『Windows Media Center』は時代を先取りしていた? Windows 10で廃止された機能の本当の魅力
Windows 10で姿を消した『Windows Media Center』。かつてはWindowsに標準搭載され、デジタルメディアのハブとなることを期待されていました。
一方で『Windows Media Center』に対して、Win10で消えたこともあり時代遅れの機能というイメージを持つ方もいるのでは? 実は一見「時代遅れ」に見えたこの機能には、現代のストリーミング時代にも通じる先見性が詰まっていたと見ることもできます。
今回はWin10で消えた『Windows Media Center』機能に、本当は魅力があったことをご紹介します。
Win10で消えた機能『Windows Media Center』とは?
2002年、Microsoftは「Windows XP Media Center Edition」としてWindows Media Centerを初めてリリースしました。
このソフトウェアは「家庭内でのメディア体験」を一新することを目的としていました。当時、テレビ、音楽、写真、ビデオといったメディアはそれぞれ別々のデバイスで管理されており、統合されたプラットフォームは存在していませんでした。
Windows Media Centerの最大の特徴は、いわゆるセットトップボックス(STB)の代替であったこと。STBは、ディスプレイやテレビに接続して映像や画像を表示させるための機器のことで、通常外付けに用意するものです。
一方、MicrosoftはWindows PCをSTBの代わりにするというビジョンを掲げており、テレビ画面での操作性を重視した設計が特徴でした。
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つまり2000年代の段階で、Windows Media Centerを用いれば、ユーザーはソファに座ったままテレビ録画、音楽再生、写真スライドショー、ビデオ視聴などを一元的に管理できたということになります。
『Windows Media Center』の画期的な点
Windows Media Centerは単なる「テレビ番組の録画機能」を超えて音楽、ビデオ、写真といったメディアを一元管理するプラットフォームを提供しました。たとえば2005年には「Windows XP Media Center Edition 2005」を搭載したPCと「Xbox 360」を接続すれば、映像をテレビに出力可能にする機能をリリースしています。
つまり、Windows Media Centerが提供開始された2000年代時点ですでに「音楽」「ビデオ」「写真」「テレビ番組」の一元管理が実現していたことに。そして家庭全体でのメディア共有というローカル環境におけるクラウドサービスのような役割を実現していたと言えます。
このようにPCを家庭内のエンターテインメントの中心に据えるというビジョンは、現在のストリーミングサービスやスマートデバイスに受け継がれていると言えるでしょう。
Windows 10での廃止とその理由
NetflixやHuluなどのストリーミングサービスが普及し、さらにストリーミングデバイス(例:Chromecast、Fire TV)も台頭したことが、Windows 10での機能廃止を後押しした側面があります。Windows Media Centerのようなローカルメディア管理ソフトウェアを用いなくとも、映画やドラマなど映像作品には多数アクセスできる環境が整ったためです。
また、同機能は古いコードベースに依存しており、新しいハードウェアやソフトウェアとの互換性が問題となっていました。また、セキュリティ更新の困難さも廃止の一因となりました。
Windows Media Centerは実は「いまでも新しい」?
WMCが提供していた統合的な体験やシンプルな操作性は、現在でも一部のユーザーにとって魅力的な要素として評価されています。
たとえばストリーミングサービスの普及はWindows Media Centerのようなセットトップボックス(STB)の代替サービスを、一時的に「古いもの」へと見なされました。
一方でNetflixやHuluなどは、単体で「テレビ番組の録画」「ビデオ」「写真」「音楽」をすべて扱えるものではありません。
従来のWindows Media Centerが持っていた操作の複雑性やUIの古めかしさといった欠点が解消されれば、地上波のテレビ放送が一定の堅調な人気を保持し続けている日本では、セットトップボックス(STB)的な役割を持つソフトウェアには一定のニーズがまだ存在するかもしれません。
※サムネイル画像(Image:Wachiwit / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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