卵子を売ろうとする女性が妊娠を知る 「石門」本編映像
“中華圏のアカデミー賞”と称される第60回台北金馬獎で、日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞した映画「石門(せきもん)」(劇場公開中)から、本編映像の一部が公開された。
フライトアテンダントを目指しているリンは、大学に通いながら英会話の勉強もしている。だが、多額の賠償金を要求されている母のために、寸暇を惜しんで仕事もしている。映像は、卵子を売ることを決意したリンが、卵子提供ドナーの検査結果を聞かされるシーン。リンは、仲介人から呼び出しを受けて面接会場を訪れる。隣室では面接が行われており、依頼人が3人のドナーの学力を測るために数学の問題を出している。この国では優良な遺伝子を持つ卵子が求められているからだ。
リンを別室に呼び出した仲介人は、リンが妊娠1カ月であることを告げる。予期せぬ妊娠の知らせに黙しているリンは、「私たちにはいろいろコネがあるの。腕のいい婦人科医を紹介できる」という声にうなずくことしかできない。そこに面接を終えた依頼人が現れ、リンに興味を示す。リンの容姿、年齢や客室業務を学んでいることを見定めた依頼人は、帰りがけに「知っていると思うけど私の弟夫妻は海外に住んでいたから高い知能と優秀なDNAを求めている。容姿の良さだけじゃダメ。次の面接を手配してね」と、仲介人に念を押すのだった。
「石門」は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリンを主人公に、女性の前にあるさまざまな壁を静かに見つめた作品。監督は、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた。これまでに、封建的な湖南省の農村で出稼ぎをする両親と離れて抑圧された生活を送る14歳の少女を描いた「卵と石」のほか、学校で没収されたスマホを売ったことで見知らぬ男たちと知り合うことになる16歳の少女を追った「フーリッシュ・バード」を送り出している。「卵と石」「フーリッシュ・バード」に続き、ヤオ・ホングイが主人公のリンを演じている。

【作品情報】
石門
2025年2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか上映中
配給:ラビットハウス
©YGP-FILM
記事提供元:映画スクエア
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