有村智恵が双子のママになって初試合「ゴルフの時間をどう確保するか、情報交換ができるので助かります」
国内女子ツアーは前週の開幕戦を終えてオープンウィークとなっているが、きょう13日、30歳~45歳までの女子プロゴルファーの大会「KURE×LADYGO CUP ~Let’s MOVE 30’s~」(主催:LADY GO、共催:呉工業株式会社)が茨城県の取手国際カントリークラブ 東コースで開催される。
「LADYGOプロジェクト」は女子プロゴルファーの活躍の場を少しでも広げられる場所として、2020年に有村智恵と原江里菜が発起人となり立ち上げられた。大会自体は今回で4年目に突入。23年、24年にはそれぞれ4試合が行われた。
ひと昔前なら女子プロゴルファーにとって結婚、出産は“引退”を意味した。現在は、結婚や出産を経てもゴルフに情熱を注ぐ「ミセスゴルファー」や「ママさんゴルファー」が増えている。にも関わらず、出られる試合がないことが課題だった。
発起人のひとりでもある有村は、前週の米国女子ツアーで優勝した竹田麗央をはじめとする若い選手たちの世界での活躍を受け、「これからの女子ゴルフ界の未来はすごく明るいと思います」と話す。そのうえで「同時に、これだけゴルフ界やツアーに貢献してきているのに、ツアーに出られなくなった瞬間、もう試合にも出られない環境って寂しい」と感じてきた。それこそが「LADYGO CUP」の存在意議でもある。「いま頑張っている子を見るほど、彼女たちが10年後に幸せなゴルフ人生を歩んでいけるような道を作りたいなって、モチベーションにつながっています」。
有村自身も30代に入って体の変化を感じ、昨年4月には自身のSNSで双子の男児を出産したことを発表。36歳で母親となった。「選手としてもう一度この大会に携わるのが大きな出来事かと思います」。試合に出場するのは23年7月の「LADYGO CUP」以来、約2年ぶりで、出産してからは初めてとなる。
「自分の体のことを考えないといけないけど、家に帰れば母親なので、そこにかける時間がまったくない」。選手と母親業との両立の難しさを痛感している。今大会には30人の女子プロゴルファーが参加するが、有村を含めてママさんゴルファーは全体の3割の9人。大会が用意した託児所に、子どもたちを預けてプレーする。「ゴルフの時間をどうやって確保して、どう効率的に練習するか。そういう情報交換ができるので助かりますね」と語る。
そして、大会に参加する目的は各選手の立場や状況によって異なる。「レギュラーに戻るための肩慣らしみたいな感覚の人もいますし、LADYGO CUPだけにしか出ないという人もいます。私としてはどれも正解だと思っています」。今大会に出場したのをきっかけに再びQTに挑戦した選手や、放送を見た企業から仕事の依頼が来た選手もいる。「自分がどういう選手かアピールする場でもあると思っていて、それがどこかにつながっていくことが私の願いです」。
次につながる大会に……。その思いは今大会の競技方法にも表れている。15組の女子プロによるペアマッチで、前半の6ホールはお互いが同じ場所から打って良い方の球を選択していくスクランブル方式、後半の6ホールは1個のボールを交互に打っていくフォアサム方式で行われる。12ホール終了時点で2位と3位のペアが10番ホールで準決勝を戦い、勝ち上がったペアが1位のペアと18番ホールで優勝決定戦を行う。
「私たちが若いときは耐えるゴルフで、ボギーを打たないことが理想だった。それが今のツアーでは攻めるゴルフを強いられるようになりました。それに歳を重ねると、どこかでブレーキをかける自分も出てくる。それがスクランブルなら1人がパーを確定したら、もう1人は攻めていける。いつもとは違う思い切ったゴルフのきっかけにしたい」
最近はレギュラーツアーでもステップ・アップ・ツアーでも、イーブンパーでは予選通過が難しくなっている。耐えるゴルフから攻めのゴルフに切り替える意味でも、プロアマ戦でよく行われるスクランブルが採用されたのだ。
最後に今大会の目標を聞いてみた。「目標は特になくて、自分が今できるものを最大に出し切る以外にはない。練習もほとんどできていないし、昔のようなプレーはなかなかできないと思うんですけど、最大のパフォーマンスができればアンダーは絶対出せる。今のゴルフでどうやってスコアを出すかが、一番の課題かなと思います」。今季はレギュラーツアーにも数試合出場予定。母親として初めて臨む試合で、有村がどんなプレーをみせるのか注目したい。今大会の様子はBS10にて13日(木)12:00~16:00 に生配信される。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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