せつなくも温かい人の絆を描く韓国ドラマ『フィンランドパパ』で キーパーソンを演じたキム・ウソクにインタビュー
育ててくれた祖母を失い、独りぼっちになってしまったヒロインが、“フィンランドパパ”というちょっと変わった名前のカフェで働くなかで自分を取り戻していく姿を描いた全6話のヒーリング・ドラマ『フィンランドパパ』。この作品のDVD発売(3月26日発売)を記念して、ヒロインのユリの幼なじみで物語のキーパーソンとなるウヒョンを演じた、男性アイドルグループUP10TIONの元メンバーで、現在はソロで歌手や俳優活動を行うキム・ウソクにインタビュー。彼の発言とともに、美しい映像と心温まるストーリーが魅力の本作をご紹介します。
独りぼっちのヒロインとカフェ「フィンランドパパ」
一緒に暮らしていたおばあさんが交通事故で亡くなり、独りぼっちになったユリは、おばあさんや幼なじみのウヒョンやヨンジュンと、にぎやかに食卓を囲んでいた過去を思い出す。ユリとウヒョンは口喧嘩ばかりしていたものの、ウヒョンがユリを見るまなざしは優しかった。しかしヨンジュンとは再会するものの、ある理由からユリはウヒョンに会うことができず……。
「ウヒョンは心に痛みを抱えながらもそれを表に出さない人物です。 ユリに特別な気持ちを持ちながらも、自分のせいでユリが傷ついたと思い、ユリの見えないところで静かにサポートしようと努力するキャラクターです」
何もする気になれなかったユリだが、おばあさんが見たがっていたオーロラの写真のポスターに目を引かれ、そこに書いてあったアルバイト募集に申し込むことに。アルバイト先は「フィンランドパパ」というカフェ。そこには家族のようでいて家族ではない、それぞれに悩みや苦しみを抱えた3人が働いていた。ウソクいわく、もしウヒョン役以外を演じるとしたら……
「カフェの家族の一人です!僕は一緒のシーンがなくて、撮影の時にお会いできなくて残念でした!」
フィンランドパパのスタッフ、温かくみんなを包み込むマリを名脇役のファン・ソクジョン、頼りないけれど憎めないカカをベテランのチョン・ミンソン、口は悪いけれど本当は優しいトトをキュートなイケメン、チャン・ドユンが味わい深く演じている。マリとカカとトト、それぞれの本当の家族との関係にも心を揺さぶられる。
夕飯はみんなで一緒に
ユリはフィンランドパパで働くうちに、このカフェにおばあさんの面影を感じる。たとえば、店の看板メニューの「サンタパフェ」や、何があっても「夕飯はみんなで一緒に食べる」というルールなどだ。
「ドラマのなかでみんなご飯を一緒に食べますよね。食事のシーンの撮影はとても温かく感じました。僕にもそういうルールがあればいいなと思いました」
こうウソクが言うように、劇中ではフィンランドパパで、そしてユリの家での記憶として、みんなでご飯を作って食べるシーンが何度も登場する。それはおいしそうに、そして温かくまぶしいシーンとして描かれている。
独りぼっちでご飯を食べていたユリは、フィンラインドパパの家族と一緒にご飯を食べるようになり、自分の家族の話や、彼らの本当の家族の話をきくなかで、おばあさんや、その前に亡くなった父親との別れとも向き合えるようになる。そして、会えないままでいるウヒョンを思い……。悲しみをこえて、二人は再会できるのか? この優しい物語の行く末をぜひ見届けてほしい。
キム・ウソクの撮影の思い出
そしてここで、撮影の裏話や大変だった点について、ウソクに聞いてみた。
「作品自体がとても穏やかで、癒される内容だったので、大変だった点はありませんでした。むしろ撮影中ずっと癒されっぱなしでした。ただ夏に撮影したのですが、雨に降られるシーンがありました。ドラマにおいて必要な大事なシーンでしたが、個人的には暑さを忘れさせてくれた瞬間でもあったので(笑)、とても良い記憶として残っています。 ユリ役のキム・ボラさんは、人見知りせず優しく接してくれたので、とても助けられましたし、息の合う演技ができました。一緒に洗濯をするシーンではお互いに写真を撮ったりして、あまりできない経験だったので楽しい思い出として残っています」
そんなウソクが日本でやってみたいことは?
「(韓国語で)ホンスル、おひとり様飲みというのをしてみたいです。日本ではやったことがないので、いつかぜひと思っています」
そして好きな日本語は?
「“うつくしい”です。“う”は自分の名前にも入っていますし、言葉の意味も“美しい”で、好きな言葉です」
海辺の街・釜山が舞台のハートウォーミングドラマ
「フィランドパパ」の舞台は釜山。大きな橋や港が印象的で、ユリが自転車で走る街の昼の風景も夜景も美しい。誰にでも訪れる家族の死や、大切な人との理不尽な別れ。それに向き合おうとするヒロインを癒した「フィンランドパパ」の「ご飯は一緒に食べる」や「悲しい人のそばにいる、そして話をきく」などの不思議なルール、それぞれに悲しみや絶望を背負いながらも一生懸命生きる人々。やわらかな映像と静かな音楽で綴られる、心にぽっと穏やかな明かりが灯るような物語をぜひともご覧ください。
文=熊坂多恵 制作=キネマ旬報社
「フィンランドパパ」
●3月26日(水)DVDリリース(レンタルDVD同時)
DVDの詳細情報はこちら
●DVD-BOX 価格:7,700円(税込)
【ディスク】<2枚>※本編+映像特典
★映像特典★
・予告編
・ハイライト映像
★封入特典★
ポスターカード3種(メインポスター/ユリポスター/ウヒョンポスター)
●2024年/韓国/本編168分
●監督:パク・スミン
●脚本:ウォン・ヨンジン
●出演:キム・ボラ、キム・ウソク、ファン・ソクジョン、チョン・ミンソン、チャン・ドユン、ソン・ビョンスク
●発売・販売元:ポニーキャニオン
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記事提供元:キネマ旬報WEB
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