稲見萌寧が久しぶりに感じた熱視線 1年4カ月ぶりの60台で復活ののろし「やってきたことは間違っていなかった」
<アクサレディス 初日◇28日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6538ヤード・パー72>
ほんの少し前まで当たり前だった熱い視線を久しぶりに感じながら、稲見萌寧が初日のラウンドを終えた。4バーディ・1ボギーの「69」で、首位と1打差の4位スタート。日本ツアーでは2023年シーズン最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」最終ラウンド以来となる60台は、プロとしての承認欲求も満たしてくれた。
「終盤の17番くらいからテレビカメラがついてきてくれて、『やっとだな、久々だな』と思った。『おっ! 後ろから撮られている』と。その少し前からカメラマンさんたちもいたし、良くなっている証拠なのかなとは思いました」
米国女子ツアーを1年で撤退し、今季から日本ツアーに戻ってきた。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」は、初日に18年7月のプロ入り後では自己ワーストとなる「82」を叩くなど、トータル13オーバーの103位で予選落ち。2戦目の「Vポイント✕SMBCレディス」もトータル10オーバーの94位で決勝ラウンドに進めなかった。
「スコアのわりにはそこまで打っている感覚はないし、悪い雰囲気じゃなかった。でも、ここからどうやって良くしていくのか悩んでいた。きょうは内容よりもスコアが良かった。悪いイメージが残っているなか、うまく打てたのもありますね。アンダーで回れたのも、さらに60台で回れたのも大きいです」
コロナ禍で統合された長丁場の20-21年シーズンは9勝を挙げて、賞金女王に輝いた。21年には「東京五輪」で銀メダルを獲得。22年は2勝、23年は日米共催の「TOTOジャパンクラシック」を制し、昨年はツアーメンバーとして米ツアーを戦った。
だが、シーズン中のスイング改造などの影響でトップ10入りは一度だけと低空飛行が続き、日本に帰ってくることを決断。心機一転を誓った今季だったが、開幕2試合は忸怩(じくじ)たる思いを味わった。
「まだ自信とかいえるものはない。ただ、きょうアンダーが出て、やってきたことは間違っていなかったと思う。これを成功体験として、どんどん積み重ねていくしかないという感じです」
この日のフェアウェイキープ率は57.1%(8/14)で、パーオン率は61.1%(11/18)と胸を張れる数字ではない。4つのバーディのうち、9番は9メートル、11番は10メートルが入った。「長いのが入ってくれた」とラッキーな部分もあることは稲見自身も分かっているが、しっかり修正できている手ごたえもある。
「ミスの幅がマシだったり、アプローチは今年の3試合のなかでは一番良かった。あした以降もいい状態でプレーできるように頑張りたい」
2日目以降もバーディを一つずつ重ねていけば、カメラマンは増え、テレビに映る時間も長くなる。熱い視線を浴びてこそのプロの世界。悩める元女王にとってこの日の60台は、復活への最高の起爆剤となったはずだ。(文・臼杵孝志)
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