今さら聞けない『Chromebook』ってなに? Windows/Mac用アプリは使えるの?
教育のデジタル化が進む中、教育現場での『Chromebook』の採用ケースも右肩上がりです。コストパフォーマンスに優れている上に軽量かつ頑丈なChromebookは、文科省の「GIGAスクール構想」との親和性が高く、多くの学校で導入されています。

昨今はGoogleのAI『Gemini』の搭載でも、Chromebookは注目を集めており、教育に限らない個人ユースでも利用が拡大するでしょう。
一方、Chrome OSは、『Windows』や『Mac』ほどのシェアを持っていないのも事実です。PCを購入する際に『Chromebook』を選択肢に加えたことがない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はChromebookの基本的な特徴や、Windows/Mac用アプリの利用可否について詳しく解説します。
Chromebookとは
そもそもChromebookは、Googleが設計したChrome OSを搭載したコンピュータです。大きく分けて以下の3つの特徴を備えたOSです。
・Chrome OSベース:ブラウザ中心の操作体系
・ストレージ依存度が低い:Google Driveとの連携が密接
・Android/Linux対応:Androidアプリの利用及びLinux環境の利用が可能
まずChrome OSは、Google Chromeブラウザをベースにしたオペレーティングシステムで、インターネット接続を前提とした設計が特徴です。

Chromebookはローカルストレージへの依存度が低く、Google Driveとの連携により、ファイルはクラウド上に自動保存され、どこからでもアクセス可能です。また、軽量なOSであるため、起動時間が非常に短く、セキュリティ関連の更新が自動で行われるため安全性が高いのが特徴です。
そして興味深いポイントとして、Androidアプリの利用及びLinux環境の利用が可能な点が挙げられます。Google PlayからインストールしたAndroidアプリはChrome OS上でも利用できるだけでなく、Linux環境をセットアップすることも可能です。
Chromebookでは「Windows/Mac用アプリ」は使えるの?
Chromebookには「クラウドファーストの設計である」ことに起因する、いくつかの制限があります。その最大の点としては、WindowsやMac用のデスクトップアプリを直接インストールすることはできない点。たとえば原則としてMicrosoft Officeのデスクトップ版は利用不可で、代わりにAndroidアプリ版などを使用する必要があります。
代替手段
ChromebookでMicrosoft Officeなどデスクトップアプリを使用したい場合、もっとも手軽な代替手段は『Androidアプリ』を使うことです。

ChromebookはAndroidアプリが利用可能で、Adobe Acrobat ReaderやMicrosoft Office Mobileなど、主要アプリの多くはGoogle Playストアで提供されています。
またはWebアプリケーションの利用も有力です。たとえばGoogle Workspace(ドキュメント/スプレッドシート)やMicrosoft 365といったサービスを利用することで問題が解決する場合もあります。ただし無料版で使用できる機能や容量に制限がある場合もあります。
なお、これでは不十分な場合、ChromebookでLinux環境をセットアップすることをおすすめします。開発者モードを有効化すれば、LibreOfficeやGIMPなどのオープンソースソフトが利用可能です。
さらに『Wine』『PlayOnLinux』などを利用することで、WindowsアプリをLinux環境上でネイティブ動作させることも可能となります。つまりChromebookをLinuxとして使用することで、Windowsアプリの利用が可能です。
ただし、すべてのWindowsアプリが完全に動作するわけではなく、アプリによっては互換性、パフォーマンスに問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
ChromebookでLinux環境をセットアップする方法
ChromebookでLinux をセットアップするには、以下の手順で設定を行いましょう。
・Chromebook で右下の時刻をクリック。
・メニューより「設定(歯車マーク)」→「ChromeOS について」→「デベロッパー」を選択
・「Linux 開発環境」の横にある「設定」をクリック
その後、画面に表示される手順に沿って設定を進めましょう。なお、設定には 10 分以上かかる場合があります。
上記の手順でChromebookでLinux環境をセットアップできます。ただし高度にLinux環境を使いこなすにはコマンドライン操作が必要な場面も多く、初心者にはハードルが高い一面があるので注意しましょう。
Chromebookを利用するメリット

Chromebookは、「誰もが自由に情報にアクセスできるように、コンピューティングを安全、高速、シンプルでかしこくすること」をミッションに掲げ、開発されています。このミッションに基づく「Security・Speed・Simplicity・Smarts・Shareability」という5つの「S」があり、これがそのままメリットとなっています。
・高い安全性(Security)
Chromebookは高度なウイルス対策機能を備えており、多層防御によって情報が保護されます。そのため、有料のウイルス対策ソフトのインストールや頻繁なアップデートが不要。自動更新で常に最適化したバージョンが安心して使用できます。
・高速起動(Speed)
電源を入れてから数秒で起動し、すぐに作業を開始できます。ランチャー機能により、アプリやファイルへの迅速なアクセスが可能。この高速性は、シンプルな設計と半導体メモリのストレージによって実現されています。
・簡単なセットアップとクラウド保存(Simple)
初期設定が簡単で、Googleアカウントにログインするだけで使用開始可能。直感的な操作性も特徴です。またクラウドサービスとの連携により、ファイルの保存が自動的に行われるため、ファイルの保存や共有が簡単に行えます。
・最新機能による高い生産性(Smart)
GoogleのAI機能を活用した便利な機能が搭載されており、たとえば、手書き認識やアニメーション機能により、プレゼンテーション資料などを効率的に作成できます。作成したファイルはクラウドで自動的に保存されるため、保存忘れやデータ消失のリスクも軽減されます。
・家族との共有(Shareability)
高い安全性により、1台のChromebookを複数人で安心して共有可能。アカウントごとにログインするため、個人情報や使用履歴が他の人に漏れる心配はありません。
Chromebookを利用するデメリットとは
一方でChromebookを使うデメリットも存在します。Chromebookはいわば『Google Chromeの利用を前提としたOS』であり、オフラインでは利用可能な機能が極めて限定的です。そのため、オフラインで仕事をしたい人には向いていません。
また、そもそも『Google Chrome』の利用が前提となること自体もデメリットと言えるでしょう。たとえばプライバシーの懸念などからGoogleアカウントの利用を最小限に抑えており、なおかつブラウザとして普段『Mozilla Firefox』などChromiumベース以外のブラウザを利用している方にとっては、Chromebookの利用の意味はほぼないでしょう。
このほかにも
・Microsoft OfficeがAndroid版/Web版のみの利用となる
・Windows・Macの周辺機器が使用不可
・光学ドライブが搭載されておらずCDやDVDなどの再生が不可
といったデメリットがあります。
とはいえWindows/Macでも「光学ドライブ非搭載」といった端末は珍しくなく、Microsoft Officeの利用も「Android版で十分」という方もいるでしょう。
・近年、デスクトップアプリの利用機会が減ってきた
・Windows 11へのアップデート対象外のPCを使用しており、利用中の端末をWindows以外へと更新するか、買い替えを検討している
といった場合に『Chromebook』及び『Chrome OS』の利用は検討価値があります。手元の古いPCにChrome OSをインストールすることでも疑似的にChromebook化は可能なため、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。
※サムネイル画像(Image:Obesum Yellow / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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