奥田靖己の孫弟子!? ツアー本戦出場した末恐ろしい中学2年は「シャフトを振る天才」
2月22日タイのバンコク(レガシーGC)で、昨年「66」でマンデーを通過し男子ツアー「横浜ミナト」の本戦出場を果たした中学2年生、加藤金次郎の姿があった。2010年5月6日生まれの14歳。中部日本ゴルフマスターズ選手権で優勝し今季の「中日クラウンズ」出場も決めた若き新星を追ってみた。
なぜ加藤がタイにいるのか? タイで活動するレッスンプロ中村映禅の指導を受けるためだった。
「小学6年生のときに中村さんにスイングを見てもらう時があり、『このスイングじゃダメです。将来を見据えたスイング作りをしないと……。でも、今の成績は出なくなるけどどうしますか?』と言われたんです。スライス系のコスッた球を打っていたので、しっかりつかまったドローを打たないとダメだと。本人に判断させて、一からスイング作りを行うようになり、年に何度もタイで中村プロに見てもらうようになりました。中村さんと話した時に本物を感じたんです。これを絶対に続けていきたいと思っています」(父・景三さん)。
それまでは小学生の全国大会でも優勝経験を持つなど成績も出ていたが、それまでの基礎を壊し作り直しているところだ。実はこの中村映禅はタイに渡る前に、通算6勝のシニアプロ奥田靖己の指導を受けており、レッスンの基礎は奥田琉と言ってもいい。奥田も時々加藤を指導しており、加藤は奥田にとっては孫弟子のような存在だ。
「加藤君はゴルフのセンスは天才的だと思います。クラブを振るセンスが天才的。それにショートゲームも抜群で、試合に勝負強いのがスゴイです。いずれPGAツアーで勝てる才能だと思います。ただ、今はスイングに『間』がなく、トップで上体から切り返している状態。トップでクラブがしなってヘッドが目標へと動き、手元は後方へ動く。体重移動し始められると、つかまった球が打てるし、プレッシャーでも正確に打てるんです。彼に本気で付き合って、本気で指導しなければと思っていますね」(中村)
この日『間』を作るためにやっていた練習は、ボールを右手で持って右手で素振りをするメニュー。バックスイングしてボールを真上に投げたら、落ちるボールをダウンでつかむ。
「後方にボールを投げるように大きな筋肉を使って振り上げて、一瞬『間』を持って落ちてくるボールをつかむんです。僕が奥田プロに習ったのは、どうやって『間』を作るのかということ。奥田プロのように歩くがごとくスイングするのが理想です。切り返しで『間』がないと、アプローチでザックリも出てしまう。『間』があれば、遅い球でグリーンに止められるんです。それを彼は今習得している最中ですね」(中村)。
他に行っていたのは、キャップを開けて半分程度水が入ったペットボトルを右手で持って、水がこぼれないようにスイングするドリル。「水の重さを感じて振り上げて振り下ろす動作ができれば、自然に切り返しの『間』ができるはず。これが右手首を曲げて上げてしまうと、水はこぼれます。まさしくヘッドの重さを感じて振る動きを覚えられます」(中村)。
加藤に中村と会ったときの心境やこれからの目標を聞いてみた。「最初に会った時に(『これではダメだ』と言われたが?)別にショックではなかったです。上手くなりたかったので。そのために直した方がいいと思って。いろいろ習ってスイングもすごくよくなりました。飛距離も伸びるようになりましたし、奥田プロにも時々教えて頂いたり……。帰国すると、スイングが悪くなるので、それをアドバイスを頂いて練習する感じです。将来の夢は海外で常に活躍することです」
加藤はタイツアーのQT合格してツアーシードを獲得したという逸材だが、奥田は加藤について次のように語る。「中村プロとの縁で年に何回か教える機会がありますが、めちゃくちゃ上手いと思います。だから、練習したことをいかに体に落とし込めるかが大事。あせらずにやってほしいですね。(孫弟子?)そういう存在ですね(笑)」。
日本OPでジャンボ尾崎をも倒した奥田流のDNAを受け継いだ、若き新星の今後から目が離せなさそうだ。
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