ルール違反でネット炎上「一人で泣いていた」 笠りつ子が“苦悩”乗り越えV争いへ
<アクサレディス 2日目◇29日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6538ヤード・パー72>
2015年大会覇者の笠りつ子が「69」と伸ばし、トータル4アンダーで首位と2打差の6位に順位を上げた。「あれから10年。早いなぁと思う。ボミとプレーオフをしたのが思い出です」。37歳となったベテランは、それまでプレーオフは4戦4勝だったイ・ボミ(韓国)に初めて土をつけたツアー通算3勝目を懐かしそうに振り返った。
初日は「71」で回った。この日は21位から出て、2打目を1メートル弱につけた6番からの3連続など4バーディを奪い、ボギーは15番の1つだけ。メルセデス・ランキング56位に終わった昨年はほとんどなかった優勝争いに、「いい位置にいるので、最終日は無駄なボギーを打たないようにしたい」と表情を引き締めた。
今週は折れそうな心を奮い立たせて臨んでいる。前週の「Vポイント×SMBCレディス」2日目の13番パー4で、レッドペナルティエリアからのラテラル救済の処置を誤ったままプレーを続け、競技を終えた最終日に大会関係者の指摘で違反が発覚した。競技委員が笠本人に確認し、当該ホールのスコアは「6」から2罰打を加えた「8」に修正されることに。ルールに則っての裁定。だが、ネット上は心ない投稿などでざわついた。
宮崎入りした25日には自身のSNSで謝罪。「私の認識不足と勘違いからこのような事態になり、深く反省をしています」などと投稿したが、この日は改めて口頭で、「ズルをしたわけではない。失格になると思って、確認もした。ジャッジが下って、気持ちは切り替えました」と言及した。最終日の23日夜にはタクシー乗車中にスマホでネットニュースの投稿などで炎上していることを知り、「一人で泣いていた」とも明かす。そのショックで、タクシーには財布を忘れたという。
財布は無事、手元に戻ってきたが、「先週は先週、今週は今週は」と前を向いても、気持ちはまだ100%の状態に戻ってはいないだろう。それでも、4年ぶりとなる通算7勝目へ巡ってきたチャンス。10年前の宮崎での勇姿は当時小学生で観戦に訪れ、この日首位に立った菅楓華の心にもしっかり刻まれている。「見ていてくれた子がプロになって、いいゴルフをしている。すごくうれしいですね」。次代のエース候補に成長した19歳とのV争い。今週の最終日は、とっておきの楽しい時間が待っている。(文・臼杵孝志)
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