〈ダグラス・サーク傑作選〉開催。愛と悲しみに満ちた後期5本を一挙上映
メロドラマの名匠ダグラス・サークの代表作を上映する〈ダグラス・サーク傑作選〉が、3月28日(金)〜4月17日(木)にYEBISU GARDEN CINEMAで開催される。メインビジュアルと識者コメントが到着した。
ナチスの弾圧を逃れるためアメリカに亡命し、ハリウッドでさまざまなジャンルを手掛けたサーク。今回上映されるのは、未亡人と若き庭師の恋を描いた古典的名作「天が許し給うすべて」(1955)、激しい恋の四角関係を紡ぎ、ドロシー・マローンにアカデミー賞助演女優賞をもたらした「風と共に散る」(1956)、二人の男性の間で揺れ動く女性の心の機微を見つめた「間奏曲」(1957)、飛行ショーに命をかける男と周囲の人々を捉えた「翼に賭ける命」(1957)、人種問題を正面から取り上げた、人間愛の物語にしてサーク最後の長編「悲しみは空の彼方に」(1959)というキャリア後期の5本。慎ましくも情熱的な世界を堪能したい。
〈コメント〉
蓮實重彦(映画評論家)
ヨーロッパ生まれながら、テクニカラーによるシネマスコープ画面というハリウッドならではの華麗な技法を、あたかも自分のために開発されたギフトだというかのように自在に駆使してみせたダグラス・サークは「傑作」と言う言葉など自分とは無縁の贅沢だというかのように、「傑作」を超えた繊細なフィルムを撮ってみせた。必見!
秦早穗子(映画評論家)
ダグラス・サークの目
ハリウッド映画全盛期、1950年代。定番メロドラマ形式を逆手に取って、ダグラス・サークが描く作品は、今こそ、光を増す。あれから、80年。人々の暮らしは変わった。本当にそうだろうか?ドイツから亡命、名前もダグラス・サークと変え、アメリカ方式の中で、人間―男と女―の本質をさりげなく、服装、マナー、言葉の端に忍ばせる。底流には、人種、宗教、戦争、愛と死がある。ユダヤ人の妻、ひとり息子の戦死。ドイツ人の彼自身の問題も含め、揺らぎ、迷い、ときめく感情が、サーク映画の中で、静かに火花を散らす。
濱口竜介(映画監督)
「かなしみのハッピーエンディング」、再び。
四の五の言わずに、泣いちゃいな!
〈ダグラス・サーク傑作選〉
主催:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
公式サイト:douglassirk2025.jp
記事提供元:キネマ旬報WEB
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