうか。MMDLaboが運営するMMD研究所の「給与デジタル払いとポイント経済圏に関する調査」を詳しく見てみよう。
給与デジタル払いの認知度は61.9%

アンケートは2025年2月27日~3月3日、18歳から69歳の男女20,000人を対象にインターネット調査で実施された。給与のデジタル払いの利用状況について尋ねると、「現在利用している」と回答したのは2.8%、「過去に利用したことはあるが、現在は利用していない」が2.0%と利用経験があるのは4.0%だった。「知らない」と回答した38.1%を除いて、61.9%が給与のデジタル払いを認知しているが、利用者となるとかなり少数となるようだ。
給与デジタル払いを現在利用していないと回答した19,450人を対象に、給与デジタル払いの利用意向を尋ねたところ、「給与デジタル払いをメインにするぐらい利用したい」が1.5%、「少額だけなら利用したい」が6.5%、「自由に決済アプリを指定できるなら利用したい」が8.4%、と利用意向を示したのは合わせて16.4%だった。一方、「興味はあるけど、あまり利用したいと思わない」が22.3%と給与デジタル払いのメリットを感じられない層も一定数いるようだ。

続いて、給与デジタル払いに利用意向を示した3,184人を対象に「給与デジタル払いで魅力的と思うもの」を尋ねると、一番多かった回答は「銀行ATMに通う頻度が減る」で33.1%、次いで「連携する決済アプリのポイント還元がある」が26.9%、「金銭管理がしやすくなる」が21.4%だった。確かに、銀行ATMの利用は場合によっては手数料を払う必要があるが給与デジタル払いにすることで手数料がかからなかったり、安くなることがある。
給与デジタル払いで給料を受け取ったら「ポイントを貯めたい」

では、給与デジタル払いに金銭的なメリットがある場合、利用意向は高まるのだろうか。「給与デジタル払いが経済圏と連携している場合、給与デジタル払いを利用したいと思うか」と尋ねると「とても利用したい」が4.8%、「やや利用したい」が16.3%と利用意向を持つ人は21.0%に拡大した。

給与デジタル払いを利用したいと回答した4,215人を対象に「メイン利用している経済圏」を尋ねると、「楽天経済圏」が31.4%と最も多く、次いで「PayPay経済圏」が24.1%、「ドコモ経済圏」が14.0%だった。

次に、給与デジタル払いに興味があると回答した7,521人を対象に「給与デジタル払いで給料を受け取った後にしたいこと」(複数回答可)を尋ねたところ、「利用後にポイントを貯めたい」が42.8%と最も多く、次いで「日常的な買い物に使いたい」が41.8%、「公共料金や税金の支払いに使いたい」が23.7%だった。

これらの調査を最も意識しているポイント経済圏別で見てみると、楽天経済圏(n=2,243)、ドコモ経済圏(n=1,021)、Vポイント経済圏(n=551)、au経済圏(n=509)は「利用後にポイントを貯めたい」、PayPay経済圏(n=1,563)、イオン経済圏(n=416)は「日常的な買い物に使いたい」という回答が最も多かった。それぞれの経済圏の特性が見られた。
給与デジタル払いが拡大するためには、これらの経済圏の特性をふまえたうえで、利用者にメリットを明示する必要があるといえそうだ。
出典:【MMD研究所】
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記事提供元:スマホライフPLUS
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